インソール~足の裏から身体が変わる!?~

早速ですが、皆さんはインソールと聞くと、どのようなものを想像しますか?
きっと、靴屋さんや今では100円均一などでも見かけるいわゆる“中敷き”ではないでしょうか?
全く違うとは言いませんが、私たち理学療法士が言うインソールとは、“足底板・足底挿板”とも言い、装具療法の中の一つで、靴の中敷きに傾斜をつけて、足部の変形を修正したり、※足の裏の生理的なアーチをインソールで支持し体重を分散させたりすることに使用します。  
また立位や歩行の姿勢などを、インソールを入れ修正することで、足元だけでなく、それより上の膝や股関節の痛み、腰痛、肩こりの軽減などにも効果があります。

※足の裏の生理的なアーチとは・・・

代表的なものでいうと“土踏まず”です。
ご自身の足の裏を見てみると、平らではなく、弯曲があると思います。
それが“アーチ”というものです。
このアーチは骨だけでなく、筋肉や靱帯によって構成されています。

◆アーチの種類
アーチには、①外側縦アーチ②内側縦アーチ③横アーチと3つ種類があります。
①外側縦アーチとは、足を外側から見た際にある弯曲を言います。
ここが崩れると足の外側に体重がかかるためO脚になります。

②内側縦アーチとは、いわゆる“土踏まず”のことを言い、ここが崩れているのを“偏平足”といいます。

③横アーチとは、外側縦アーチと内側縦アーチの間にあるものです。
ここが崩れていると 足の幅が広くなる“開張足”などになります。

※偏平足や開張足によって、外反母趾やタコ、ウオノメなどを引き起こす原因の一つと言われています。

◆アーチの役割
・衝撃吸収:歩行や走行、ジャンプなどによる地面からの衝撃と、体重による負担を受け止め和らげる 
・歩く際のけり出しを強くする:バネのような役割を果たし、スムーズな重心移動が行え、体を前に運ぶための前進力になる
・体の安定性・バランスをとる:微妙なバランスをとることができるため、デコボコの地面や坂道でも、転ばずに歩ける

インソールはどういった方に使用されることが多い?

特に多いのは、変形性膝関節症や関節リウマチによって、膝に痛みのある方にインソールを勧めることが多いです。
目的によって種類も様々ですが、ここで、その中からいくつか紹介します。

種類対象
外側ヒールウェッジ・変形性膝関節症(O脚)
・膝の内側が痛い
・靴の“外側”が多く削れている
② 内側ヒールウェッジ・変形性膝関節症(X脚)
・膝の外側が痛い
・靴の“内側”が多く削れている
③ 中足骨パッド・偏平足(縦アーチが減少)
・歩くと足の裏の骨が痛い(横アーチが減少)
④ 補高パッド・左右で足の長さが違う

この中から一つ、①の外側ヒールウェッジを例に挙げて説明します。
O脚の方は、立位や歩行で、膝の内側に多く負担が掛かることで膝に痛みが出ます。
このような方は、靴の底を見てみると、外側が多く削れている方がほとんどです
そこで “外側ヒールウェッジ”を入れることによって、膝の内側ばかりに掛かっていた負担を、膝全体に分散させることで、痛みが軽減します。

私が実際に経験した例を一つ紹介します。
70歳代の女性で両側の変形性膝関節症(O脚)があり、歩行中も両膝の内側が痛く、介助なしでは歩くことが出来ず、また痛みが出てしまうことで、意欲も低下していました。
しかし、外側ヒールウェッジを入れたことで歩行中の膝の痛みも軽減し、その他に筋力トレーニングや歩行練習などを継続して行った結果、介助なしで歩くことが出来るようになりました。
さらに意欲も向上し、リハビリにも積極的に取り組まれるようになりました。
今では自宅へ退院され、家の中は一人で歩け、家の外も付き添いがあれば、一人で歩けるまでになりました。

最後に・・・。
なぜ痛みが出ているのか、どこに痛みが出ているのか、何をしている時が一番痛いのか、どのインソールが良いのか、その他に自分で出来る運動などは何をすれば良いのかなど、個人個人で違います。
そのため、これらを評価し、インソールの選定・治療をするのが、私たち理学療法士の仕事の一つでもあります。
“歩いていると膝や腰が痛くなる”、“歩くとき体がよく傾く”など体の悩み・質問などお気軽に相談してください。
私たちはあなたが“自分の足で歩ける”よう応援します。