血糖値とHbA1cは何が違うの???

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お正月はついつい食べ過ぎてしまいスカートやベルトがキツイと感じている人も少なくないはずです。
血糖値の検査に向け数日間、食事制限をする事もあるかもしれません。
ところがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定する事により過去1~2ヶ月の平均的な血糖の状態を知ることができるのです。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってどんな検査?

血糖値は検査前の食事や飲酒、または食後にどのくらいの時間が経過したかで値が違ってきます。
その為、検査をする日は基本的に絶食でお越し頂く事となります。
一方、HbA1cは検査当日の食事制限は必要ありません。
つまり、検査前に食べ過ぎても逆に絶食で検査しても結果は変わらないのです。
HbA1cは赤血球の中のヘモグロビンAのβ鎖N末端のバリンに血液中のブドウ糖が結合した安定型の糖化産物で糖化ヘモグロビンと呼ばれます。
HbA1cの生産量は血糖値に依存し、高血糖の程度に応じて生成物は増加します。
ヘモグロビンの寿命は120日あり、HbA1cの測定値は過去1、2か月の血糖値を反映することとなるのです。
つまり血糖値が高いほどHbA1cがより多く作られるため、糖尿病患者さんはHbA1cの値が増加しています。
みどり病院でもHbA1cの検査を糖尿病の患者様を中心に行っています。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も血糖測定と同時に測っています

採血後に検査室にて専用の機器でラテックス凝集免疫比濁法の原理によりHbA1c濃度を求めています。
少し専門的なお話になりますが、測定法を以下に示します。
全血(必要最低量:4μL)を対照試料とし、測定用チップ内で分取した赤血球を溶血させ、HbA1cを含む総ヘモグロビンをラテックス表面に吸着させます。
そこに抗ヒトグリコヘモグロビンA1cマウスモノクロナール抗体を抗原抗体反応させます。
この時に生じる凝集塊を濁度としてHbA1cの吸光極大である波長635nmで測定し、標準曲線よりHbA1c濃度を求めています。
10分程度で測定が完了します。

今のHbA1c値は昔に比べて高めに出るって知ってましたか?

HbA1cの基準値は4.6~6.2%(NGSP値)と4.3~5.8%(JDS値)です。
2012年4月から日本糖尿病学会は、以前からの日本独自のJDS値ではなく世界基準値となるNGSP値を採用しています。
NGSP値でのHbA1cはJDS値に比べて大体0.4%ほど高く出ます。
そのため、今のNGSP値でHbA1c 6.5%であれば、昔で言うところの6.1%と考えることができます。
現在の標準的な糖尿病診療では、HbA1cが6.5%以上ある患者さんはNGSP値での基準値である4.6~6.2%に戻るようにまず食事療法・運動療法を行い、さらに主治医が必要と判断すればインクレチン関連薬やSU薬など糖尿病治療薬を用いた内服治療を開始します。
食事療法とはカロリー制限のみでなく、血糖値を上げる糖質を取らない糖質制限、また既に糖尿病と診断されインスリンを注射している方(遺伝的素因の大きい1型糖尿病の人)が行うカーボカウントがあります。
みどり病院で定期的に開催している公開糖尿病教室でも、いろんな情報を発信しています。
公開糖尿病教室については「イベント・活動のご案内」のページもご覧ください(https://midori-hp.or.jp/event/