旅行シーズン到来!長距離移動に気をつけて!危険な病気、肺塞栓症

放射線科

こんにちは、みどり病院のとある放射線技師です。
今日は、胸の領域にある血管、肺動脈がなんらかの原因で詰まってしまう『肺塞栓症(はいそくせんしょう)』またの名を『エコノミークラス症候群』についてご紹介させていただきます。

肺塞栓症『エコノミークラス症候群』とは??

まず『塞栓(そくせん)』とは血液の流れにのって運ばれてきた血栓(血のかたまり)が血管を塞ぐ事をいいます。肺塞栓症とは肺動脈(図1)という血管が塞がる事をいい、その血栓は脚の静脈から来ることが大半でありこれを『深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)といいます。

図1 赤い斜線部分が肺動脈

症状

肺塞栓症と深部静脈血栓症にはどんな症状が??

まず肺塞栓症には
①呼吸困難
②胸痛
③冷や汗
④失神やショック

つぎに深部静脈血栓症では?
①下肢のはれ
②下肢痛
③下肢の色調変化
などがあがります、これらのような症状があった場合はすぐにご相談を!!

原因

一体どのようにして血栓ができるのでしょうか??原因はなんでしょうか一緒に探っていきましょう!!

血栓ができる原因とは?

①長時間の飛行機移動、運転、デスクワーク
②長時間の手術、カテーテル治療
③骨折によるギプス固定
④脳梗塞や脳出血後の下肢麻痺
⑤妊娠中や、巨大な子宮筋腫
⑥がんの治療中

これらの要因で血液の流れが悪くなり、固まりやすくなり、血栓ができやすくなります。そして脚の静脈にできた血栓が肺動脈に飛んでいき肺塞栓症を引き起こします。
肺塞栓症と深部静脈血栓症、2つの病気は深い関係にあることがおわかりいただけるでしょうか??

診断

2つの病気の診断はどのようにして行われるのでしょうか??

CT画像から見る、肺塞栓症と深部静脈血栓症!!

図2は脚の造影CTで、赤い丸で示した血管の中にやや黒く抜けた部分(血栓)がある画像です。
これが血流にのって飛んでいき肺動脈を塞ぐ原因となります。
図3に胸部の造影CTを表しています、緑色の楕円で示した血管の中に、細長く黒っぽい部分があるのがわかりますでしょうか??それが図2のような脚から飛んできた血栓です。

図2 脚の静脈に血栓()がある画像

図3 肺動脈に血栓がある画像

予防法

長時間の移動などで足を動かさない時間が続くときは、十分な水分を摂取したり、脱水を招くアルコールやコーヒーを控えることと、足を上下に動かしたり、歩いたりなどと適度な運動を行うことが良いとされます。
病院内では長時間の手術やカテーテル治療の場合は、弾性ストッキングフットポンプ法という機械を使用し血栓の予防を行っております。

治療法

①血液をさらさらにする治療
肺は血栓を溶かす機能が高い臓器といわれ、自覚症状が軽く、肺や心臓の機能があまり傷害されていない場合は、血栓がこれ以上できないように抗凝固療法(こうぎょうこりょうほう)が採用されます。

②血液を溶かす治療
肺塞栓症で詰まった血管が広範囲の場合、重症(体の中の酸素の量が低くなったり、低血圧やショック、失神)となり、詰まった血栓を積極的に溶かす血栓溶解療法(けっせんようかいりょうほう)を採用することがあります。

③下大静脈フィルター
脚の静脈にまだ血栓が残っている場合、下大静脈フィルター(図4)という鋼のような装置を、静脈の心臓と血栓が存在する部分の間にいれて、これ以上血栓が肺に飛ばないようにする治療です。

図4 下大静脈フィルター

最後に

肺塞栓症は命に係わる病気の1つです。
ご自身の状態や体のことを理解し、正しい予防法を行うことで防ぐことが出来る病気でもあります。
当院でも迅速に診断が可能な機器があります。
安心して造影CT(図5)の検査を受けて下さい。
何か胸に気になる症状があればお近くの病院もしくはクリニックの先生にご相談されてください。

図5 実際のCT(Computed Tomography)

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