糖尿病との関係って夫婦関係と似てると思いませんか?

薬剤科

厚生労働省の2014年の調査によると、『糖尿病』の患者数は316万6,000人となり、前回の調査時の2011年の270万から3年で46万6,000人増える結果となりました。
つまり、日本人の約2.5%が糖尿病(40人に1人が糖尿病)という事になります。
糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる人)までを含めると、5人に1人が糖尿病(男性の15.5%、女性の9.8%が糖尿病)であるとも言われています。
また、糖尿病は50歳を超えると増えはじめ、男性では50歳代で10.6%、60歳代で20.1%、70歳以上では22.3%(4人に1人)、女性では50歳代では6.5%、60歳代で13.3%、70歳以上では17.0%(6人に1人)が糖尿病であると言われています。
世界に目を向けると、国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2015年現在で糖尿病有病者数は4億1,500万人に上ります。
また、有効な対策を施さないと、2040年までに6億4,200万人に増加するとも言われています。
こんなに増えてしまって国民的(世界的)な病気となってしまった糖尿病ですが、これだけ増えてしまった原因の一つに、この病気独特の特徴が関係しているのではないでしょうか。

我々は毎日欠かさず食事を摂っています。
その食事は栄養分として体内に吸収されていきます。
栄養分の中の炭水化物(お米やパン、麺類など)という成分は体内でブドウ糖に変換されて吸収されます。
吸収されたブドウ糖は血管の中をプカプカと浮いた状態でカラダのあちこちを巡ります。
そしてこのブドウ糖は、すい臓から分泌される〝インスリン〟というホルモンの作用により体内に取り込まれて身体を動かすためのエネルギー源として使われます。
しかし、〝インスリン〟の分泌が悪くなったり、効きが悪くなってしまうと、スムーズにブドウ糖を体内に取り込めなくなってしまいます。
取り込まれなくなったブドウ糖は、血管の中に溜まってきます。
このブドウ糖が血管の中に溜まりすぎた状態を血糖値が高い状態と言います。
糖尿病は、初期の頃にはほとんど自覚症状が現れません。自覚症状が無いからといって治療を行わないで放置していると、さらに血糖値が高くなってきます。
そんな血糖値が高い状態が長く続くと、そのうちにカラダのあちこちにガタが出てきます。
このカラダのガタの事を合併症と呼んでいます。

合併症の中で特に有名なものは3つあります。
全身の神経に障害が起こる〝神経障害〟、眼に障害が起こる〝網膜症〟、腎臓に障害が起こる〝腎症〟です。
特に〝網膜症〟は失明原因の第2位(1位は緑内障ですが、僅差の第2位です)ですので注意が必要です。
これらの合併症は、血糖値が高い状態が数年から10年程度続くと出てきます。
つまり、少々血糖値が高くても数か月、数年程度であれば目立った自覚症状は出てきません。
しかし自覚症状が出てきてしまったら、すでに病気はかなり進んだ状態で、なかなか元には戻らず、一生病気と付き合っていかなくてはならないのです。
これが糖尿病なのです。
ですから、知らないうちに発病し気付かず放置してしまっている人が多いため、これだけ患者数が増えてしまったのではないでしょうか。

先ほども述べましたが、糖尿病はブドウ糖がうまく体内に取り込めず血管の中に増えすぎてしまう病気で、放置すると怖い合併症を引き起こしてしまう病気なので、血糖値を正常な状態に戻してあげればなんら問題ありません。
血糖値を下げるためには、体内に入ってくるブドウ糖の量を減らしてあげればOKです。
これが『食事療法』です。
一方、体内に入ってきたブドウ糖をしっかりと消費してあげてもOKです。
これが『運動療法』です。もし早い段階で糖尿病が見つかった場合は、これら2つの治療法で良くなる事もあります。
しかし、食事の量を減らしたり、運動量を増やすのは大変です。
多くの方は最初は頑張りますが、そのうちにしんどくなってきて頑張れなくなってきます。
そうなってくると、少し薬の力を借りる事になります。
これが『薬物療法』です。
しかし、薬を使うと血糖値はすぐに下がってくるので、安心して食事や運動をさぼってしまうと、また血糖値は上がってきてしまいます。
そうなると、薬の量や種類を増やさねばならなくなってきます。
また、食事や運動をさぼった状態だと薬も効きにくくなってしまう事もあります。
ですから『薬物療法』を行っている場合も『食事療法』と『運動療法』は続けなくてはなりません。
お医者さんから処方してもらった薬を正しく服用する事は、薬剤師の立場から言わせて頂いたら当然です。
「大変な病気なんやね~」と言われる方もおられるかと思います。
そうなんです大変な病気なのです!
下手をすれば一生この病気とお付き合いしなくてはならないのです。
そう、まるで長年連れ添う夫婦みたいなものですね。

このブログをご覧の方で糖尿病の方がおられましたら、糖尿病とは仲良く付き合ってあげて下さい。
あなたが、『食事療法』『運動療法』『薬物療法』に真剣に取り組んでいれば、『糖尿病』も『合併症』というケンカを吹っかけてくる事も無いでしょう。

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