便秘でお悩みの透析患者さんへ

看護部/透析室

透析患者さんの多くは便秘で悩まれています。当院でも、そんな患者さんに寄り添い少しでも悩みを軽減できるよう日々努めています。
その原因として、透析患者さんは、心不全を予防するために厳格な水分制限を行っており、その影響で便が硬くなります。また、腎機能が低下すると、腎臓からリンやカリウムが十分に排泄されず血中の濃度が上がるため、それらを下げる薬を服用します。その薬剤の副作用で便秘になることがあります。私達は、一般的に便秘予防・改善の為に、食物繊維を積極的に取り入れますが、食物繊維は野菜や豆類に多く含まれますが、それにはカリウムも多く含まれることが多いため、摂取する事が難しいのが現状です。そして、透析患者さんには、糖尿病を合併している方が多く、神経障害による大腸の蠕動運動の低下や知覚障害により便秘になりやすくなります。

便秘を放置していると、様々な合併症が起こる恐れがあります。いくつか上げますと、
①腸閉塞
便が腸で詰まった状態です、腸閉塞になると、腹痛、吐き気等の症状が出ます。
②虫垂炎・腹膜炎
硬い便が虫垂を閉塞または、刺激する事により、細菌感染を起こして虫垂炎・腹膜炎を起こすことがあります。
③腸管穿孔
便秘で一番恐ろしい合併症がこれです。便秘が悪化すると、便が腸を突き破って、腸に穴が開きます。腸に穴が開くと、腸内の細菌や雑菌が体内に入り、敗血症・エンドトキシンショックを起こし生命にかかわります。腸管穿孔を起こした場合は、穴の開いた腸を外科的に切除して、人工肛門を造らなければなりません。
④大腸憩室炎・大腸ポリープ・大腸がん
便秘は腸内細菌の乱れを起こす為、腸内の悪玉菌が増えます。悪玉菌は、発がん物質など有害物質を発生します。それにより、大腸ポリープ、大腸がんの発生率を上昇させます。

このような事にならない為に、体調に合わせて適度で無理のない運動をし、3回/日食事を摂る(特に朝食)ことです。また、だいたい決まった時間に排便習慣をつけることも大切です。それでも、頑固な便秘には、薬物療法を選択します。私達は、患者さんの状態に合わせて下剤を処方しますが、よく使用するのが、プルゼニド、アローゼン、ラキソベロンといった刺激性下剤といって腸の動きを刺激して排便を促すものや、ソルビトールといって浸透圧を利用して腸管内に水分をおびき寄せ便を柔らかくする薬剤があります。便秘を放置せず、悩まれている方は、ぜひご相談下さい。
上記にも紹介しましたが、透析患者さんは、水分・カリウム・リン等の制限があり、患者さんから「何も食べるもんない」「何食べたらいいかわからん」といった声をよく耳にします。
たしかに制限はあり、摂りすぎるとよくないものもありますが、私達は基本的に食べてはいけないものはないと患者さんにお伝えしています。ただ、暴飲暴食をせず、水分制限はしっかり守って、バランスの良い食生活をしていただけると良いと思います。
食物繊維が豊富で、カリウムの控えめなレシピをご紹介したいと思います。

【ごぼうの炒め煮】

材料(2人分):
ごぼう-100g(小さめ1本)
糸こんにゃく-20g(1/4袋)
豚挽き肉-30g(←これを抜くと、リンとカリウムがもう少し減らせます)
しょうゆ-小さじ2、みりん-小さじ2、だし-20ml
《カリウム220mg、繊維3.6g、カロリー90kcal》1人分

作り方:
①ごぼう・こんにゃくは食べやすい大きさに切り、こんにゃくは下茹でし、灰汁を取る
②フライパンでひき肉を炒めて、そこへ①を入れる
③沸騰したら火を弱め、適度にかき混ぜ煮詰める
④火を止め、皿に盛り付ける

☆一言コメント☆
ごぼうを切ると、黒くなるので酢水に漬けたりしますが、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸という成分のようです。クロロゲン酸は脂肪肝や糖尿病の予防に役に立つのではないかと言う研究が進んでいるみたいです。そのため、クロロゲン酸を残すという意味で、酢水に漬けなくてもいいのかもしれませんね。

メニュー