知っている?みどり病院の「糖尿病食」

栄養科

糖尿病と食事の3つのポイント

今回は糖尿病の療養の「食事」、「運動」、「薬」の三本柱のうちの「食事」の部分をお話します。
まず、食事が血糖値に与える影響は
①食べたものは、胃で消化されます。
②小腸で糖(ブドウ糖)が吸収され、血糖値が上昇します。
③ブドウ糖は血管を通って全身に運ばれ、エネルギーになります。
④膵臓からインスリンが分泌されて血糖値が下がります。
⑤余った糖分は肝臓、脂肪などに蓄えられます。

*インスリンが血糖値を下げてくれているときは食べる量が多くても、血糖値を一定に保ってくれています。
しかし、④で血糖値を下げる機能が働かなくなると血糖値が上がってしまいます。
それでは、血糖値の上昇を防ぐには私たちはどうやって食べたらいいのでしょうか?

糖尿病の食事の主なポイントは
①適正なエネルギー量にする。
食事のエネルギー量が多いと体重が増えます。肥満により、インスリンの効きが悪くなります。そして血液中の血糖を十分に取り込むことができなくなります。そのため、血糖値が上がりやすくなります。
体重を評価するには、BMIを用います。普通体重の範囲はBMI=18.5以上~25未満です。
BMI=22が糖尿病や高血圧の有病率が低いと言われています。
では、自分でBMI=22がどれくらいになるか計算してみましょう。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
160cmの方の最適体重(標準体重)は
例)1.6(m)×1.6(m)×22=56kgになります。

②1日3食、同じような時間に均等な量をゆっくり食べる。
血糖値は食事を食べると2~3時間でピークを迎えます。朝食、昼食、夕食の間隔が短いと、血糖値が十分に下がらないうちに次の食事を取ることになり、血糖値が高くなります。また、食事と食事の間に間食を食べると、血糖値が上がり、次の食事までに血糖値が下がらない状態で、食事を食べることになります。そうすることでだらだらと血糖値が高くなってしまいます。メリハリのある血糖値の動きになるように食事の時間や量を調整します。
また、早く食べると血糖値も急上昇します。よく噛んでゆっくり食べましょう。

③栄養のバランスをとる。
1つのものにこだわらす、色々な食材を取り入れていきましょう。
主食、主菜、副菜を揃えるようなイメージです。
指示エネルギーの55~60%を炭水化物から摂取し、たんぱく質は標準体重1kgあたり、1~1.2gとし、残りを脂質で取ります。
特に炭水化物(主食・イモ類など)は血糖値に反映されやすいので、量に注意が必要です。

入院時のお食事の特徴とカロリー設定

当院の糖尿病食はカロリー別に1200・1400・1600・1800kcalがあります。
そして、食事を食べる時間は8時、12時、18時に決まっており、同じ時間にリズムよく食べる環境です。
カロリー別に三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)のバランスが取れるように基準を作っていきます。そして、その基準を元に献立を立てていきます。糖尿病食はバランスのいい食事といわれ、前回、お話した一般食によく似た食事内容になります。一般食と少し違うところは以下のようなところです。

●糖尿病食の献立の特徴
・パンにつけるジャム:血糖値の上がりにくい商品を選んでいます。
・炭水化物の量を調整:イモ類が多くならないようにしています。麺類の日は主食の量を減らしています。果物は缶詰ではなく、生の果物を使います。

では、どうやってこの4種類のカロリーから選んでいるのでしょうか?
必要なカロリーを決めるために計算をします。

●必要エネルギーの求め方
1日あたりの必要エネルギー摂取量(kcal/日)=①標準体重(kg)×②身体活動量(kcal/kg)
①標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
②身体活動量
軽労作(デスクワークが多い職業など)…20~25kcal
普通の労作(立ち仕事が多い職業など)…30~35kcal
重い労作(力仕事が多い職業など)…35~kcal

例えば スーパーマーケット勤務女性 150cm、55kg
①標準体重を計算する。
1.5m×1.5m×22=49.5kg
②身体活動量を加える。
49.5kg×30kcal/kg=1485kcal/日
*基本的には標準体重を使い計算します。
*活動量は②身体活動量を使います。

*この方の1日の目標摂取量は1400~1500kcal程度になります。

入院中の活動量が普段より少なくなる。または体重を減らしたいなどの理由があれば
糖尿病食1400kcalを選びます。もし、入院中の活動量が増える場合(運動療法などでたくさん運動する場合)は糖尿病食1600kcalを選ぶことになります。
糖尿病があっても、他の疾患の治療目的で入院されている場合は糖尿病食にならない場合もありますが、もし、糖尿病治療目的で入院された方は自分にどんな食事が出ているか確認してみてください。

今回は糖尿病のお食事のポイント3つ、入院時のお食事の特徴と食事のカロリーの選び方をお話ししました。また、必要エネルギーの求め方について少し詳しく触れました。

ここで症例を紹介します。
60代の女性、身長146cm
2016年7月にHbA1cが6.9%と言われて食生活を見直すことになりました。
当時の体重は87kg(BMI=41)でした。食事の時間は規則正しかったので、適切なエネルギー量にしました。
具体的には、暇があれば食べていた間食を止めました。そして、体重減少とともに食事の量も減らし、1300kcal/日程度で調整されています。その結果、約2年間かけて体重を減らし、2018年には54kg(BMI=26)になりました。少し高めであったHbA1cは4.9%に下がりました。この方は糖尿病の薬は飲まず、体重のコントロールと食生活の見直しで血糖値が改善しました。

以上、糖尿病のお食事のお話でした。
次回は糖尿病の代表的な合併症である、糖尿病性腎症についての食事内容をお話ししたいと思います。

メニュー