外科手術室と薬剤科の関わり

薬剤科

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当院の外科は、弁膜症の手術などを行う心臓外科をはじめ、消化器外科、整形外科があります。
手術に直接関わるのは、執刀医(実際に手術を行うお医者さん)、麻酔科医(麻酔をかけたり、無防備になった患者さんの生命維持を代行し、患者さん容態を監視し、患者さんに代わって執刀医に警告を行うお医者さん)、看護師(手術中の患者さんのケアやサポートをする看護師さん)、臨床工学技士(人工心肺を操作・管理する技士さん)等、表舞台で活躍している人達がまず思い浮かぶかと思いますが、残念ながら薬剤師はあまり思い浮かばないですね。
確かに薬剤師は直接の関わりは薄いですが、陰でちゃんと活躍しているんですよ。
現在の医療では、お薬は避けて通れません。
手術においても例外ではありません。

例えば、患者さんが手術前に服用している薬の中には手術の何日か前に止めておかなくてはならないお薬もあります。
手術では、身体にメスを入れるので、どうしても出血します。
その様な時、血をサラサラにするお薬(血管が詰まりやすくなっている病気の人や、一部の不整脈の人が服用する事があります。以前『2階病棟(循環器病棟)と薬剤師の関わり』でお話しした〝ワルファリン〟もそのうちの一つです。)が体の中に残っていると、血が止まりにくくなってしまいます。
そうならない様に、手術前に、その様な薬は中止しておく必要があります。
基本的には、内科もしくは外科のお医者さんがチェックをして中止するのですが、薬剤師もチェックに目を光らせています。
手術をする際にも様々な薬剤を使用します。
それらのお薬全てにおいて、何らかの形で薬剤師が関わっています。

今回は、心臓外科手術と薬剤師との関係をご紹介しようと思っています。
では、手術中に使用するお薬を担当している薬剤師さんに詳しく聞いてみる事にしましょう。

手術中に使用するお薬にはどんなものがあるのですか?

心臓外科の手術は、全身麻酔下で行います。
ですからまず麻酔をかける麻酔薬が必要です。
その他に筋肉の緊張を取る筋弛緩薬も使用します。
また、手術中には血行動態が悪くなったりする事もあるので、血圧を上げたり、下げたりさせるお薬や、心臓の動きをアシストする様なお薬、脈が乱れたりする事もあるので不整脈を止めるお薬、出血した時に出血を止めるお薬など様々な種類のお薬を使用します。

手術中に使うお薬はどの様にして管理しているのですか?

通常のお薬は、お医者さんが書いた処方箋を元に我々薬剤師が調剤しています。
しかし、手術では、刻々と状態が変化していきますし、処方箋を書いてから調剤していては間に合いません。
ですから、手術に関わるお医者さんと事前に相談をして、必要なお薬を専用のカートに充填し、手術室に設置して、その中から必要時に必要な分だけ使用してもらっています。
なおカート内のお薬は全て定数を定めているため、幾つ使用したかはすぐわかります。
そして手術が終われば、そのカートの中身と手術処方箋をチェックして、使用したお薬を補充しています。
『富山の薬売の配置販売』のしくみはご存知ですか?
『先用後利』といって、「用いることを先にし、利益は後から」とした富山売薬業の基本理念なのですが、消費者の家庭に予め医薬品を預けておき半年ごとに巡回訪問を行って使用した分の代金を受け取り、さらに新しい品物を預けるというものです。
それと同じと考えてもらえばわかりやすいと思います。

そのカートに薬剤を詰める際に注意している事は何かありますか?

まずは、決められたお薬を間違いなく定数通りに取り揃え、カートに充填することです。
心臓外科の手術は長時間にわたることも多く、手術中に様々なお薬を使用します。
そのときに不足することがないようにしっかり確認しながら用意するようにしています。
また、このカートの中には厳重な管理が必要なお薬も充填されています。
これらのお薬は薬局内では鍵のついた金庫で厳重に保管されていて、専用の帳簿もあります。
これらのお薬の帳簿には、いつ、誰に、どれだけの量のお薬が処方され、またどれだけのお薬が返品されたのかを記録しています。
ですから、手術が終わると真っ先にこれらのお薬の使用状況を確認するようにしています。
使用しなかったお薬は、薬局内の金庫にもどし、帳簿にも記載します。
この作業は薬剤師二人で行い、間違いのないようにしています。
最後に、カートに充填して薬局内の在庫が減ってしまったお薬の発注です。
手術が終了した後に再手術になることもありますし、他の患者さんの手術が入ることもあります。
そのような場合にも対応できるように、しっかり在庫管理することも大切だと思います。

院内で特別に作成しているお薬があるそうですがどんなお薬なのですか?

心臓弁膜症の手術で悪くなった弁の修復を行う際に、自分自身の心膜(心臓の回りを覆っている薄い膜)を少し使用することがあります。
心膜はそのままではペラペラで修復には使用出来ません。
ですから薬品に浸して適度の固さにしてから使用します。
その時に使用する薬品を薬剤師が無菌的に作成しています。

ありがとうございました。
表舞台には出て来ない裏方さんのお仕事ですが、とても大切で責任のあるお仕事ですね。
これからも頑張って下さい。

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