その息切れ本当に大丈夫?肺の病気vol,2~CT画像で見る“気胸”~

前回は「肺気腫(はいきしゅ)」についてご紹介させて頂きました。
今回は“息切れが起こる肺の病気シリーズ第2弾”ということで、「気胸(ききょう)」についてご紹介させて頂きたいと思います。
自然気胸は“長身”“やせ型”“男性”に多いとも言われているので、「まさに僕のことだ!」という方!是非是非、読んで頂ければと思います。

~肺と胸郭の関係~

“胸郭(きょうかく)”とは胸骨・肋骨・胸椎(背骨)と横隔膜によって形成されるもので、胸郭に囲まれた空間を“胸腔(きょうくう)”と呼びます。
肺はこの胸腔に存在しており、胸膜と呼ばれる膜によって覆われています。

~気胸ってなに?~

気胸とはなんらかの原因によって肺に穴が開き、肺から漏れ出た空気が胸腔内へと溜まり、肺がしぼんでしまう状態をいいます。
気胸となる原因は、交通事故などによって折れた肋骨が肺に刺さることで起こる外傷性気胸と、外からの原因がなく起こる自然気胸の大きく二つに分けられます。
自然気胸において軽傷の場合は安静にて経過観察を行い、中等度~重症の場合は胸に管を刺して、胸腔内の空気を外へ排出させる処置を行います。

~レントゲン写真で気胸を見てみよう~

軽症の自然気胸のレントゲン写真を図1に表しました。
図1①において気胸によってしぼんだ肺をピンク色の斜線で、肺から胸腔内へと漏れでた空気を緑色の斜線で表したものを②に示しました。
本来の肺はピンク色と緑色を合わせた大きさなので、少しだけ肺がしぼんでいるのがお分かりいただけますでしょうか?このような軽症の場合は、通院による経過観察となります。

図1:軽症の自然気胸(右肺)

続いて、図2の重症の自然気胸のレントゲン写真を見てみましょう!
図1と同じく図2①において気胸によってしぼんだ肺をピンク色の斜線で、肺から胸腔内へと漏れでた空気を緑色の斜線で表したものを②に示しました。
図1の気胸と比べても肺がとてもしぼんでおり、胸腔内へと漏れでた空気の多さもお分かりいただけると思います。
ここまで肺がしぼんでしまった場合は入院をして胸に管を刺し、胸腔内に溜まった空気を外へと排出させる処置を行います。

図2:重症の自然気胸(左肺)

~CT画像で気胸を見てみよう~

それでは、次にCT画像でも気胸を見てみましょう!

患者さんと向かい合う向きで画像を構成した冠状断面でのCT画像を図3に、患者さんの足元から頭へと向かう向きで画像を構成した横断面でのCT画像を図4に表しました。
図1図2と同じく、図3図4の①において気胸によってしぼんだ肺をピンク色の斜線で、肺から胸腔内へと漏れでた空気を緑色の斜線で表したものを②に示しました。
図3と図4は同じ画像をそれぞれに再構成した画像となっているので、これらを比較するとしぼんでしまった肺の厚みや位置がレントゲン写真と比べて、より三次元的に分かります。また、気胸の原因とも言われている肺嚢胞(はいのうほう)*の有無や数、ほかに肺の病気がないかなどもCT画像では確認することが出来ます。
*肺嚢胞(はいのうほう):風船のように空気によって出来た肺の中の袋状の空間のこと。

図3:冠状断面でみる自然気胸(左肺)

図4:横断面でみる自然気胸(左肺)

~さいごに~

今回は「気胸」についてご紹介させて頂きました。
肺がしぼむとそのぶん肺としての機能も落ち、背部痛や息切れといった症状が現れます。
今回は片方の肺の気胸についてご紹介しましたが両肺とも気胸となる場合もあり、その場合体内に酸素が供給されにくくなるため命に関わることとなります。
そうならないよう、痩せ過ぎではなく健康的な体型の維持が出来るよう食事に気を使ったり、ご自身の体にあった運動量をこなすことが大事となる場合もございますので、医師と相談しながら対応して頂ければと思います。