高齢者とペット問題 ペットと共に生きていくために。病気の治療とペットの世話の両立

看護部/透析室

あなたはペットを飼っていますか?
あなたはそのペットが寿命を終えるまで面倒を見られますか?
そのペットも家族です。お世話をしなくては生きていられない家族です。
もし、あなたが入院したら? もし、あなたが突然死んだら? 誰がその子の面倒を見るのでしょう?

患者さんの中で、猫を飼っているから入院できないといわれる方がいらっしゃいます。しかし、放置してもっと自分の体の状態が悪くなり、取り返しがつかなくなるほうが患者さんにとっても、ペットにとっても危険だと私は思います。全く身寄りがなく、独居の方がペットのおかげで生きる意味を見出し、強く生きていらっしゃる事は素晴らしいことですので、患者さんの体とペットの世話の両立を私たちと一緒に考えていただければと思います。

今日はひとつ、印象的だった患者さんの話を〜〜〜
ある透析患者さんが猫を飼っておられました。その方は高齢で一匹の猫を飼っておられました。その猫は患者さんの娘さんが飼っていた猫だと聞きました。その娘さんがあるとき突然亡くなり、患者さんがその猫を引き取る事になりました。患者さんにはもう一人の娘さん(次女さん)がいらっしゃいましたが、家庭を持っておられ仕事もしておられたため、その子には負担をかけられないと自分が猫を引き取り、透析治療をしながら猫の世話も頑張っておられました。

娘さんの忘形見であるその猫も飼い主によく懐き、嬉しそうに「今日は猫に起こされたわ!」とか「猫がまっとんねん」などと話をされている姿は透析通院の痛みや苦労も猫で癒され、お世話をする事で生き生きと生活しておられる姿はほほえましく思えました。しかし、患者さんの心臓が悪くなり手術治療を医師から勧められたとき、「長期の入院は出来ない、猫がいるから・・・」とかなり渋られました。何度も何度も説得しましたが、「そんな怖い事はしない!」との一点張りで、受け入れてくれませんでした。

しかし、「その猫の寿命の前に飼い主の自分が倒れたらどうするの?」「その猫の前でまた飼い主が倒れるの?」「そんな場面をまた猫に見せるんですか?」というと、はっとしたように、「そんなことしたらあかんな」「そんな2度もかわいそうな目に合わせたらあかんな」と手術の決心をされ、無事手術も終えることができました。

入院中の猫の世話は、次女さんがされることになりました。手術後のリハビリも「(猫のために)早く帰ってあげなきゃ」とずいぶん頑張っておられ、意外と早く退院されました。この方を見ていると、ペットがいることで得られる「生きようとする力」を感じます。今も元気に透析に通っておられます。

私も猫が好きで、よく動画サイトを見ます。その中には、優しさからの多頭飼い崩壊が多く報道されていることに気が付きました。最初は、優しい気持ちで2~3匹の猫を飼うところから始まっているようです。猫の繁殖力は強く、年に2~3回の発情期があり5匹前後の子供が生まれます。去勢や避妊をしないとあっという間に繁殖し、40~60匹にもなります。こうなると生活が維持できなくなります。

また、こういったケースでは近親間の繁殖ケースも増え奇形児の発症率も上がってしまいます。かわいそうだからといって手術をしないのであれば、繁殖しないようにする手立ても必要なのだと思います。かわいそうなペットを増やしてはいけない、その手立てをするのは飼い主の義務だと考えます。

先に述べた患者さんのように、ペットを飼うことが生きる大きな支えになっているのは確かです。子供から大人まで、猫のお世話をしながら自分も猫に世話になっているのも確かです。うちの子供もペットがいることでお留守番ができ、お世話をすることで他をいたわる気持ちができたと思います。

だからこそ、しっかりお世話ができる状態を考えておいてあげなければと思います。子供はいつか自立します。しかし、ペットは一生お世話をしなくてはならないのです。自分に何かあったら誰が引き継ぐのかを考えておくことはペットを飼う上で重要なのではないかと思います。

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