知っていると怖くない放射線検査

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「放射線」は現在の医療の現場には欠くことのできない存在となっています。
その「放射線」を医療の現場で扱うのが私たち診療放射線技師です。

「レントゲン」と言う方がイメージできる方も多いかもしれません。病院内で放射線を用いたCT検査や血管造影検査、放射線を用いた治療に関わる仕事を担当しています。
「放射線」と聞くと怖いイメージを持つ方が多いのではないかと思います。それは「放射線」という言葉から「被ばく」「危ない」「怖い」「原発」といった言葉を連想されるからではないでしょうか。
確かに、「放射線」という言葉がニュースなどで取り立たされる時は怖いイメージを連想させる内容が多いように思います。

放射線検査を受けるにあたって、検査による放射線被ばくをゼロにすることは出来ないのは今のところ変えられない事実ではあります。しかし、医療被ばくを低減させることは可能です。
患者様の放射線検査による医療被ばくを減らすために私たち診療放射線技師も日々努力し、またCT装置をはじめとする各種放射線機器も被ばく低減を図れるように進化し続けています。
CT検査において、心臓(冠動脈) CT 検査は頭部や腹部などの他部位の CT 検査と比較して被ばく線量が高いと言われています。
当院では最新式の被ばく低減機能を有する80列マルチスライスCT(Aquilion PRIME)を導入し被ばく低減に努めながら、患者様にとって有益な検査ができるように心臓(冠動脈)CT検査に取り組んでいます。

医療の現場において「放射線」は怖いことばかりではありません。
医療における「放射線」のメリットとして、まず、第一に、放射線検査をすることで、病気やけがを、迅速かつ正確に、見つけることができる点が挙げられます。また、放射線検査を受けることで、自分は病気ではないかという不安を解消することにも繋がるというメリットもあります。

私の印象に残っている患者様を紹介します。
職場での健康診断でエコー検査を受けた際に脳に血液を供給する頚動脈という血管が少し細くなっているという指摘をうけた40歳代男性Aさん。頚動脈が細くなると、その細くなった部分に血のかたまり(血栓)ができて脳梗塞を引き起こす場合もあるために、健康診断時に医師から心臓(冠動脈)を含めた血管系の検査をしてみてはどうかとすすめられたそうです。
その少し前に、Aさんの母親が脳梗塞で倒れたこともあり、心配になり当院循環器内科を受診されました。診察時には、ご自身も脳梗塞や心筋梗塞などの血管系の病気になるのではないかという不安を訴えられていました。
頚動脈が細くなる原因として糖尿病、高血圧、喫煙習慣、脂質異常症(高脂血症)があげられますが、Aさんはコレステロール値や中性脂肪値が高い脂質異常症が認められ、後日、頚動脈から心臓(冠動脈)をCT検査にて詳しく調べることになりました。
緊張した面持ちで検査にやってこられたAさんでしたが、『入院せずに心臓(冠動脈)の検査をしてもらえて良かった』と笑顔で検査室を退室されました。
Aさんの心臓(冠動脈)CT検査の結果は、心臓を栄養する冠動脈に異常は認められませんでした。Aさんはその後、食事に気をつけるようになったことで、少し痩せられすっきりした表情で定期健診に来院され、採血結果もよくなってきたよと笑顔で話されていました。

このように放射線検査をすることで、病気に対する不安を取り除くことができることは「放射線」のメリットのひとつではないかと思います。
私たち診療放射線技師は患者様の為になるべく少ない放射線をうまく用いて、患者様にとって最良な放射線検査ができるように日々努めています。
病院で検査を受けるとなると、どなたでも「痛くないかな」「どんなことされるのかな」と、とても不安に感じられるのではないかと思いますが、放射線検査に関して不安に思うこと、わからないことなどがありましたら病気や検査のことを分かりやすく説明することを心がけておりますので私たち診療放射線技師にお気軽にお尋ねください。

診療放射線技師 岸本