美味しくて食べやすいミキサー食を作ろう!~みどり病院の厨房の取り組み〜

栄養科

今回は栄養科の業務の一部である入院中の患者さんへの食事提供についてお話ししようと思います。

入院中は食事が楽しみだ!しんどくて食べられなかったけど、最近は食欲が戻ってきたなど、うれしい意見をもらうこともありますし、味付けが合わなかったなどまだまだ、見直しが必要だなと思わされる意見をもらうことがあります。ただ、厨房で働いている職員が、直接患者さんに接することはほぼなく、表に出ることは少ないです。その為、どんな状況で働いているか、伝わりにくい部分もあります。

そこで今回は、厨房職員の取り組みについてお話しします。
入院中の食事は個人に合わせて、色々な種類の食事があります。飲み込みが悪くなったり、噛む力が弱くなった方が食べやすいように食事の形態を加工した、「ミキサー食」というものがあります。

ミキサー食はあまり馴染みがないと思いますので、作り方を簡単に説明します。
ミキサー食とは、調理済みの料理をミキサーに入れて、ミキサーが回る程度の水分を入れてペースト状にします。そのままでは、飲み込みにくいので、均一でまとまりをつけるためにとろみ剤を入れて粘度を調整します。

ミキサー食は調理後に形態の加工をするため、手間がかかります。しかし、手間をかけているわりには病棟でミキサー食を食べている患者さんをみていると見た目が嫌だ、ミキサー食って何を食べているかわからないし、味が薄くて食べられない、普通の食事が食べたいなどの意見をもらうことがあります。

ミキサー食のイメージが決して良いものではありませんでした。そこで、「おいしくて食べやすいミキサー食を作ろう」と取り組みを始めました。
ミキサー食をまわすときに材料だけでは、空回りして、滑らかな物性にはなりません。しかし、水分を入れすぎると味は薄まり、さらに材料とミキサーの刃が上手く接することができなくなり、粒が残るようなミキサー食が出来上がります。
では、当院のミキサー食の加水量は適切か?という疑問が出てきました。

まず、調理員が作っているところを個別に確認しました。そうすると全体的に加水量が多く、もっと加える水分が少なくても十分、材料をペースト状にすることが出来ました。

そこで、水分の量の基準を見直し、1人1人に説明をしました。結果的には加水量を約半分近く減らすことにしました。加水量を減らすことで、水で薄まることなく、しっかりした味を保つことができ、空回りして粒が残ることもない状態に改善できました。さらに水分量が減ったため、まとまりを作るためのとろみ剤の量も減らすことができ、無駄なコストも減らすことができました。

そんな取り組みから始まり、おいしいミキサー食を出すという目標が厨房内に広がり、どうすればより良いものができるか、調理者たちから独自のアイデアが出てくるようになりました。

例えば、魚は調理法によってミキサーすると臭みが強くなることがあります。かといって規定の栄養量が決まっているため、むやみに調味料を足すことは出来ません。
そこで、厨房の在庫にある、ゆずの皮、レモンの果汁など栄養量にさほど影響しない材料を少し加えて作ってみると臭みも軽減し、魚のうまみも引き出すことが出来るようになりました。

次に味だけではなく、盛り付けにもこだわりが出てきました。
煮物などまとめてミキサーにすることもありますが、下記の写真のようにグリンピースだけを別で、ミキサーにして、見た目や味の変化を作ってくれています。

よりおいしく食べてもらうための工夫は厨房の中での話題になる回数が増え、ミキサーを作った人は自分が食べておいしいか食べにくくないかを見るために必ず、味見をするようになりました。

厨房スタッフからのコメントです。
「少しでもおいしく!水を入れてミキサーすれば、ミキサー食は出来上がるが、そうではなく、素材その物の味を感じられるように、自分が食べてみていかにおいしいか!魚であればどうすれば、生臭みが減るかなどを常に考えてミキサー食を作っています。」

さらに、患者さんが食べ終わったあと、どれくらい食べているか意識してくれるようになり、食器洗浄のために下膳されてくる食器に残されているミキサー食の量をみて
「今日は残食が少なかった。みんな食べているわ!!」
「これは残っているから食べにくかったのかな!?」
「これは色合いが悪いね!」などなど
洗うだけではなく、手間をかけて作っているミキサー食がどれくらい残っているか状況を確認するようになりました。

そのような取り組みのおかげでミキサー食=手間がかかるわりには、さほどおいしいものではないというイメージがなくなりました。見た目はまだ、抵抗があると思いますが、当院で提供しているミキサー食はかなりおいしくなったと思います。

また、ミキサー食つくり以外にも、どうすれば、入院中の治療食が患者さんにとって「美味しくて食べやすい食事」になるかを考えて行動する機会が増えてきました。
今後も医師、看護師、管理栄養士、厨房職員がそれぞれの立場を生かして、よりよいチーム医療を提供できるように取り組んでいきたいと思います。

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