ADLとは

20161228_rehabilitation_01
「ADL」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ADLとは「日常生活動作」のことで、“Activities of Daily Living”の略です。
私たちが日常生活を営む上で、繰り返し行っている活動のことを「日常生活動作」つまり“ADL”といいます。
具体的には、食事、整容(歯磨き、洗顔、整髪など)、排泄、更衣、入浴などを指しています。
また、ADLよりも複雑で高次な行為や動作を、「手段的日常生活動作」“IADL(Instrumental Activity of Daily Living)”といいます。
具体的には、買い物や洗濯、掃除等の家事全般や、金銭管理や服薬管理、外出して公共交通機関を利用する等を指しています。

ADLの評価は、リハビリテーションの分野で患者様の機能障害の程度を測ったり、訓練の効果測定のために開発されたものが多く用いられています。
バーセル指数(Barthel Index:略称BI)や機能的自立度評価法(Functional Independence Measure:略称FIM)、パフォーマンスステータス( Performance Status:略称PS)などが広く知られている評価指標です。

ADLをちゃんと見ていくことが、なぜ大事なことなのかを考えてみましょう。
今まで意識することなく一人で行えていたADL「日常生活動作」が年齢とともに徐々に難しくなったり、ある日突然、病気で出来なくなったりする場合があると思います。
病気の治療は落ち着いても、ADLの能力が低下した状態であれば、今までと同じような生活を送ることができません。
例えば今まで一人でトイレに行かれていた方が、一人で行けなくなったというような状況です。
ご本人、ご家族にとっては一大事です。大変です。
では「トイレに行く」を考えてみましょう。
実際にベッドに寝ている状態から排泄をして戻ってくるまでには、いくつかの工程があります。
・寝返りをうつ
・起き上がってベッドに腰掛ける
・立ち上がる
・トイレまで移動する
・ズボンやパンツを下げる
・用を足し、拭き取る
・ズボンやパンツを上げる
・戻ってくる 等

これらのようにいくつかの行動を組み合わせて「トイレに行く」という動作が完成しているのです。
リハビリテーションでは、「出来なくなったから仕方ない」と直ぐに諦めるのではなく、何が原因で出来ないのか、その活動のどの部分に引っかかっているのか、繰り返し練習すれば出来るようになりそうか、何かを工夫すれば出来るのか等を評価しています。
それに基づいて予後を予測し、訓練を行い、退院後の生活に繋げていくのです。

ADLはとても重要な概念で、評価指標も沢山ありますが、それだけでは不十分な評価になってしまいます。
院内でADLが自立しているという場合でも、戻られた自宅の環境に左右され難しくなる場合もあります。
実際にトイレは別棟、離れに…というお家もありました。
ご本人の能力や、住宅環境など複合的に評価することが必要です。

我々リハビリテーション科は、お一人お一人に合わせて生活を評価し、全力で皆様の“できるADL”を応援します。

最後に、つぶやき・・・
ADLの仕方を常日頃から観察していますと、お尻の拭き方一つをとっても個別性の高いことがわかります。
座ったまま拭く人、立って拭く人、前から、後ろから、最近では温水洗浄便座など、本当に様々なんですよね。
普段から何気なく行っている動作ですし、他人がどのように行っているかを見る機会もないので、一般の方はあまり気にならないかもしれませんが…。
本当に人それぞれです。
私たち日本人は、利き手が不自由になったとき、一生懸命お箸の練習をしています。
時々思うんですが、お箸文化のない国ではもちろんお箸の練習しないんだろうなぁ。
そもそも食具(箸、スプーン、フォーク等)を使用しない国だってありますもんね。
ADLは個別性が高く、文化や環境に大きく左右されるものだという事を忘れずに、いろんな方法を、アイディアを、可能性をお伝えしながら、これからも患者様や家族の方と共に訓練をしていきたいと思います。

メニュー