心不全 循環器内科 武本 知之 ~広報誌「みどりの風」Vol.30~

心不全 循環器内科 武本 知之

心不全と聞くと漠然と心臓が悪いと言う印象は持つかも知れませんが、具体的にどのようなものなのかは分かりにくいと思います。『心不全とは心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。』これは2017年10月に日本循環器学会と日本心不全学会が共同で発表した定義です。国民に向けて分かりやすく理解してもらうために作られました。我が国の心疾患による死亡数は癌に次いで第2位になっていることが背景にあります。心不全による死亡は心疾患の内訳の中で最も多く、心不全で入院したことのある人は平均で5年間に約半数の方が亡くなっております。これは肺癌よりは良好ですが、大腸癌とほぼ同等、前立腺癌や乳癌よりは不良であることが報告されております。
実は“心不全”は病名ではありません。心臓が原因で調子が悪くなっていることを包括した言葉として用いられます。心臓が悪くなるには様々な原因があり、高血圧、心臓の筋肉の病気(心筋症)、心臓を養っている血管の病気(冠動脈疾患)、心臓の中の血液の流れを正常に保つ弁の病気(心臓弁膜症)、不整脈などが挙げられます。一概に心不全と言っても原因は様々であり、治療法も一律ではありません。
心臓が悪くなるのを防ぐには、原因となる疾患を発症しないように予防することです。そのためには危険因子となる高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病の予防が重要です。禁煙、節酒、減塩、適度な運動と言った生活習慣の管理が望まれます。禁煙に関しては禁煙外来での薬物治療も選択肢となります。生活習慣病を発症している場合にはまず生活習慣の是正を行い、必要に応じて薬物治療を行い、管理する必要があります。その他にも睡眠時無呼吸症候群は心臓疾患の危険因子あるいは増悪因子であることが知られています。家族に指摘された場合や、日中に過度の眠気に襲われるなどの疑わしい場合には、検査を受けて適切に管理することが勧められます。
心不全の初期によく見られる症状として、運動時の息切れや、むくみ(浮腫)があります。その他に疲れやすいと言う症状もあります。これらは心臓以外の疾患でも起こり得る症状ですが、いずれの場合でも症状が持続する方は受診をお勧めします。

原因

  • 高血圧
  • 心筋症(心臓の筋肉の病気)
  • 冠動脈疾患(心臓を養っている血管の病気)
  • 心臓弁膜症(心臓中の血液の流れを正常に保つ弁の病気)
  • 不整脈
    ・その他

初期症状

  • 息切れ
  • 疲れやすい
  • むくみ

予防

  • 禁煙
  • 生活習慣の改善
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