口腔ケアの効果とその方法(1)~口の中を清潔に保つための器質的ケアについて~

口腔ケアには大きく分けて「口の中を清潔に保つための器質的ケア」と「食べる・話すなどの機能を維持・向上するための機能的ケア」があります。今回は、器質的ケアについてご紹介します。

<口腔ケアの効果>

〇虫歯・歯周病の予防

〇唾液の分泌を促す
年齢とともに唾液が出にくくなり、口の中が乾燥しやすくなります。唾液は口の中を綺麗に保つ自浄作用があるため、唾液の量を増やすことは口腔ケアにおいて重要です。口腔ケアで口の中を刺激すると唾液が出やすくなります。口の中が潤うことで味覚や口臭の改善や、発音がよくなるなどコミュニケーションの改善が期待できます。

〇感染症の予防
口の中にいる細菌の中には、全身疾患の原因となる菌も存在します。口の中が汚いと菌が増殖するため、口の中を清潔に保ち、菌を減らすことは様々な感染症の予防に繋がります。

〇誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎とは、唾液や飲み物・食べ物が誤って気管から肺に入り込んでしまい(誤嚥)、細菌が肺で広がることで生じます。口腔ケアで口腔内細菌を減らし、唾液を増やし、食べ物を飲み込みやすい状態にすることで、誤嚥性肺炎の発症率を下げる効果が期待できます。

〇認知症の予防
20本以上自分の歯がある人に比べ、歯がなく入れ歯も使用していない人は1.9倍も認知症になる確率が高くなるというデータがあります。噛んで食べる行為は、脳を活性化させ、認知症を予防するといわれています。

〇心臓病や糖尿病の予防
歯周病菌が血液中に入り込むことで、心臓病(感染性心内膜炎)を引き起こす確率が高くなるといわれています。また、歯周病が悪化すると糖尿病も悪化する関係性が指摘されています。

<口腔ケアの方法>

〇準備:歯ブラシ・スポンジブラシ・舌ブラシなど様々な道具があります。歯の状態やその人に合った道具を選びましょう。

〇うがいについて
まず、いわゆる「ブクブクうがい」をしましょう。水を口に含み、左右の頬を交互に3~4回動かしブクブクとうがいをしたら吐き出します。次に「ガラガラうがい」を行います。水を口に含み、上を向いて喉の奥を15秒程洗浄します。

うがいは口の中を潤し洗浄できる有効な方法ですが、うがいが難しい方やうがいをしない方がいい方もおられます。身体を起こすことが出来ない方、口に水を含んでおけない方、水気の多い物でムセが見られる方は、うがいの水を誤嚥してしまう可能性があるため、うがいを控えましょう。

うがいが難しい場合はスポンジブラシやガーゼで口の中を潤すなど、他の方法をお薦めします。スポンジブラシやガーゼもしっかり水気を切って使用しましょう。

〇自分で出来る方
歯の磨き方:
歯ブラシは鉛筆と同じように持ち、歯ブラシが歯に対して90度になるようにあてます。歯ブラシを細かく動かしながら、1本ずつ丁寧に磨きましょう。歯と歯の間や見えにくい奥の方は汚れが溜まりやすいので、磨き残しがないように注意しましょう。入れ歯を使用している場合は入れ歯を外し、残った歯を磨いて下さい。

入れ歯の扱い方:
入れ歯を外す時は口の中を傷つけないように気をつけて下さい。上下とも使用されている方は、下→上の順番で入れ歯を外す方が外しやすいといわれています。外したら、入れ歯についたぬめりや汚れを水で流します。歯磨き粉を使って磨くと研磨剤などで傷が入り細菌が繁殖しやすいため、水か入れ歯専用の歯磨き粉を使用して下さい。汚れがとれたら入れ歯を保管するための容器に水を張り、入れ歯洗浄剤を入れて保管します。

〇お手伝いが必要な方(介助する場合)
歯の磨き方・入れ歯の扱い方は自分で出来る方と大きく変わりません。しかし、お手伝いが必要な方は口の中の状態や飲み込む機能が低下していることが多いため、自分でできる方よりも慎重に行う必要があります。

①姿勢に気をつける
口の中の状態をまず確認し、安全な姿勢で行いましょう。座ることが難しく、ベッド上で行う場合は上体を30度以上起こし、顎を引いたうつむき加減の姿勢が誤嚥しにくいといわれています。

②口の中を潤す
自分で出来る方と同様、入れ歯は必ず外してから行いましょう。口の中が乾燥した状態では汚れがとりにくく、舌や粘膜に傷がつきやすくなるため、まず口の中全体を潤します。

③汚れの取り方
大きな汚れから除去していきます。上顎・下の前歯に汚れが溜まりやすいので注意しましょう。

このように、口腔ケアは様々な予防や全身の健康を守るためにとても重要です。それだけではなく、おいしく食事を食べることや会話を楽しむことなどの生きる喜びや、健康寿命を延ばすことにも繋がります。

高齢になると身体機能や免疫力が低下するため、感染症にかかりやすくなります。そしてこれから暑くなり、体調を崩しやすい時期となります。口の中を清潔に保ち、体調管理に気をつけて日々を過ごしていきましょう。

リハビリテーション科はあなたの“自分でできる”を応援します。

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