些細な転倒にもご注意を!〜4大骨折の1つ大腿骨骨折を放射線技師がお話します〜

放射線科

そろそろ、寒さも弱まりお出かけ日和が増えてきましたね。
高齢者の皆様で今まで何度かフラっと倒れそうになったり、つまずいて倒れそうになった経験のある方はいらっしゃいませんか??本当に倒れた場合大腿骨(足のつけ根)の骨が折れたり、また、強い痛みとともに動けなくなる事も・・・。
そこで今回ご紹介する記事は整形外科領域でも、多く見られる大腿骨転子部、頚部骨折についてお話をしていきます。

~どのような人に骨折が多いのか~

主に高齢者が多いです。若年者でも交通事故やスポーツによるけがなどの大きな外傷でも骨折が起こる場合があります。ご注意を!!
ではなぜ高齢者に多いのでしょうか?それは骨粗鬆症により骨がもろくなり、転倒などの比較的軽微な外力で骨折を起こしてしまいます。
とくに女性が多いのも特徴です。

また、寝たきりやそれに近い状態になっている人も骨の強さが弱くなり、おむつ交換時に骨折を起こすこともまれにあります。
骨折の要因の1つである、骨粗鬆症の内容については下記の記事をお読みになってください。
『骨粗鬆症で骨折になる前に骨密度をしろう』
http://midori-hp.or.jp/radiology-blog/web18_11_8/

~股関節の解剖~

次に転子部と頚部が解剖学的にどう違うかみていきましょう。
下の図を見てください。正常な股間節正面画像を提示しています。

図1:転子部と頚部の位置の股間節正面画像

何故このように細かく位置を使い分ける必要性があるのかは、骨折の場所によって手術の術式が異なります。
共に足の付け根ですが、共通する場所でもあり、図1で色分けしてあるように頚部も転子部も骨の形が違い、それにより手術の方法や治療法、予後が違うためです。

それでは紹介していきますね♪
まず、関節は関節包という袋で覆われています。頚部は袋の内側、転子部は袋の外側にあります。
骨の表面には外骨膜があり折れた骨が癒合する時に大事な役割をはたします。
関節包の内側にある頚部は外骨膜が存在しないため、骨折がくっつきにくいことが特徴です。

頚部は回旋動脈という細い動脈で栄養されており、頚部骨折を起こした時に損傷を受け血が流れなくなるので、骨頭壊死(図2)をおこし、骨頭がつぶれることも。
これに対して転子部骨折は血行のよい周囲組織に囲まれていることから、骨癒合しやすく偽関節(折れた骨がくっつきにくくグラグラになる状態)になる可能性は少なく骨頭壊死もなりにくい骨折です。

図2:MRI画像です。赤い丸で囲まれているのが骨頭壊死像です。

~レントゲン写真から見る頚部骨折、転子部骨折そして治療後の写真~

下の図にてレントゲン写真の頚部骨折を提示していきます。

図3:左図は右の股間節の偏位(ズレ)が少ない頚部骨折(右図は赤い線で引いてるのが骨折線)です。

下の図は治療後の写真です。

図4:骨折後のハンソンピン(ネジみたいなもの)をいれた治療方法です。

次に示す、下の図は偏位が激しい骨折です。

図5:左図は偏位が激しい右股間節の写真です。右図は偏位が激しい場合に行う治療方法で人工骨頭をいれます。

下の図は転子部骨折の写真です。

図6:右の転子部が大きく骨折しています。

下の図は治療後の写真です。

図7:転子部骨折の治療はγネイルという金属を入れます。

~なぜこのような手術を??~

手術(治療)をする目的は、患者様(特に高齢者の方)が寝たきりにならないようにするためであり、今後も自分の足で歩き、歳をとっても動ける体を維持し続けるためです。
昔、麻酔管理法や手術が確立されていない時代には、頚部骨折、転子部骨折は保存的に治療されていました。

骨折の保存的療法は、頚部骨折、転子部骨折共に、折れた足を牽引することで元の形に近づけていく方法でした。
しかし、この方法では骨がくっつかないことが多く、くっついても変形し脚短縮といった後遺症として残すことが多かったそうです。

また骨癒合には数ヶ月を要するのでその間はベッド上で安静が必要でした。高齢者では長期の臥床を強いると褥創を作ったり、肺炎を生じたりなど合併症も発生し、また寝たきりになることも多々あり、認知症のリスクも増加していました。
現在では手術療法が主流で早期にリハビリを行うことで寝たきりを防ぎ、早期に退院することができます。ただ場合によっては保存療法を薦められる場合もあります。

~おわりに~

本記事を最後までお読みくださりありがとうございました。少しは皆様のお役にたてましたでしょうか。
ちょっとした部位の違いで骨折の治療方法が変わることがお解かりいただけたでしょうか。
今回の記事をお読みになられて普段の歩行や運動などを見直して、転倒やケガによる骨折を防ぐことが大事です。

次回の記事では、私たち医療従事者が様々な病気をどのようにして診断をしているのか、その一つとしてレントゲン(エックス線)撮影についてお話します。皆様楽しみにしてお待ちくださいね♪

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