誤嚥性肺炎について 呼吸器内科 増田 憲治 ~広報誌「みどりの風」Vol.33~

誤嚥性肺炎について 呼吸器内科 増田 憲治

高齢者にとって肺炎は命に関わることの多い病気です。
肺炎の死亡者数は年々増加かつ高齢化が進んでいます。
また、肺炎入院患者の75%以上が70歳以上で、そのうちの80.1%が誤嚥性肺炎であったと報告されています。
誤嚥性肺炎には、食事中にむせて起こる顕性誤嚥と、寝ている間に唾液を吸い込むことによって起こる不顕性誤嚥があり、多くは不顕性誤嚥であると言われています。
普段から誤嚥性肺炎を防ぐためにできることを実行していきましょう。

「口腔ケア」と「食べる」ことで予防! 3階病棟看護師

歯磨きや義歯のお手入れが不十分であると、口腔内に細菌が繁殖するため、誤嚥した際の肺炎悪化のリスクは高くなります。鼻腔からカテーテルを入れて経管栄養を行っている方、胃ろうを造設されている方は、唾液の分泌量が少なく、口腔内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすいため、口腔ケアはとても重要です。口腔ケアは、舌や口唇の口腔機能の改善も期待できます。
そして、口腔機能を使って美味しく食べることは、免疫機能の向上にもつながります。嚥下機能を評価した上で、嚥下・摂食訓練を行い、食物の形態や食べる時の姿勢と環境を整え、誤嚥を予防します。そして、介護する側の食事介助の技量も重要となります。

薬が飲み込みにくければ薬剤師に相談しましょう 薬剤師

高齢になると、唇や舌の動きが悪くなったり、飲み込む力が弱くなったりします。
薬が飲み込みにくければ薬剤師に相談してみましょう。例えば薬をとろみ剤やゼリーで包んで飲み込みやすくする方法があります。錠剤は飲めなくても粉や水剤なら飲める人がいれば、薬を粉砕したり水に溶かしたりします。体に貼るタイプの薬があればそれに変更することもあります。患者さんによってどれが良いかは様々です。一番合った方法を一緒に探しましょう。

食べる時の姿勢について 言語聴覚士

食事をする時、特に著明な嚥下障害がない場合は、しっかり座って食べる事が良いとされます。しかし、嚥下障害の症状によっては、リクライニングで食べる方が安全な場合もあります。いずれにしても、テレビなどは消して、落ち着いた環境の中で食事をすることが誤嚥の予防にも繋がると考えられています。

どんなものを食べたらいいの? 管理栄養士

誤嚥性肺炎になると、今までと同じような食事を摂ることが難しくなります。
食べやすいものとして、ゼリーやヨーグルトのようなのど越しのいいもの、食事にあんをかけたり、ミキサーにかけてペースト状にする等の方法があります。
市販の物でも、飲み込みのレベルに応じて、調整されている食品もあり、うまく利用することで、安全に食事をすることができます。