糖尿病と透析の関係


昨今、糖尿病と透析は、切っても切れない関係になってきました。
そこで、今回は4個の項目にわけてお話したいと思います。
1)糖尿病とは
2)糖尿病による3大合併症
3)糖尿病性腎症について
4)糖尿病性腎症が進行すると

1)糖尿病とは

糖尿病は現代病の中で、生活習慣病とも言われ、多くの人を悩ましている病気の一つです。
糖尿病とは読んで字の如く、糖が尿に流れ出てしまう病気です。
血液中の糖の濃度が高すぎて尿にまで糖が出てしまう状態になっているということです。
では、なぜ糖が尿から流れ出てしまうのでしょうか?

腎臓の機能が低下して、体内で必要とされる糖まで尿と一緒に排出しているわけではありません。
糖は私たちの身体には必要不可欠の物質ではありますが、血液中の濃度が高すぎる状態が持続すると問題があります。
通常、血液中の糖の濃度はインスリンといわれる膵臓から分泌されるホルモンによってコントロールされています。
インスリンの分泌を受けて細胞が血液の中から糖を取り込んでエネルギーとして利用しています。
何らかの原因によって、このインスリンが分泌されないもしくは分泌量が不足すると細胞が糖を取り込むことができず、エネルギーとして利用できなくなり、血糖が高い状態になります。

血糖値が高くても、最初のうちは、ほとんど症状を感じることはないのですが、血糖の高い状態を放置することによって、次第に全身の血管や神経が傷ついて、全身の様々な臓器に障害をきたしていきます。

 

2)糖尿病による3大合併症

糖尿病性網膜症
糖尿病性神経障害
糖尿病性腎症

上記の3大合併症の原因は血糖が高い状態が続き、血管が傷つけられ、血流が悪くなることによって起こってきます。
この主な合併症のうち、今回は透析と関係の深い糖尿病性腎症についてお話します。

3)糖尿病性腎症とは

糖尿病性腎症の主な原因は糖尿病による高血糖と高血圧です。
高血糖、高血圧が続くと全身の血管が動脈硬化を起こします。
特に腎臓の血管で動脈硬化が進行すると、尿を作る「糸球体」といわれる部分の毛細血管が傷つけられ、血管の状態が悪くなることで、血液の流れも悪くなります。
糸球体は血液中の水分や毒素を濾過する役割があります。
濾過されたものが尿の元になります。
この糸球体の血管が動脈硬化を起こすことで、血液の流れが悪くなり、濾過する能力が低下=腎機能低下に繋がります。
腎機能が低下すると、毒素や水分が体内にたまり、むくみ、だるさや疲れやすくなります。
この状態を糖尿病性腎症といいます。

4)糖尿病性腎症が進行すると

糖尿病性腎症が進行すると腎機能が著しく低下します。
腎機能が低下することで、余分な水分、尿毒素といわれる老廃物等が体内に溜まってしまいます。
そのような状態になると尿毒症となり、気分不良、食欲不振、見当識障害等日常生活に支障をきたすようにもなります。

血液中に溜まった毒素や水分を除去するために透析療法といわれる治療法が必要となります。
透析療法は週3回の4時間、施行します。
透析導入に至る原因となる疾患で一番多いのも糖尿病性腎症です。

最後に
糖尿病の多くは生活習慣によっておこるといわれています。
日頃から、暴飲暴食を控え、適度な運動をすることで糖尿病になりにくくなります。
万が一、糖尿病になったとしても、医療機関で指導される方法を守り、血糖コントロール及び血圧コントロールをすることで合併症が発症しにくくなります。

最近の透析導入患者数の割合で一番多い疾患は糖尿病によるのもです。