終末期をあなたの家で過ごしませんか?

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もし癌末期と診断されたら

もしあなたが、またあなたの家族が癌末期でもう治療ができないと言われたらどうしますか?
癌でなくても脳や肺の病気などで、それ以上の治療が望めず、あとわずかしか生きられないとしたら…
「そんな時はすぐ入院」
と思っている方が多いと思いますが、昨今の社会情勢では治療が望めない方の入院が非常に難しくなってきていることをご存知ですか?
「それじゃどうしたらいいんだ!」
という声が聞こえてきそうですが、今回は在宅、つまり
「あなたの家で過ごすこともできるのです」
というお話しをします。

家で過ごすこと

自分の家で過ごすことは当たり前のこと。
朝起きて、ご飯を食べて、家族と話をする。
今までなじんできた人それぞれの生活があります。
仕事から帰ったとき、旅行から帰ったとき…
なぜか家に帰るとほっと安心した気分になります。
同じように病院から帰ることができたら、なじみの部屋で過ごせたら、最期まで愛する家族やペットと過ごせたら…
そう思っている方も少なくないと思います。
家で療養すると家族に迷惑がかかるから、何かあったら怖いから、という理由で自宅療養を選択できない方。
最近は在宅医療に対する援助の体制が整いつつあります。
家で亡くなることを勧めているのではありません。
亡くなる場所は病院を選択してもいいのです。
私たち在宅スタッフは限られた終末期を、住み慣れた家で、あなたがあなたらしく生きることができれば、少しでもその手助けができれば、と願っています。

家で過ごすために

まず入院中の方は主治医、看護師、ソーシャルワーカーに相談してください。
家にいる方はかかりつけ医や、お近くの訪問看護ステーションでも相談にのってくれます。
40歳以上の方でしたら介護保険を申請できることが多くあります。
介護保険サービスでは電動ベッドや車いすのレンタル(要介護2以上)、ヘルパーさんや訪問入浴サービスを保険で依頼することができますので、とても助かります。
詳しくはお近くのえがおの窓口に相談してください。
通院が辛くなった場合は、訪問診療が可能な在宅医に変更することができます。
最近は地域の在宅支援診療所が増えてきました。
これも今の主治医に相談していただければよいと思います。
人それぞれの考え方があると思いますが、通院や待ち時間で体力を使うのであれば、もっと自分や家族のためにその体力を使ってほしいと思います。
急に病院に行けなくなったと慌てるよりも、少し早めに相談しておきましょう。
そして訪問看護師が強い味方になります。
専門的な知識と技術を持った看護師があなたの家に訪問し、その都度相談にのります。
身の回りのお世話や医療的処置、そして家族でもできるケアの方法を指導します。
24時間対応してくれる訪問看護ステーションであれば休日や夜間でも連絡がつきます。
また必要に応じて訪問してくれ、主治医と連携をはかってくれます。
“何かあってもすぐに連絡がつく”
ということだけでも安心できるのではないでしょうか。

それぞれの終末期

癌末期と診断され入院せずに自宅療養を希望されたAさん(51歳男性)
自宅には奥様、大学生と高校生の息子さんがおられます。
Aさん宅には「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」
毎日の何気ない日常がありました。
腫瘍が神経を圧迫しているため下半身がマヒし歩くことができないAさん。
介護保険を申請し電動ベッドと車いすをレンタルしました。
お風呂が好きだったこともあり、入浴は訪問入浴サービスを利用しました。
夜はAさんのベッドを囲んで家族一緒にテレビを見たり、Aさんのベッドからは台所で料理をする奥様の姿を見ることができました。
口数の少ないAさんでしたが、訪問した看護師に
「みんなに迷惑をかけるけど、病院より家がいい」
と言われていました。
意識がなくなってからもご家族はAさんにいつものように話しかけていました。
そして最期は家族全員に見守られながら息をひきとられました。

点滴が大嫌いなBさん(75歳女性)
Bさんは入院中に癌末期と診断されました。
点滴が大嫌いなBさんは入院していても治らないなら家に帰りたいと11月に退院されました。
ご主人と二人暮らし。
身の回りのお世話はご主人がされていました。
入院中は寝たきりだったBさんですが、介護保険で電動ベッドと車いすをレンタル。
ご主人に迷惑をかけたくないと少しずつ動けるようになり、介助でトイレ歩行ができるようになりました。
在宅酸素療法をしていましたが、12月にはお孫さんの保育所行事を見に行くことができました。
徐々に病状がすすみ最期のときが感じられた4月、ご主人の介助で車いすに乗り近所の桜を見に行かれました。
その2日後食べることも動くこともできなくなり入院を希望されました。
入院が嫌いなBさんを思いご主人は
「このまま家で過ごそう」
と言われましたが、
「お父さん(ご主人)が大変やからな」
と一言。
入院当日、Bさんは主治医に会うと自分の症状よりも先に
「お父さんの咳が続いとうから診たってな」
Bさんはその翌日病院で息をひきとられました。

あなたの家です

家での主役はあなたそして家族です。
病院ではなくあなたの家ですから、あなたがあなたの思うように生活して構わないのです。
先生に怒られるかもしれませんが、時には大好きなお酒を飲んだっていいのです。
家での生活をサポートするのが主治医や訪問看護師、ケアマネジャーや各種サービススタッフです。
少しでも快適に暮らすため、どんな些細なことでも相談して下さい。
きっと親身になって話を聞いていただけると思います。
人間誰しもいつかは亡くなります。
短い人生、長い人生、人それぞれですが、人生最期の時を私が私らしく、あなたがあなたらしく、そうありたいですね。

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