リン/カルシウムが高くなると?(影響はどこに出る?)

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今回は、透析患者さんのリンとカルシウムについてお話したいと思います。
リンやカルシウムは人体に必要なミネラルの一種で骨や歯を形成し、体内の様々な細胞に存在します。
毎日食べる食事から体内に入ったリンは腸で吸収され骨などの必要な組織に運ばれ、吸収されなかった残りのリンは便と一緒に体外に排泄されます。
透析患者様では、腎臓が働かなくなる為に腸で吸収されたリンと同じ量のリンが腎臓から尿中に排泄されなくなるため、体内に貯まりリンの値が高くなってしまいます。
また、活性型ビタミンD₃という血液中のカルシウムを調節してくれる働きのビタミンが、腎臓の機能の低下により産生されなくなるため、カルシウムの吸収とバランスが崩れ体内に貯まりカルシウムの値も高くなってしまいます。
では、リンとカルシウムが高くなると?低くなると?どうなるのでしょう。

【リンが高くなると…】
①異所性石灰化
・目の結膜 目が赤く充血
・血管 動脈硬化を起こし、心血管疾患(心筋梗塞 狭心症 心不全 不整脈 脳梗塞 脳出血など)になりやすい
・皮膚 かゆくなる
・関節 関節が動きにくくなり、関節痛が起こる
②二次性副甲状腺機能亢進症
・骨がもろくなり、骨折しやすくなる

【リンが低くなると…】
①中枢神経症状として、意識障害、意欲低下
②血液異常として、溶血性貧血、白血球機能低下、血小板機能低下
③消化器異常としてイレウスが起こる可能性
④神経・筋症状として、呼吸筋の筋力低下、嚥下障害、筋肉痛
・慢性的な低リン血症では、くる病、骨軟化症、尿管結石などが起こりやすくなる

【カルシウムが高くなると…】
①疲れやすい、脱力感
②中枢神経症状 焦躁感 錯乱 幻聴 錯覚 意識障害
③尿関連 多尿 多飲 のどの渇き 腎不全
④循環器系 血圧上昇 心電図変化
⑤消化器系 食欲低下 嘔吐 胃潰瘍
⑥その他 偽痛風 皮膚のかゆみ

【カルシウムが低くなると…】
①骨粗鬆症
②発育不全
③骨や骨が弱くなる
④神経過敏となりイライラしやすくなる

透析患者様は高リン血症・高カルシウム血症が問題となりやすく、リン含有量が少ない食品を紹介・食事指導する食事療法やリン吸着薬・カルシウム製剤などの薬物治療を行いリンとカルシウムをきちんとコントロールすることが望ましいです。
そうすることでさまざまな合併症の予防に努め、元気で透析生活を長く続けられるように頑張りましょう。

明石近辺ではちりめんじゃこやいかなごが特産物です!
リンが多く含まれていますので食べ過ぎないように注意しましょう!