循環器疾患と薬剤師(利尿薬について)

20161209_pharmacy_01
前回までは、当院の各部署と薬剤師との関係についてお話ししてきましたが、今回は少し毛色を変えて実際の病気と薬剤師が、どの様に関わっているのかについてのお話しをしたいと思います。
うーん、何についてお話ししましょうか・・・。
そうだ!
当院は、弁膜症の手術をはじめ循環器に力を入れている病院なので循環器に関する内容にしましょう。

循環器の病気の患者さんによく使われるお薬はとてもたくさんの種類があります。
血圧を下げるお薬、不整脈を抑えるお薬、心不全(心臓の動きが低下した状態)を治療するお薬、浮腫(むくみ)を取るお薬、血栓(血管内に血の塊ができる事)を予防するお薬、血管が詰まらない様に予防するお薬などなど・・・。
その中で今回は『利尿薬(りにょうやく)』にスポットを当ててみたいと思います。
ところで、以前登場してもらった循環器病棟担当の薬剤師さんを覚えていますか?
その薬剤師さんに今回も登場してもらいましょう。
こんにちは、循環器病棟担当の薬剤師さん!
また色々と教えてください。

早速ですが、利尿薬ってどんなお薬なのですか?

薬剤師)
利尿薬とは、尿量を増加させ、体内の不要な水分の排泄を促し、血圧を下げたり、むくみなどを軽減するためのお薬です。
一般的には「おしっこを出しやすくする薬」というような説明がされていると思いますが、利尿薬にも様々な種類があってそれぞれ特徴があります。

どんな病気の患者さんに利尿薬は使われるのですか?

薬剤師)
高血圧や心不全時の胸水(胸に水が溜まる事)、浮腫などの患者さんによく使われます。

何か注意する事は有りますか?

薬剤師)
特に夏場は、医師からの水分制限がある場合を除いて「とれる範囲でしっかり水分補給をしてください。」と患者さんには指導しています。
また我々薬剤師は、電解質(ナトリウム、カリウム)などに異常がないかなど血液検査も注意して見ています。

最近発売された(と言っても発売後5年経ちますが)新しいタイプの利尿薬『サムスカ錠(一般名:トルバプタン)』について詳しく教えて下さい。

当院でも循環器病棟患者さんの処方ではよく見かけますね。

薬剤師)
トルバプタンは今までの利尿薬とは違い、電解質(ナトリウム、カリウムなど)に影響を与えずに水分だけを排泄する利尿薬です。
また、ほかの利尿薬に追加投与することで優れた利尿効果を示します。
ただし、水分をたくさん排泄するため、口渇(口が渇く)や頻尿(排尿回数が増える)になったりするので注意が必要です。

利尿薬が処方されている患者さんに薬剤師はどのように関わっているのですか?

薬剤師)
実際に患者さんのところへ行き、むくみの程度を確認したり、トイレに行く回数が多くて困っていないかなどを確認しています。
副作用に口渇などがあるため、水分制限がある場合を除いては、取れる範囲でしっかり水分補給をしていただくように患者さんに説明しています。
また、夜間の頻尿が続いて熟睡できなかったり、患者さんの生活に支障をきたす場合などは主治医や看護師さんに相談したりもしています。

ありがとうございました。
循環器についての内容を書く時はまたお声をかけますのでよろしくお願いしますね。