急性心筋梗塞後左室破裂に対して緊急手術で救命できた1例~みどり病院心臓弁膜症センター~

急性心筋梗塞後左室破裂に対して緊急手術で救命できた1例

倫生会みどり病院心臓弁膜症センター
岡田行功、仲井健朗、稲波整、武本知之、室生卓

急性心筋梗塞の機械的合併症として、1)心室中隔破裂、2)乳頭筋断裂による急性僧帽弁逆流、3)左室自由壁破裂、の3つがある(図1)。機械的合併症は心筋梗塞により心臓筋肉が破れて構造的破綻をきたす疾患で、突然死、急性心不全となるために救命のために緊急手術が必要となるが、合併する腎機能、呼吸機能が低下している高齢者が多いために救命率は極めて低い。みどり病院では78歳女性、左右冠動脈のうちの1枝回旋枝領域の急性心筋梗塞症例でカテーテルによる血行再建前後に心エコー図検査により左室破裂によると思われる心嚢内血種がみられた(図2)。幸い血圧は80mmHg前後で落ち着いており、意識も清明であったための緊急手術とした。胸骨正中切開で開胸すると心筋梗塞を来している回旋枝領域で左室から噴出する出血が確認された。この時点では破裂により染み出すようなウージング型の左室破裂から血液が左室内腔から噴出するブロウアウト型自由壁破裂となっていた(図③)。ブロウアウト型破裂によって血圧は30-0mmHgとなっていたために大きな針を用いて左室自由壁を3針マットレス縫合で止血し、その上を生体糊で圧迫した(図4)。血圧が60-70に回復してきたところで出血のないことを確認して手術を終了し閉胸した。手術後集中治療室に帰室してから各種重要臓器の機能に重大な障害もなく意識も清明となり極めて順調に回復された。手術後7日目に集中治療室から一般病棟へ移り順調にリハビリを送っていただいている。手術後の心エコー図検査では心筋梗塞部位の左室可動性は低下しているが、その他に異常所見はなく左室収縮機能は駆出率43%と良好であり退院となった。


メニュー