みどり病院の透析室はなぜドライウェイトに厳しいか?

20151225_nursing-dialysis_01
「今日は何kg増えてきた?」
「今日は2日空きで増えてきたから残してな」
「え~!?週末までにドライウェイトにしましょうね」
といった会話が朝一番、穿刺前にスタッフと患者さんの間で交わされます。
このよく聞かれる「ドライウェイト」とは何でしょう?

「ドライウェイト」とは、透析患者さんにとっての基本となる体重の事です。
透析をされている方は、腎臓が働かなくなってしまい「おしっこ」が出ません。
そのため、「おしっこ」で出るはずの水分や毒素を外に出す事が出来ずその結果、行き場を失った水分は体のあらゆる場所に溜まっていき、全身が浮腫んでいきます。
当然ではありますが心臓や肺にも影響します。
いわゆる心不全の状態です。
心臓はゴム風船のように大きくなり肺うっ血や肺水腫を起こすため呼吸困難となります。
現在、心不全は透析患者さんの死因の第1位です。

心臓という臓器は、一度大きくなってしまうとなかなか元の状態に戻らないゴム風船のような臓器です。
ゴム風船は一度大きく膨らませた後にしぼませると、びろんびろんに伸びてしまい、元に戻らずしまりのない状態になってしまいます。
また、一度膨らますと、次からは膨らみやすくなります。
これと同じような事が心臓でもおきてしまいます。
心臓も一度大きくなってしまうと、なかなか元に戻りませんし、負荷がかかるとすぐに大きくなり心不全になりやすくなります。

という訳で、心臓を大きくしないために患者さん一人一人に合った適正な「ドライウェイト」を2回/月の採血・胸のレントゲン・心電図から設定し、日々の体重コントロールを行っております。
時には、患者さんに厳しい!といわれ衝突する事もありますが、スタッフにとって家族のように思う大切な患者さんを、透析患者さんの死因第1位である心不全から守るためにということを理解して頂くまでスタッフが丁寧に説明し、週末までに「ドライウェイト」を厳守出来るよう患者さんと一丸となって日々がんばっています。