これまで17年間、病棟、その他医療施設でしか働いたことのない私が、平成30年4月から心機一転、訪問看護ステーションに入職しました。
現場ではささやかな感動や驚くことが沢山あります。
今回はその一部を紹介したいと思います。
ベッド上でスルリ!スライディングシート
病棟では使ったこともなければ見たこともなかったシート。(レジャーシートみたい・・・でも違う)
ベッド上で臥床されている利用者様の身体の下にこのシートを敷き込み、利用者様のお身体を移動させたい方向に押すと少しの力でスルリと移動。
まさにベッド上でスライディング!こんな便利な介護用具があったんですね。
すごい!寝たままでも自動で体の向きが変わるなんて
自動体位変換機能でエアマットレスの圧が切り替わり、長時間同一体位にならないように体位変換!
介護者がケアする時や、利用者様が座って食事をする時はボタン一つで座りやすい硬さに自動圧調整。
現代の介護の現場ってこんなに機能の優れた機器に進化したんですね!
テクノロジー凝集!現代の車椅子に感動
高性能多機能!
上体が左右に傾かないよう包み込まれるような座面、利用する人の身体の状態に合わせてリクライニングさせたり、肘掛や脚台を上下させたり、取り外し式だったり、利用する側にも介助する側にも優しい機能が満載なんだなあと感心させられます。
全く漏れない達人のオムツの当て方
研修で業者の方からオムツの正確な当て方を教わりました。
オムツが正しく当たっていると、尿漏れで寝衣やシーツを汚すこともなく、介護の負担も軽減されることを実感しました。
夜勤帯で巡視の度に寝衣もシーツも交換、患者様の睡眠も阻害され、深夜のシーツ交換に泣いていたあの頃が嘘のようです・・・
ご家族やヘルパーさんとも正しいオムツの当て方を共有することにより防げる尿漏れ!
ご家族もヘルパーさんも利用者様のことを思っての正しいオムツ交換、それが自然と介護する側の負担軽減につながっているのですね。
ご家族すばらしい!ヘルパーさんすばらしい!漏れなし!このチームワーク!なんて感動しながらオムツ交換しています。
在宅だからこそ~笑いとほっこり~
ご家族ご近所さんの優しさに触れて
献身的に身の回りのお世話をされたり、介護食を調理されるご主人方、日々の介護を笑いに換える奥様方、ベッドサイドで寄り添うペット達。
「こんな楽しいことあるかいな~!ご近所さんがおかず持って訪ねてくれるし、外へ出たらお隣さんが声かけてくれるし。」と、そのような周りの方々に支えられて独居生活を楽しんでおられる方が多くいらっしゃいます。
どのお宅にもそれぞれの形でそれぞれの過ごし方生き方があって、利用者様にとって自分の家での生活の大切さを感じます。
私達訪問看護師は「○○さんいつも御綺麗ですね、今日は○○しましょう」と声を掛け、利用者様と笑顔でアイコンタクト。
一瞬だけど、笑顔で答えてくださる利用者様に癒されて逆に元気を頂いています。
訪問中、ふとした瞬間に笑いがおこり、それまで気分が沈んでおられたり、無表情だった利用者様が思わず大笑いしたり、ふっと笑顔を見せて下さったり、ニコッと口角が上がる瞬間があります。
そんな時、「よし!」と心の中でガッツポーズ。
だって、利用者様が1日の中で笑顔になれるその瞬間を共有出来たんですから。
訪問させて頂いていて嬉しい瞬間の一つです。
少しでも笑顔で我が家での人生を過ごして頂きたい、そう思いながら伺っております。
一人の利用者様に医師、理学療法士、訪問看護師、ヘルパー、デイサービススタッフ、ケアマネジャー、薬剤師、訪問入浴スタッフ、ご家族、ご近所さん・・・その他にも多種多様の職種が関わる在宅の現場。
私達訪問看護師は利用者様の状態に少しでも合った介護用具をと提案してくれる福祉用具専門相談員さんに出会ったり、利用者様の日常生活を支援するあらゆる職種の方と日々情報交換しながら協力体制を取ったり、訪問を終えステーションに戻ると利用者様の状態を報告し合ったり、訪問の現場で判断に迷う事や問題点をスタッフに相談してみると、沢山の問題解決策が出たり、悩んでいたことが意外とすんなり解決して気が楽になったり・・・。
個の力よりチームの力の大切さや頼もしさを感じる事が多くあります。
生まれて育って死ねる場所
老衰で大往生した祖母も、癌で亡くなった叔父もそれぞれ介護老人保健施設に入ったり一時的に退院し自宅で過ごした時期もありましたが、最後は病院で亡くなりました。
入院中よく「家に帰りたい。」と言っていた祖母。
訪問看護の現場に出て、介護者が働きに出ていて、利用者様が日中独居の事は珍しいことではないと気付きました。
多種多様の職種が在宅生活を支え完全に独居生活でもそのまま家で亡くなる事も人として自然な最期であるのかも知れません。
そして「私に何かあっても出来るだけ自宅で」「延命処置はいらないよ」が口癖の母。
今は枯れるどころか実をたわわに実らせた大木のような母ですが、この口癖を娘として訪問看護師として受け止めて日々の訪問看護にあたりたいと思います。