「超音波でみる 小腸・大腸、元気な腸」腹部超音波検査Vol.9-1

検査科

腹部超音波検査シリーズも、いよいよ終盤。

テーマは「腸」。

体の内と外をつなぐ不思議な管。
私たちの免疫力にも大きく関係しているとか!

超音波検査といえば、肝胆膵、実質臓器をみる印象が強いけれど、管腔臓器の異常を迅速に捉えることもできて、治療方針を決める材料にもなります。

超音波検査で、腸、みえるんです!!

はたらきは、栄養素と水分を体内に吸収すること。残りかすを排泄すること。
上部消化管と大きく違うのは消化液を出さない場所であること。
そのため、十二指腸から先には数百種類・約一兆個の腸内細菌が共生しています。

腸内細菌のバランスが免疫力に影響すること、ご存知でしょうか。
腸内環境を整えることは感染症予防につながると言われています。

免疫を作る細胞の約7割は腸内に集中しているらしい。。。
私たちの腸に住む腸内細菌が免疫系を刺激することで病原菌感染を防いでいるとか。。。

意外と知らない、腸のこと。
超音波検査ではどんなふうにみえるのでしょう?

元気な腸、疲れた腸、炎症をおこした腸、病気の腸。

いろいろな腸の画像を、今回から3回に分けて少しだけ紹介します。

まず、超音波検査の強みとして、人体への影響が少ないことを全面に紹介してきました。
今回、腸を観察する上でさらに大きな力となるのが、リアルタイム性!
その瞬間の動きや状態を確認し、動画記録できることが挙げられます。
(ここでは動画ではなく静止画でお届けします。。。)

1.元気な腸の超音波画像(正常を知る)

超音波検査で観る腸の壁は5層構造をしています。
その壁の厚みは、小腸で4mm以下、大腸では3mm以下が正常範囲とされていて、炎症や病気の可能性があると壁が肥厚します。
(下の画像は、少し拡大しているため、腸壁が肥厚しているようにみえますが、実際の厚みは正常範囲内です。)

腸は、自ら 筋肉(第4層)を収縮・弛緩させて動き、吸収・排泄を効率よく行います。

元気な腸は適度なリズムで動いているのです。
腸を移動する内容物には、ヒトが消化できない食物繊維や、腸内細菌が栄養を分解したときに発生するガスが含まれており、ガスは超音波をはねのけてしまいます。

小腸は、十二指腸・空腸・回腸に区分されます。
空調と回腸には明瞭な境界がなく、超音波検査で区別するのは難しいですが、
空腸の方が、腸管径が大きく壁に厚みがあり、ケルクリング襞が発達しています。

“元気な腸はガス像を伴う”
大腸に比べて、小腸では蠕動が活発。
腸内細菌が栄養分を分解する際に発生するガスも大腸方向へ移動していきます。
(あまりに蠕動が早いと下痢の原因になることもあるので注意。腹痛を伴う。)

回盲部を描出するには、上行結腸を尾側へ追っていくと探しやすいです。
回盲部には、小腸の出口と大腸への入口をつなぐ バウヒン弁があります。
バウヒン弁は、小腸から大腸への内容物の逆流を防ぎ、内容物の移動調整も行います。

大腸は、盲腸・結腸・直腸からなります。

盲腸の端には、虫垂があり、回盲部近傍に描出されます。
虫垂炎の痛みに苦しい思いをした方、そう、あの虫垂です。
虫垂の役割についてはまだ解っていないことも多いようですが、リンパ組織が集まっているので、生体防御に大きく関わっているのではないかと言われています。

結腸は、上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸に分かれます。
イラストので、上行結腸と下行結腸は後腹膜に固定されています。

上行結腸を描出するときは、右側腹部の最外側、右腎前方の固定点(右結腸曲)を、
下行結腸を描出するときは、左側腹部最外側、左腎前方の固定点(脾弯曲)を目印にします。
横行結腸は心窩部縦走査。胃より尾側にガス像を呈する短軸の管腔構造として描出されます。その走行には個人差があり、どこにも固定されていないため、痩せ型の高齢者では大きく下垂している場合も多く、ガス像をたどって観察しましょう。
S状結腸は、左下腹部斜走査から下腹部へ。
左の骨盤に沿うように、左腸腰筋の腹側を走行しています。

直腸は下腹部横走査。膀胱背側に位置するため、膀胱を音響窓にして描出します。

今回の画像↓おさらい

※腸壁だけでなく、食道・胃・十二指腸等、消化管の壁は基本的に5層構造を呈する。

腸の超音波画像に興味をもっていただけたでしょうか。
今回は、元気な腸について、画像説明・描出方法とともにお届けしました。
(もしも、機会があるなら、動画で元気に動く小腸をみてほしい!)

「超音波でみる 小腸・大腸」次回は、「代表症例」を紹介します。
虫垂炎からイレウス、大腸がんまで。一緒に腸を覗いてみましょう。

メニュー