「看護学生さん頑張って!」~寄り添える看護を目指して~

みどり訪問看護ステーションでは、現在看護専門学校2校と、看護大学1校を受け入れています。学校により実習期間が4日間から2週間と違いがあり、初めが在宅看護実習の学生さんもいれば、病棟実習を終えて来られる学生さんもおり様々です。

当ステーションは、実習指導者だけではなく全スタッフが学生さんに関わっています。
訪問看護の経験が短いスタッフもいれば、何十年と経験しているベテランスタッフで、学生さんを一生懸命指導しています。私自身が学生と同行する時に、看護師を目指した理由を聞きます。

学生さんからは、「親が看護師だから」「小さい頃入院していた時に、看護師が優しかった」「安定した収入」など様々なきっかけがありますが、その学生さん達が看護師になって良かったと思えるように信じ、実習を通して在宅実習が楽しい、将来訪問看護師になりたいと思えるように全スタッフが関わってくれています。
私たちがそんな思いを持ちながら関わってきた、看護学生さんの学びを紹介したいと思います。

<どのような利用者様を担当しましたか?>

  • 60歳代 男性 要介護5 脳出血後遺症
    奥様が介護している
  • 80歳代 女性 要介護5 パーキンソン病 大腸がんにてストーマ造設 食道瘻造設中
    認知症のある要介護2の夫と二人暮らし
  • 70歳代 女性 要介護5 胃瘻造設 膀胱留置カテーテル留置中
    家族の介護力が低く一室で一人寝たきり状態 訪問看護、訪問介護、ショートステイのサービスを利用し、在宅療養されている
  • 80歳代 女性 要介護5 脳梗塞後遺症 左不全麻痺 心房細動
    夫、息子と三人暮らしであり、夫が主たる介護者で介護意欲がある
  • 100歳代 女性 要介護5 パーキンソン病
    次男夫婦と3人暮らし 主たる介護者はお嫁様

<訪問看護の中でどのような在宅ケアが印象に残りましたか?>

  • 食器洗剤の容器等を使用し、自宅にある物品を利用しケアを行っていました。
  • 家族もケアが行えるように、介護者である家族にできるよう関わっていました。
  • スキントラブルを起こしやすい方に、チューブ類が直接皮膚に当たらないようタオルで保護し、トラブルの予防に努めていました。
  • ステーションの理念である「暮らしに笑顔」をモットーに、訪問看護師は明るく笑顔が沢山見られ、看護師が関わる事で利用者様やその家族様の表情が明るくなっていました。
  • 療養者様だけではなく、介護者である家族様の状態に配慮していました。
  • その人の生活習慣に合わせた個別性の高いケアが印象的です。
  • 医療者がいない時でも利用者様が安全、安楽に過ごせるよう配慮していました。
  • 多職種連携により、利用者様が安心してサービスを受けていました。
  • 利用者様の残存機能を活かしていました。
  • 利用者様が言葉を発せなくても、表情や顔の動きから気持ちを読み取り、声をかけていました。

<在宅看護実習を終えての感想>

  • 利用者様の生活背景、疾患を理解するだけではなく、その家族へのケアも行いながら関わっていく事の大切さを学びました。
  • 療養者様、家族の思いを知りその思いを尊重した関わりが大切であることを学びました。
  • 療養者様に応じたサービスの利用、福祉用具を選択することの必要性を学びました。
  • 療養者様と家族の生活そのものに関わっていくことを学びました。
  • 訪問看護は1人で看護を行うのではなく、ステーションのスタッフ、他事業所等多職種と連携し利用者様の生活を支えていることを学びました。
  • 在宅実習を通して、入院中の患者様が退院後どのような生活に戻るのかを考えられるようになりました。
  • 訪問時だけではなく、不在時に安心して生活を送れるように関わることの大切さを学びました。
  • 利用者様だけではなく家族のサポートを行う大切さ、その家庭に合わせたルールを把握し、看護していく必要性を学びました。
  • 一人の生活者として関わることの必要性を感じました。
  • 療養者様の生活背景や家族様の関係性を知ったうえで、その人らしく生活を送れるように、何が必要なのかを考えその人らしさを支えることが訪問看護師の役割であると感じました。

~みどり訪問看護スタッフから看護学生さんへ~

在宅看護では「我が家」という病院では味わえない穏やかな時間があり、住み慣れた家はその方の「力」になると思います。利用者様やその家族様が普段の生活の中で何気ない会話や、訪問時笑いが多く学生さんは「えっ!」と驚く事が多かったと思います。
当ステーションのモットーである「暮らしに笑顔」は、私自身もどんな時でも必ず笑顔で訪問する事を目標にしています。

訪問看護には、「食べる」「排泄」「寝る」といった生きるために必須の人間の営みを支援し、利用者様の生きようとする力を支えるという看護の原点があると思います。
在宅看護実習でその人自身に向き合い、ありのままのその人を看るという看護を学ぶことができたら、病院においても生活者となる事を考えたうえで看護ができると思います。

短期間での記録整理、どうしたらいいのか不安になったり、何を話していいのか困ったり、緊張しケアだけに集中したりする事が多いと思いますが、実習中に助言された事や学んだ事は自分自身のスキルアップに繋がると思います。又、看護師になった時も記憶に残ると思います。
私自身も、在宅実習時の指導者さんからの助言は今も記憶に残っており、それを糧に日々訪問させていただいています。その一言があり今の私がいると思います。その時の訪問看護師さんに感謝しています。

本年度はコロナ禍により例年通りの実習が行えず、不安な学生さんも多いと思いますがその中での学び、受け入れして下さった利用者様、家族様に感謝する気持ちを忘れず、人に寄り添える看護師になっていってほしいです。