心臓関連の検査はなぜ必要か?

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透析と心臓は関係ないと思ってはいませんか?
ドライウェイトの話(https://midori-hp.or.jp/nursing-dialysis-blog/dry-weight/)のところでも出てきましたが、透析患者さまの死亡原因の1位は心不全です。
心不全の原因として挙げられるのは大きく分けて、二つあります。
透析患者さまは腎臓の機能が低下し、尿を排出する量が減少するため、ドライウェイトが守れず心臓に負担がかかっている場合と、もう一つは心臓に酸素や栄養を送る血管の狭窄や閉塞などの冠動脈の疾患があります。

透析患者さまは血液中のカルシウムが高い状態にあるため、全身の血管や骨にカルシウムが沈着していき心臓を養うための血管(冠動脈)や、心臓の弁にも付着していきます。
疾患としては主に狭心症、心筋梗塞、弁膜症があります。
また、透析患者さまは冠動脈が狭窄しかかっていても自覚症状がないことがあり、発見が遅れがちになります。

人工透析を長く続けていくとさまざまな合併症が生じてきますが、透析患者さまの6割の方が冠動脈疾患を発症しているといわれています。

上記のようなことから、心臓の動きに異常がないかどうか調べるため、月に1回心電図検査を行い、心臓の肥大や弁の機能の評価のため定期的に心臓エコーを行い、ドライウェイトの設定の目安にしています。
これらの検査は、心臓疾患の合併症のリスクがある透析患者さまには必要不可欠な検査となりますが、患者さま自身に痛みや辛さを与えることがないため、積極的に受けて頂いています。
定期検査によって不整脈や狭心症、心筋梗塞の疑いがある場合は、造影剤を使用した冠動脈CTや心臓カテーテル検査及び治療を随時行う体制を整えています。
高度な冠動脈疾患でカテーテル治療が困難であった場合は、外科的にバイパス手術や、弁膜症に対しても弁置換等の手術が当院で行われています。

透析患者さまにとって心不全はとても重大な病気であり、心不全を未然に防ぐために心臓関連の検査は必要不可欠で、合併症の早期発見に繋がる検査です。
上記のような理由で積極的に受けて頂いておりますが、「また検査するの?」とわずらわしく思われることもあります。
異常の早期発見、早期治療を行うことが大切な患者さまを守るため、また今後の透析患者さまの生活にとても重要になるということを日々のやりとりの中で理解して頂いています。