おもてなしの心

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今回は、みどり病院の少し昔のお話です。
皆様は、10年ほど前に、みどり病院が2倍の大きさに増改築したのをご存知でしょうか?
入院も外来も行いながら同時進行での増改築。
いろいろと、大変でおもしろいお話を、当時のスタッフに思い出してもらいました。

現在、透析室になっている部屋は以前、救急入口と受付がありました。
その時に使われていた名残の扉が今もあります。
余談ですが、当時は救急車が来たら、扉を開けるのは医事課の役目でした。
サイレンが聞こえたので慌てて開けると、目の前を通り過ぎて行った…また扉を閉める…ということが、度々あったそうです。
実際、工事が始まると、特に入院中の患者様には騒音でご迷惑をおかけしたそうです。
体調の悪い患者様にとって大きな音は体にこたえるので、見かねた付添いのご家族様より受付に再三申し入れがあり、何度も工事を中断したことがあったそうです。
一番頭を悩ませる問題だったのではないでしょうか?
耳栓をお配りするという苦肉の策から、当時の患者様やスッタフの苦労が窺えます。
工事中は、いろいろな所に様々な物が置かれ、院内でも目的地へ行くまでに遠回りをしなければならないことも多々ありました。
「よく歩いた」そんな印象が、当時のスタッフにはあるようです。
そんな大変な経験もあり、でも、次第に新しい病室や待合、ナースステーションが出来あがってくるとワクワクしたそうです。
どこに何を置こう、ここはこうしようと考えるのが楽しかったとのこと。
収納用のカゴなど、何千円分も百均のお店でお買い物をした思い出もあるそうです。
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工事が進んでくると、既存棟と新館は小さな出入り口で繋がれました。
行き来ができ、見学もできたとか。医事課の部屋も見てみると、何もないのに少し狭く感じたそうです。
実際、机や棚などいろいろな物品が入ると、かなり狭くなりました。
しかし、近くに人がいるという安心感が居心地の良さでもあるのです。
また、現在病院の東側にある職員駐車場のスペースに、プレハブが2棟建てられたそうです。
そのプレハブは、職員の更衣室、食堂、そして総務課の仮部屋にしていました。
入院患者様の入浴介助をするのは主に看護助手さんのお仕事ですが、濡れるのでTシャツに短パンという格好でお手伝いします。
外にあるプレハブの更衣室まで着替えに行くわけですが、寒い時期は、その格好で行き来するのは大変だったそうです。
介助後のずぶ濡れの状態で外に出る…想像してみてください。
寒い日に、露天風呂に入るために意を決して外に出る…あの感じです(温泉という極楽も待ってはいません!)。
春になるとプレハブ食堂から見える、向かいの公園の桜がとてもきれいで癒されたそうです。
桜を見ながら食べる昼食は、きっと何倍もおいしかっただろうなぁと思います。

皆さんも、家の増改築や建設とまではいかなくても、似たような経験をされたことがあると思います。
車を買ったり、家電を買い替えたり、もっと身近なところで、靴や服を買ったり。
いろいろな商品を見比べて、パンフレットやインターネットで情報を収集したりしながらワクワクされたこと、ありますよね。
今、何かと話題になっている東京オリンピック。
開催地が東京に決まった時は、日本中が歓喜に沸きましたね。
招致活動に参加した皆さんは、同じようにワクワクしながら頑張っていらっしゃいました。
東京が選ばれたのは、安全であること、様々な技術が世界のトップレベルであることはもちろんのこと、何より「おもてなし」をしたいという思いが伝わったからではないかと思います。
しかし、いざ準備に取りかかる段になって、様々な問題が浮き彫りになってきました。
このままで、本当に誰もが納得の「おもてなし」ができるのかなぁと心配になります。

みどり病院でも、時々、受付で「昔は良かったわ」と言われる患者様がいます。
それは、建物のことではありません。
親身になって話を聞いてくれる、声を掛けてくれる。
医師や看護師、受付、全てのスタッフが今よりもっと身近で、患者様が満足して帰られていたということではないかと思います。
少しでも心地よく利用してほしいと考えながら作られた病院で、きちんと「おもてなし(ホスピタリティ)」の心を持って患者様をお迎えすることが本当に大切なことなのですね。

東京オリンピックの成功を願いつつ、ワクワクしながら増改築を見守った先輩方の思い出話に触れ、改めて「おもてなし(ホスピタリティ)」の心で皆様のご来院をお待ちしております。
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