医療者から見たフットケア  ~自分の足は自分でまもる~

看護部/透析室

人間は立ったり座ったり歩いたり、生活する上で重要な役割を持っています。
皆さんは足のない生活が想像できますか?
足がなくなると行動範囲が制限されてしまい精神的にも大きなダメージを受けるため、生きる気力をなくす方を多く見かけます。
加齢や糖尿病、その他の全身の病気のため血流が悪くなると、心臓から一番遠い足の血管が詰まりやすくなります。
完全に詰まってしまうと足を救うことはできません。
私たち医療者にとって「フットケア」とは、足を守り、その人の生活を守ることであり、単に足爪をきれいにすることではありません。
健康な人はあかぎれや水虫、瘭疽などで足を失うことはありませんが、糖尿病や下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)、免疫の低下している方や高齢者はほんの些細な傷から重症化し、足を切断することになりかねません。
だからこそ「フットケア」が重要なのです。しかも毎日のケアが大切なのです。

ここでは自分で行うフットケアを紹介します。まず、靴や靴下を脱いで、足の表面を見て、触ってください。

①足が冷たいか、温かいか
②皮膚がカサカサしていないか
③かかとがささくれ立っていないか
④傷が無いか
⑤爪が伸びていないか
⑥爪が食い込んでいないか

これが観察項目です。
しっかり足のウラまでよく見ましょう。

①足が冷たいか、温かいか
これは、足の血流の観察です。
私たちが主に観察する項目は、膝下動脈(膝の裏の血管)・後脛骨動脈(内踝の動脈)・足背動脈の触知です。
足の血流障害を数値的にアセスメントする方法の一つとして、ABI(足関節/上腕血圧比)の測定があります。
これは病院で行う検査で、当院でも行っております。
この他に足が冷たくて眠れないとか、歩行中に足が痛くて進めなるが休憩するとまた歩けるようになるなどの症状のある方は、早めに病院で検査を受けましょう。
血管が細くなっていたり、詰まっている可能性があります。
足の血流を促進させるには、入浴が効果的です。
少なくとも下半身を温めるよう少しぬるめのお湯に長時間つかるようにしてください。
炭酸泉浴はもっと効果的です。

②皮膚がカサカサしていないか
③かかとがささくれ立っていないか

血液循環が悪いと皮膚の新陳代謝が悪くなり皮膚の再生能力も低下します。
油分が無くなりカサカサしてきます。
特に踵は角質層が分厚くなっていますのでささくれ立ってきます。
入浴時に軽石でこする方をよく見かけますが、傷をつくり水虫の原因にもなりやすいのでお勧めしません。
入浴後しっかり保湿しましょう。
軽い状態なら保湿クリームや軟膏でもかまいませんが、ワセリンで十分保湿することをお勧めします。
ただ、ワセリンは石鹸で落ちにくいので、入浴時にしっかり洗い流してください。
足趾の間・踵・足の裏は見えにくい部分ですから、よく観察しながら洗いましょう。

④傷が無いか
足は蒸れやすく体温があるため、菌が繁殖しやすい環境です。
傷ができると菌が繁殖しやすく、糖尿病患者や免疫抑制剤剤を服用している方など抵抗力の弱まっている患者ではあっという間に悪化することがあります。
早めに手当てしましょう。

⑤爪は伸びていないか
⑥爪が食い込んでいないか

爪を切るときは、爪周囲の皮膚を一緒に切って出血させないように十分に注意しましょう。
ニッパーを使うときは刃先のみを使い少しずつ切っていきます。
あくまでも皮膚を巻き込まないように十分に注意してください。
不安な方は、爪やすりのみを使いこまめに整えるように削っていくとよいでしょう。
爪の長さは指とほぼ同じながさに切り、引っかからないように角を少し落とします(スクエアオフ)。
深爪にならないように十分注意してください。

爪を切ったら断面が滑らかになるようにやすりをかけます。
爪の形に添って中央に向かって左右から半分ずつかけ、最後に上から下に向けて仕上げます。
巻き爪があると、爪が食い込んで傷をつくりやすく、瘭疽の原因にもなりかねません。
食い込まないように早めに処置する必要があります。
専用のテープが市販されていますが、食い込んでいる部分の爪と皮膚の間にコットンを挟む方法もあります。
病院によっては「マチワイヤ」をかけて短期間に矯正させる方法もありますが、当院では行っておりません。

最後に足のストレッチを紹介します。

A)アキレス腱伸ばし
B)足を手でもって足首まわし
C)床に敷いたタオルを足趾で手繰り寄せる「タオルギャザー」

D)足の指じゃんけん(写真グー・チョキ・パー)

E)足趾広げ運動

これ以外にも、足の趾から足の裏へのマッサージやふくらはぎのマッサージなどがあります。

足は多くの筋肉や腱・骨でアーチを形成しています。
人の足のアーチ構造は強靭かつある程度の変形性を持つことで不整な地表面で長時間体重を支え、効率よく歩行できています。
いつまでもよい状態で歩けるように日ごろから足のケアと運動を心がけましょう

参考文献 はじめよう!フットケア 日本フットケア学会編  

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