経静脈栄養法について

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皆様、こんにちは。

今回は栄養科からバトンを受け、みどり病院薬剤科が血管から栄養を補給するためのお薬についてお話ししたいと思います。

まずは栄養を補給するための血管について簡単にお話ししましょう。

血管には静脈と動脈があり、栄養は静脈から投与します。
さらに静脈は末梢静脈と中心静脈にわかれこの2つを使い分け分けています。

末梢静脈から栄養素を投与する方法は末梢静脈栄養法(peripheral parenteral nutrition:PPN)と呼び、中心静脈内に栄養素を投与する方法は、中心静脈栄養法(total parenteral nutrition:TPN)と呼びます。

静脈栄養に用いられる輸液は、水分中にブドウ糖やアミノ酸などが含まれており、浸透圧が非常に高くなっております。
浸透圧が高い輸液を細い血管に投与すると、血管が炎症を起こしてしまいます。
さらに経験はありませんが痛いです。
このような理由から、高カロリー輸液を投与する際は血流量の多い中心静脈から投与し投与と同時に希釈され浸透圧が下がるようになっています。

栄養状態の改善は治療において非常に重要です。
私たちが普段摂取している栄養は体の構成成分を維持するのに用いられ、余剰となった栄養は脂肪となって体内に蓄えられますが、病気の治療には体を維持するため以上のエネルギーが必要となります。
しかし風邪を引いた時をイメージしていただければ良いのですが、病気の時はなかなか食欲がわきません。
またそもそも胃腸の病気の時には食事そのものができなくなります。
しかし、栄養は必要です。
そのために不足しているエネルギーや、治療のためのエネルギーを薬で補おうというのが、経静脈栄養の目的です。

非常に重要なものだということが判っていただけましたでしょうか?
とは言いましても、やはりあまりなじみ深いものではないと思います。
そもそも点滴しているときはなかなか重症の時ですから、そこまで気にしてないのかもしれません。
その中身ですが、まず非常に特異なにおいがします。
はっきり言いましてくさいです。
アミノ酸のせいですね。

また高カロリー輸液を用いる場合、そのまま投与する事はまれで、患者さんに合わせて電解質や微量元素、ビタミンやその他医薬品を混ぜ合わせて使用します。
たいていの高カロリー輸液は24時間かけて投与されるので、この混ぜ合わせる作業の時(混注と言います)に細菌が混入すると、使用するまでの間もしくは投与中に輸液内で細菌が繁殖し、菌の塊を体内に投与してしまうことになります。
人にとって栄養になるという事は細菌にとってもごちそうの塊のようなものです。
普段私たちが食べているものにも、少なからず細菌は付着しておりますが、胃酸や腸内細菌のおかげでふつう感染症にかかることはありません。
菌が繁殖した輸液を投与するということは当然患者さんは感染症にかかり、重症化することも少なくありません。

このため高カロリー輸液の混注は、菌のいない環境を作りだし、無菌的に調整する事が医療界での常識となっています。
もちろん当院でもクリーンベンチという装置を使用し、無菌環境にて高カロリー輸液の混注を行っております。
栄養士が患者さんのほとんどの食事を準備していますが、薬剤師も食べる事が出来ない患者さんの健康管理に携わっているのです。
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