コロナ禍の中でも笑顔を忘れず過ごしてもらえるように〜希の丘の2020年を振り返って~

ホープ/希の丘

今年度2020年度は、世間にとっても希の丘にとっても変化の1年でした。今回はいつもの入居者さんのご紹介ではなく、希の丘の1年間の皆さんのご様子を、ここでお伝えさせていただきたいと思います。

<コロナ禍で見えた認知症ケアの難しさ>

まず、コロナの発生当初、ホームで話し合ったことは、マスクを着けるか?これには職員間で意見が分かれました。世間で皆が行っているのだからやっぱりマスクを着けたほうがいい。もちろんここで暮らす皆さんは高齢なので感染のリスクを考えると私たち職員が感染源になるだろうから、コロナ感染拡大に伴い我々もマスクを装着してケアを実施しました。

しかし、認知症のある利用者さんは、口元が隠れると不安になられる方が多く居られます。目は笑っていても口元が隠れると表情が読み取れません。そして、耳の遠い方はマスク越しだと聞き取りにくく、結局はマスクをめくり、耳元でお話をしないと通じないことが多いです。なので、利用者さんは世間がコロナウィルスで大変なことは、どこか他人事のような感覚でおられたようです。

<なんで?どうして?>

感染状況が収まらず、だんだんと今まで過ごしてこられた日常と違う日々に違和感を訴えられる方も出てこられました。「なんで娘は会いに来ないの?」「外に買い物に行きたいのになぜいけないの?」そして私たち職員が一つ一つ説明をします。

「今、世界でコロナっていう病気が大流行しています。コロナは高齢者にうつると重症化してしまうので、今は家族の皆さんの面会は控えていただいています」何度も聞かれる利用者さんには何度でも応えています。そして、徐々にですがコロナという怖い病気が流行していることをインプットしていかれました。「今は…怖い病気が…」と言おうとすると「ああ、コロナやな」そんな風に話される利用者さんもおられます。

<毎月楽しみにされていたボランティアの皆さんに会えない>

ホームでの生活は、ボランティアさんの出入りができなくなり、日々の暮らしに張り合いがなくなることが心配されました。毎月来ていただいて、楽しいおしゃべりや素敵な絵を教えてくださっていた「絵手紙の先生」ご夫婦。毎月元気に体操やお芝居など披露して下さり、利用者さんもいつのまにか演劇の中の主人公になりきってしまうほど素敵な「和の木」の皆さん。そしてこちらも、季節感を忘れないように歌やお話をしてくださり、懐かしい歌で利用者さんの心を和ませてくださった「たまてばこ」の皆さん。それに素敵な日本舞踊を披露して下さった先生。そしていつまでもきれいな皆さんでおられますように、エステで癒しのひと時を提供してくださった「Mさんの娘さん」。

様々な方にボランティアにきていただき、退屈になりがちな日常に彩りを与えていただいていました。私たち職員も学ぶことが多く、たくさん助けていただいていたことにも気づかせてもらいました。そんなボランティアの皆さんに来ていただくことができなくなったので、ホームでの毎月行っている行事も変更することが多かったのですが、行事は続けていこうと職員で決めました。利用者の皆さんに喜んでいただける様に色々と考えました。

<6月から12月までの行事>

まず、6月に予定をしていた『希の丘コンサート』は去年初めて開催し、家族の皆さんにも参加していただき、大盛況で幕を閉じたものでした。今回の開催を利用者さん、家族さんも皆さん楽しみにされていたのですが、今回は家族さんの参加はなく、職員と利用者さんのみの開催となりました。そのような少し寂しい会となりましたが、利用者さんは喜んで居られたようです。

7月の花火大会はホームが開設してから毎年開催し、今年は5回目の記念の会となる予定でしたが、やはり家族さんの参加はなく、利用者さんと職員だけで開催しました。
そして8月の行事は今年初開催となる納涼会、利用者さんと職員がゆかたを着て、夏の1日を楽しみました。

9月、ホームでの大きな行事『秋祭り』。地域の方や家族さん、ボランティアの方も皆で総勢100名ほどになる予定でしたが、これも職員と利用者さんだけの少し寂しい会となりましたが皆さん楽しんで居られました。

10月、家族さんとの貴重な外食の機会で、これも毎年開催しており、近くのゆず庵へのお食事の会でした。外食にも行けない、家族さんとの交流が行えない中、職員で考えた末、『秋の大宴会』を開催しました。職員が持ちネタ?をステージで披露して、それなりに?楽しんでいただきました。もちろん利用者の皆さんも参加していただき、楽しいひと時を過ごしていただけたと思います。

11月、これも皆さんがとても楽しみにされている日帰り旅行、認知症があっても楽しかった記憶は鮮明に残っていて、「今年は何処にいくの?」「○○に行きたい」など、お話になられることもあったのですが、これも中止。代わりの行事として、『居酒屋』を開催しました。夜に開催した居酒屋は大盛況で、利用者さんはいつものホームの雰囲気と違うことに喜ばれ、食事もいつもと違うメニュー、職員も居酒屋の店員になりきり、楽しい居酒屋開催となりました。日帰り旅行に代わる行事は大成功に終わったと職員一同満足しています。

12月、クリスマス会も無事終了。本当は家族さんと共に過ごす楽しいひと時になるはずだったのに…残念に感じる方も多くいらしたのですが、事情を説明し、納得していただきました。
クリスマス会では恒例のビンゴ大会をするのですが、職員が利用者さんに喜んでいただこうと準備した品物ですが、そこはいつまで経っても母、おばあちゃんなんですね、娘さんやお孫さんに渡したいと言われる方もおられました。

<コロナ禍の中でも良かった点は…>

職員が色々な企画を考え、職員同士のチームワークの強化は行えていました。家族さんと会えない皆さんの憂鬱な気持ちをどうしたら晴らすことができるのか?本当に一生懸命考え、楽しいひと時を過ごしていただく為に全力を尽くしました。家族の皆さんにはFacebookで月々の行事の様子や日々の様子を観ていただき、ホームでお元気に過ごされている皆さんの様子をお知らせすることができています。

そして、感染症の怖さを思い知り、介護職員としての意識を高めること、手洗い、消毒、うがいの徹底。今までも行っていましたが更なる1ケア1手洗いの実践。休日も外出の自粛をする。など、私たちが感染源になってしまうかもしれないという意識をさらに高め、日々生活を送っています。利用者さんの安全を守るために!という意識がさらに強まっています。

<現在は…>

2021年新年を迎えて、希の丘のお元気な皆さんは、日々笑いあり、時には涙ありのにぎやかな日常を過ごされています。今では職員はマスクを着けて皆さまとお話をしています。耳の遠い方や、表情の険しい時の方には苦労します。「なんでそんなのしているの!」「失礼や!」と怒られる方もおられ、事情を説明するとわかってくださる方、コミュニケーションに不安を感じる方など様々です。当初に比べると、マスク姿の職員に馴染んでいただけていると思います。

家族さんとの面会も叶わず、泣く泣く我慢をされている方もおられますが、私たちの存在が少しでも慰めになり、ここでの生活を安心して送ることができますように。いつまで続くかわからないコロナ禍の中で、安心して過ごしていける日々が戻ってきますように。笑顔で家族の方と会える日々が戻ってきますように。
それまでは…また2021年も利用者さん、職員と共に希の丘で走り続けてまいります。
今年も希の丘をどうぞよろしくお願いいたします。

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