肝臓がんを見極めろ!~造影CTでわかる肝血管腫と肝細胞がんの違い~

放射線科

~肝臓の働き~

ヒトの体で最も大きい臓器といわれている肝臓は上腹部の右側にあり、成人で1000~1400gほどの重さがあると言われています。
肝臓の主な働きは大きく分けて
①体内に分解・吸収された栄養素を取り込み(貯蓄)、必要に応じて血液にのせて全身へと送り出す。
②有毒物質を分解し無毒化する解毒の働きと排出
③脂肪の消化・吸収を助ける胆汁の生成・分泌
という3つの働きがあります。

~肝臓のガンについて~

腫瘍には良性腫瘍悪性腫瘍があります。
今回は、肝臓の良性腫瘍のなかで最も頻度が高い「肝血管腫」と、肝臓の悪性腫瘍の中で最も多い「肝細胞がん」についてみてきたいと思います。

○肝血管腫○
血管腫とは細い血管が無数に絡み合うことによって出来た血管の塊で、多くの血管が集まっている肝臓は血管腫が特に出来やすいといわれています。
また血管腫は、ほかの臓器に浸潤したり転移することはないといわれています。

●肝細胞がん●
肝細胞がんは肝臓の細胞ががん化したものをいいます。
肝臓に発生するがんは大きく分けて2種類あり、肝臓自体で発生する「原発性肝がん」と、他の臓器から発生したがんが肝臓に移って来た(転移)「転移性肝がん」があります。
今回ご紹介する「原発性肝細胞がん」は約90%がウイルス感染症が原因といわれており、B型肝炎ウイルスや特にC型肝炎ウイルスの長期的な感染により炎症と再生を繰り返し、これに伴って肝細胞の遺伝子に突然変異が生じ、がんになると考えられています。

肝臓は「沈黙の臓器」とよばれており、肝血管腫では無症状であることがほとんどで、肝細胞がんでも初期では自覚症状がないことがほとんどのため健康診断や人間ドック・他の症状で受けた検査などでたまたま発見されることは珍しくありません。

~画像でみる肝臓がん~

それでは、CT検査による造影画像を使って「肝血管腫」と「肝細胞がん」を見比べていきましょう。
○肝血管腫○
図1は「肝血管腫」の経時的造影変化画像になります。
左端は造影前の画像で、そのあと造影後の画像を時間経過とともに右へ順にあらわしました。また、「肝血管腫」の部分を赤丸で囲ってみました。

図1において、造影剤を使わずに撮影した写真ではうっすら黒っぽく「肝血管腫」が映っているのがなんとなく分かる程度で見えにくいですよね。そこで造影剤の出番です。
造影開始40秒後で「肝血管腫」の辺縁から白く造影剤が染まって来ているのがお分かりいただけますでしょうか?その後、70秒後の画像では中心へ向かって染まって行き、180秒後では「肝血管腫」全体が白く染まりきっているようにみえます。
血管腫は血流が緩やかなため、時間をかけてゆっくりと染まる特徴をもっています。

図1:肝血管腫の経時的造影変化

●肝細胞がん●
図2は「肝細胞がん」の経時的造影変化画像になります。
左端は造影前の画像で、そのあと造影後の画像を時間経過とともに右へ順にあらわしました。また、「肝細胞がん」の部分を黄色丸で囲ってみました。

図2において、こちらも造影剤を使っていない画像では「肝細胞がん」がどこにあるのか見えにくいですね。それでは造影してみましょう。
造影開始40秒後で「肝細胞がん」では全体が白く染まっているのがお分かりいただけますでしょうか?その後、70秒後の画像では染まっていた造影剤が抜け(washout )、180秒後では造影剤が抜けきり、染まっている部分がなくなりました。
「肝細胞がん」は血流が速いため、腫瘍部分が素早く造影され素早く造影剤が流れて行く特徴をもっています。

図2:肝細胞がんの経時的造影変化

今回は肝臓にできる腫瘍の代表的な2つ、「肝血管腫」「肝細胞がん」についてご紹介させていただきました。
肝臓の腫瘍にもいくつかの種類があり、そのなかのどの腫瘍にあてはまるのか?
CT検査画像によって判断できることが少しでも伝わっていると嬉しく思います。

また今回ご紹介した「肝血管腫」「肝細胞がん」について、腹部超音波検査で見た記事もございますので合わせてご覧下さい♪
「肝臓を占拠する!!パート1~できもの(悪くないもの)」腹部超音波検査 Vol.3
腹部超音波検査 Vol.4「肝臓を占拠する!!パート2」

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