知ってる?病院の「腎機能障害を合併した糖尿病患者の食事」

栄養科

糖尿病と腎臓

前回、糖尿病のお話をしました。糖尿病の合併症に腎臓の機能低下があります。それを「糖尿病性腎症」と言います。

糖尿病から腎不全、透析食のお食事

糖尿病食は健康食と言われるように、体に必要なものをバランスよくとります。しかし、合併症が進み、腎臓の働きが悪くなってくると、食事内容にも変化が出てきます。

糖尿病では血糖値をコントロールするために、特に炭水化物(ご飯、パン、麺類)を意識していたと思います。ところが、糖尿病性腎症になるとたんぱく質(主に肉、魚、大豆類、卵など)に注意して食事をします。なぜ、たんぱく質を意識するかというと、腎臓は摂取したたんぱく質から出る不要物を分別して尿から出しているからです。腎臓の機能が低下した場合、たんぱく質を多く取ると不要物をたくさん尿から出さないといけない、または出せずに体に貯まることになります。そのため、入ってくる量を調節して、腎臓の負担を軽減します。
たんぱく質を減らすと減らした分のエネルギーが減るので、エネルギーを補う目的で炭水化物や脂質の割合を調節して、1日の摂取エネルギーを保持します。今まで取り組んできた食事療法と少し、異なるため受け入れるときに戸惑うことが多いです。特に、自分が食べているたんぱく質の量を計算することは手間がいります。
具体的にはどのように食事が変化していくのでしょう?
腎臓の機能は5期に分けられ、第1期から始まり、第3期からたんぱく質の制限が厳しくなります。第3期では体重あたり0.8~1.0g/kg/日、第4期になると体重あたり0.6~0.8g/kg/日とさらに厳しくなります。
ここで、第3期になったときのたんぱく質の制限のイメージを簡単に説明すると、定食を食べにいって、ごはん、魚の煮付け、小鉢、味噌汁とセットになっている場合、血糖値の管理をしているときは、ご飯の量が多くならないように調整します。そこに腎臓の食事療法が加わるとたんぱく質の量にも注意することになります。そのため、魚の量、種類、小鉢にはたんぱく質の多い食材はないかと注意します。
具体的な数値を出すと、150cm、49kgの方であれば0.8~1.0g/kg/日の設定になるため、1日のたんぱく質量は40~50g/日になります。
たんぱく質量が40~50g/日と言われてもピンとこないですが、今食べているおかずの量と比較すると主菜のたんぱく質(肉、魚、大豆類、卵など)の量が2/3程度に減ります。そして、減った分を補う為に調理法を意識して焼き魚を油を使った、揚げ魚などに変更します。
一方、高齢者においては、たんぱく質を控えすぎると栄養が足りず、サルコペニアなどの栄養が足りない状態になる可能性が出てくるため、状態をみてたんぱく質の制限を緩やかにして、減塩中心で食事療法をするときもあります。
さらに、たんぱく質制限と同時に重要なことが血圧管理です。そのため、塩分制限が厳しくなり食塩相当量3~6日/gの設定になります。この数字は減塩を意識せず食べる食事の塩分量の1/3~1/2程度になります。
第4期からは尿に出せるはずのカリウムが出せなくなります。腎臓が悪くなるとカリウムが出せなくなり、血液の中に増えてしまいます。そして、血液中のカリウムが高くなります。そのため、たんぱく質の制限に加えて食事からのカリウムの制限が入ってきます。
そして、第5期になると透析導入になります。そこで、また食事のポイントが変わります。透析をすることで不要物を除去できるため、第3期、第4期で行ってきた厳しいたんぱく質制限がゆるくなります。カリウムや塩分の制限は続きます。

入院時のお食事の特徴

当院にある腎臓病のお食事です。
食事を選ぶときは身長・体重、活動量、腎臓機能の状態などをみて腎臓に負担をかけないお食事を出すことになります。
参考までに当院の腎臓病食のお食事の種類を載せておきます。

●糖尿病患者のための腎臓病食
1600kcal たんぱく質35g 塩分6g未満
1800kcal たんぱく質45g 塩分6g未満

●透析食
1700kcal たんぱく質60g 塩分6g未満
1800kcal たんぱく質65g 塩分6g未満

●ちなみに糖尿病食は
1400kcal たんぱく質60g 塩分6g未満
1600kcal たんぱく質70g 塩分7g未満

糖尿病食と比べるとたんぱく質の量が少ないことが分かります。
糖尿病患者のための腎臓病食1600kcalたんぱく質35gの設定を例に見ていきましょう。
たんぱく質35gとは実際の材料にするとどれくらいでしょう。
たんぱく質は多くの食材に含まれます。割合の多い食材は肉、魚、大豆類、卵などですが、米飯などにも含まれています。具体的には卵1個のたんぱく質の含量は約6gです。米飯は同じグラムで約1.2gです。それらすべてのたんぱく質を合わせて、1日に食べる食事に含まれているたんぱく質の量が35gになるように計算をしています。
では、少し難しくなるのですが、たんぱく質35g/日にするためにはどれくらいの食材がたべられるのかというと、たんぱく質の多く含まれている食材の量を中心に考えるとおかずの量(肉、魚、大豆類、卵など)の目安は材料にすると1食あたり、だいたい食材量30g程度です。スーパーで売っている魚1切れ大体食材量80~100g程度とすると材料量が30gというと1切れの1/3~1/2程度になります。(たんぱく質の量35g/日と食材量30g/日と数値が2つ出てくるためここがややこしいところです。たんぱく質はおかず(肉、魚、大豆類、卵など)以外にもほぼ全ての食材に含まれています。そのため、おかずからの量は材料にして大体食材量30g程度となります。)
たんぱく質の制限が厳しくなってくると全体のバランスを取る為に、たんぱく質の多い食材以外にたんぱく質の含まれる量が少ない食材、例えば、ご飯などに含まれるたんぱく質なども制限します。減った分はその他の栄養素で補えるように献立を作ります。厳密にたんぱく質を調整しようと思うと計算がとても難しいです。
このように糖尿病の合併症で、腎臓が悪くなった場合、糖尿病のときにしていた食事療養とは少し違ったところが出てくることが伝わったでしょうか?
今回は糖尿病患者のための腎臓病食のお食事とたんぱく質の量の変化を中心に書きました。その他にも少しふれた塩分やカリウムなど腎臓のお食事のポイントはまだまだあります。今回は一部を紹介させてもらいました。続きはまたの機会に。

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