透析室ではなぜ、定期的にエコー(超音波)検査をするの? ~心エコー、腹部エコーで見るものは?~

看護部/透析室

当院の透析室では、年に1回患者さんの誕生日月に、定期検査として心臓と、腹部のエコー検査を透析の無い日に実施しています。
「週に3回も透析の為に通院しなければならないのに、まださらに病院に来なければいけないの?」と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、まず、これらの検査で何を見るのかを簡単に説明します。

心エコーでは、心臓の動きや冠動脈の状態の評価を、腹部エコーでは、腫瘍の有無を評価します。
次にそれぞれを少し掘り下げて説明していきたいと思います。
透析患者さんの死亡原因の1位は心不全です。
そもそも透析患者さんは、基礎疾患に高血圧、高脂血症、糖尿病の既往がある方が多く、動脈硬化がある方がほとんどといっても過言ではありません。
特に冠動脈硬化による虚血性心疾患が多いのですが、透析患者さん特有の異所性石灰化による弁膜症や、透析に必要なシャント作成の影響で心臓に戻る血流量の増加等により心臓にかかる負担が大きくなり心不全を起こしやすくなります。
心臓カテーテルや、手術による治療が必要な患者さんも少なくありません。
実は、透析患者さんは、約1/3が心不全や心筋梗塞といった心臓病で亡くなっているのです。
そのような心疾患の評価を行うために必要な検査の一つが心エコーです。
冠動脈の疾患は、透析導入早期に発症する場合が多いことが分かっています。
しかし、この疾患が発症しているにも関わらず、自覚症状が無い「無症候性心筋虚血」が多いこともあり、発見が遅れてしまいがちです。
特に、高齢者や糖尿病の方は発症リスクが高いので、自覚症状が無くても早めに心臓の検査を受けることが大切なのです。

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それでは、心臓のエコーで何を見ているのかを説明します。

①心臓の大きさ、形、心臓の壁の厚さ、動き方
心臓病の中には、心臓のサイズが大きくなる場合、小さい場合等、色々ありますが、一般的には、大きくなったときは心臓が弱っていることが多く、大きさを評価することは大切です。
心臓が弱ってくると、心臓の形も次第にボールのように丸くなってくることも知られており、心臓の壁の厚さを調べることで、心肥大があるかどうかも分かるのです。
また、収縮運動をしない心筋の場所や範囲を調べたり、心臓全体の機能の良し悪しも数字で客観的に評価できます。

②血液の流れる速度、方向
これは、弁疾患の診断に無くてはならない情報です。
心臓は4つの小部屋からなり、正常な心臓ではこの部屋を血液が一方向に流れています。
血液が一方向に流れるように部屋と部屋の間に4つの弁がついているのです。
この、異所性石灰化等で弁がうまく機能しなくなり血液が逆流する場合は「弁逆流」、弁が開きにくくなって血液がスムーズに流れなくなったときは「弁狭窄」と診断します。
このように、弁がうまく機能しない病気を「弁膜症」と呼んでいます。
みどり病院透析室での心臓の検査は、心エコー以外にも、心電図、ホルター心電図、冠動脈CT等々、状態に合わせて様々な検査を行っております。
定期的に、心電図、心エコーを受けていただき早期発見に努めたいと思います。

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次に、腹部エコーで何を見るのかを説明します。
腹部エコーでは、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度も調べることができます。
それに映し出される画像はリアルタイムで動いて見えるため、検査の為の組織を採取したり、臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。
この検査で、調べられる臓器は、肝臓、胆のう、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺、子宮や卵巣が対象になります。
大きさ・形・血流についても情報が得られます。
腹部の動脈のふくらみから大動脈瘤がわかったり、慢性膵炎や胆のう炎などの炎症、石灰化、胆石症などの結石、膵臓癌や胆のう癌などを調べることができます。
肝臓や膵臓、腎臓には、のう胞といって水の溜まった空洞ができることがあるのですが、透析患者さんは、腎臓にのう胞が出来やすく、透析期間が長いほど合併率が高くなります。
健康な人より、透析患者さんの腎のう胞は、癌になるリスクがとても高いのです。
そのため、年に1回の定期的な検査が必要なのです。

これらの検査は1時間程度かかるため、時間に余裕を持たせ、透析の無い日に検査日を設定させていただいております。
透析で週に3回も通院している上に、さらに病院に来るのは大変ですが、以上の理由で定期健診に組み込んでいます。
みどり病院透析室の大切な患者さんの病気の早期発見、早期治療の為にご協力よろしくお願いします。

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