感染・食中毒防止のために

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感染・食中毒防止委員会の主催で、施設内研修会を開催しました。
テーマは、「ノロウイルス対策~嘔吐物の消毒手順について~」です。

ノロウイルスは、1968年にアメリカ合衆国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎をきっかけとして、1972年にウイルスが検出されノーウォークウイルスと呼ばれました。その後も、急性胃腸炎を起こす同様なウイルスによる流行がしばしば見られ、これらのウイルスをノーウォーク様ウイルスと呼びましたが、2002年8月国際ウイルス学会でノロウイルスと命名されました。

ノロウイルスは酸に強いため、胃の中を通過し、腸管に感染を起こし増殖します。10~100個という少ないウイルス量でも摂取すれば発病しうるとされており、人の体外でも安定であるため食物に付着すると食中毒の原因にもなります。ノロウイルスの失活(感染性が失われる)化の温度と時間については現時点においてこのウイルスを培養細胞で増やす手法が確立していないため、正確な数値はありませんが、同じようなウイルスから推定すると食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなると考えられています。ノロウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で次のような感染様式があると考えられています。

1)汚染された貝類を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
2)食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
3)患者のふん便やおう吐ぶつから二次感染した場合

また、家庭や共同生活施設など、ヒト同士の接触する機会の多いところで、ヒトからヒトへ直接感染するケースもあります。
ノロウイルスの潜伏期間(感染から発症までの時間)は24時間~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状もあります。ただし、高齢者、乳幼児等では重症となることがあります。

ふん便やおう吐物の処理は、使い捨てのマスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないようにふん便、おう吐物ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取り、おむつ等はできる限り揺らさないように取り扱います。ふん便やおう吐物が付着した床等は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように拭き取ります。拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約1000ppm)を入れることが望ましい。)

片づけが終わったら、よく手を洗い、うがいをします。消毒剤のご使用にあたっては、商品に記載されている使用濃度、使用方法に従ってご使用ください。また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、ふん便やおう吐ぶつは乾燥させないことが重要です。
参加した職員からは、「教科書などで学ぶだけでなく、実践ができ非常にわかりやすかった」
「忘れていたことや、曖昧なところを再確認できた」との声をいただきました。