COPD(慢性閉塞性肺疾患)の運動療法〜みどり病院理学療法士がお話します〜

今回は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気のお話です。COPDは、たばこの煙などに含まれる有害物質に長期間曝露されることにより、肺が持続的な炎症を起こして、呼吸機能低下などをきたした状態です。
簡単に説明すると「日常的に咳が多くでる」、「動くと息切れがする」、「痰がよく出る」などの症状を中心として「呼吸困難」、「心不全の増悪」、「息切れによる日常生活の制限」が生じ、さらに進行すると酸素吸入器がなければ動く事が困難になってしまう病気です。
近年は「受動喫煙防止法」や「分煙」などの禁煙ブームにより、COPDも広く知られてきました。

COPDは、他の病気と違い、じわじわと進行し明確な症状が現れるまでの期間が長いため、見過ごされる事が多くあります。現在でもCOPDの治療を受けている方は26.1万人と言われていますが、COPDを発症しているのに病院を受診しておらず、診断・治療を受けていない方は530万人もいると言われています。2030年には世界の死亡原因の第3位に入ると予想されるとても身近な病気なのです。
COPDの治療には、薬物療法・運動療法・酸素療法などが行われます。今回はその中で、私たちリハビリテーション科が担っている運動療法についてお話していきます。

まず始めに運動療法は、なぜ必要なのでしょうか?
前述したとおりCOPDは、じわじわと症状が現れていきます。その為に動作時の息切れや疲れやすさの症状を自覚してきても「歳のせいだ。」と勘違いし、自ら動くことを敬遠していきます。そうすると身体機能が低下し、息切れはもっと酷くなっていきます。身体機能が低下することで食欲や気力も減っていきます。そうすると体の免疫機能が低下し、風邪などをひきやすい体になり、COPDが重症化してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環を断つために筋肉を鍛え、体力を向上させる目的で「運動療法」がおこなわれます。運動することによって感染に負けない体力がつき、効率的に動けるようになることで息切れが軽減し、健康寿命(自分の事は自分でできる期間)を延ばすことができます。

運動には大きく分けると「全身持久力トレーニング」、「筋力トレーニング」、「柔軟性トレーニング」があります。それぞれ運動の内容を紹介していきます。

◎全身持久力トレーニング

有酸素運動をはじめとしたウォ―キングや自転車エルゴメーターなどの運動があります。息切れの程度が「ややきつい~きつい」くらいが運動の目安となります。
少し動くだけで息切れが起こり、長時間歩けないという方は、呼吸訓練として口すぼめ呼吸を合わせて行いましょう。口すぼめ呼吸は、息を吐きだす際に口をすぼめて20cm先のろうそくの火をそーっと吹き消すように息を吐く呼吸法です。ポイントとして息を長く吐く事よりも、吐く息の軽い抵抗感に集中することが大切です。
歩行の際は、動作前に息を吸い、息を吐きながら4歩歩いて、次の2歩で息を吸う等の楽な呼吸のリズムをつかむことが大切です。早く歩くのではなく、静かな呼吸を保ちながら長い時間を歩けるように訓練していきましょう。

◎筋力トレーニング

自分の体重を利用した運動や、おもりを利用した運動になります。軽い負荷の運動で、回数を多く行う事により下肢の筋力が向上し、動作時の酸素消費効率が上がる為、動作時の息切れが軽減する効果があります。

◎柔軟性トレーニング

適度な伸張痛を感じる程度のストレッチが有効とされています。
肩回り・胸回りの柔軟性を改善する事で、肺を包んでいる肋骨をはじめとした胸郭が広がりやすくなり、楽に呼吸をすることができるようになります。

さて、今回は簡単に運動療法の必要性・運動の種類について書かせていただきました。
しかし、COPD治療の第一歩は、まず、早めの医療機関の受診が大前提です。
当院では一昨年度より、呼吸器内科のドクターが赴任され呼吸器疾患をお持ちの患者様への治療を行っております。また、禁煙治療外来も実施していますので、禁煙をお考えの方は是非ご相談下さい。

私たちリハビリテーション科では、患者様の症状に合わせた適切なリハビリテーションや運動を行うことができるようアドバイスいたします。COPDの悪循環を断ち切って「自分でできる」健康寿命を延ばしましょう。

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