心エコー検査を助ける視診・聴診・触診

検査科

昔むかし今のように医療機器が発達していなかった頃、お医者さんは聴診器で心臓の音を聴き、頸静脈を診て、心臓の拍動に触れ色々な病気や重症度を診断していました。
昨今は、医療機器が発展して心臓の動きや逆流、狭窄の有無を心臓超音波装置で判断する事が可能です。
ですが、いくら機械が良くなっても操る側のスキルが重要で、誤った所見を取る事も有り得ます…
私達の検査室内では検査所見と実際の患者さんの病態とに乖離がないかを常にチェックしています。
日々の心エコー検査の流れについて
まず、患者さんが検査に来られたら

①聴診をします。
②胸に手を当て触診しながら、頸静脈もじっくり診ます。
③手足を触り冷感がないか浮腫がないかチェックします。
④カルテの情報を元にどのような症状があるか、また何か動作をした時か?じっと安静にしていて症状があるのか?等を聞きながら検査を進めていきます。

聴診をして心臓の雑音があれば、心エコーの検査で雑音の成因を調べ、弁膜症であれば重症度を判定します。
最初にした身体所見が重要な手がかりとなり、エコーの重症度と身体所見が合致しているかを調べます。
心不全の場合も、静脈圧が高かったり、手足が冷たかったり、検査前に得た情報が検査の所見を考える上で助けとなり、時間短縮にも繋がります。
みどり病院に入職して、初めて”my 聴診器”を購入しました!
聴診器って医師や看護師さんの持ち物と思っていましたが、心エコーをするソノグラファーの方々こそ必須です‼︎
検査の質が必ず向上します。
とは言え、聴診器を手にした当初は、ドックン?ドックン?
ドッ=1音?クン=2音? なのか~?
頻脈になると、どっちが1音でどっちが2音か分からない時があります。
そんな時は脈をとりながら聴診することで1音と2音を聴き分ける事を学びました。
2音が分裂してるのか、1音が分裂してるのか?1音の分裂ならば駆出音が聞こえているのか?
分裂様式は?・・・・・・
先輩技師から指導を受けながら、来る日も来る日も懸命に心音を聞き、脈を触り診ていました。
暫くすると収縮期に雑音があるのが分かるようになりました。
一番分かりやすかったのが大動脈弁狭窄
鎖骨に聴診器を当てても聴こえ、重症度によっては鳩が鳴くようなmusical 調にも聞こえます。
聴けた時(理解して聴けた)は嬉しかったです。

次に同じく収縮期に聴こえる僧帽弁逆流の音!
こちらは鎖骨や右胸壁は聴えなくて心尖部や左脇で聴こえます。
重症度によって3音という2音の後に続く低音の心音が聴こえます。

3音は、正常若年者にもこ聴えるもので、我が子を相手に聴診の練習をしました(思えば、あの頃からマニアになりつつあったのか~)
正常3音は↓の矢印のタイミングで聞こえます

実際に重症僧帽弁逆流の患者さんの3音が聴けた時は、心エコー検査で重症度を確かめるのが検査の前からワクワクした事を思い出します!

拡張期にも雑音があり、代表は大動脈弁逆流です。
1音、2音に続きサーっと拡張期雑音が聴こえます。

そして、上級者になってようやく聴ける拡張期ランブル
今は少なくなったリウマチ性の弁膜症で生じる僧帽弁狭窄症で聴こえるルルルルと独特な音が聴えます。

最近はリウマチ性の僧帽弁狭窄は少なく、僧帽弁形成術後の僧帽弁口が狭くなり狭窄を示した症例や、透析患者さんで弁の石灰化により弁口面積が狭くなった症例で、ランブルが聴こえる事があります。
半年程前の遠方からの紹介患者さんの検査で、初めて拡張期ランブルが認識できた時は、検査の前から、僧帽弁狭窄を疑い、検査所見とともにランブル聴こえますと興奮ぎみに主治医に伝えたのを思い出します←“私のランブル記念日”です。(完全にマニアです)

みどり病院では、心臓弁膜症だけでなく、膠原病の患者さんも多く、膠原病性肺高血圧の有無を調べるために検査がオーダーされることがあります。(弁膜症の方の肺高血圧の有無も病態に影響するため、しっかりと評価することが求められます)
心尖部で2音の分裂がある、つまり通常は心尖部では2音の分裂はない(大動脈成分しか聞こえない)のに肺動脈成分の亢進があり、心尖部でⅡA(大動脈成分)とⅡP(肺動脈成分)の二つの音が聴ける時は、肺高血圧を疑い検査を進めます。
心音図を記録する時は呼吸による変動をみたりもします。

この他にも多くの事が盛りだくさん‼︎
このように日々の検査で色々な発見をしながら、毎日楽しく検査をしています。

みどり病院検査室では身体所見の取り方、聴診の仕方などを院長や技師長に教わる事が出来てラッキーですが、日本全国探しても、このような職場は少ないと思います。

身体所見の取り方等を教わる機会がない皆様に・・・
医師、研修医、ソノグラファー等、対象に年に数回、聴診の勉強会 
循環器physical examination講習」(院長が代表世話人)を開催しています。
講習会で使用する音源やVTRも患者さんのご協力をいただき記録しています。
http://physicalexamination.jp/

我々は、勉強会の教材作りという名目ですが、実は貴重な音を何度も聴け、病態の把握にも繋がり、とても良い勉強になっています。
もしも検査機器という便利ツールがなくとも、診断が出来る自分自身になれるように更に修行を積みたいと思います。

「エコーは、ただの確認や!」って、技師長は笑って言います・・・・
いつか、そんな風になりたいなぁ

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