先日、面白いニュースを目にしました。その内容は“液体のりが白血病治療に活用される”というものでした。おそらくこれを読んだ方、リアルタイムにニュースを見た方皆が思った事でしょう。『液体のりってあののり?』と。
はい、もちろん私もあのオレンジ色のキャップをした‘アラビックヤマト’を想像し同じことを思いました。一昔前まで白血病は不治の病という印象さえあった病気ですが、それがあの昔からよく見る“のり”で治療ができるなんてただただ驚きでした。
《液体のりで造血幹細胞の増幅に成功―細胞治療のコスト削減や次世代幹細胞治療に期待―》
https://www.amed.go.jp/news/release_20190530.html
白血病の治療において骨髄移植というものを聞いた事があると思います。骨髄移植は、造血幹細胞移植の一つです。造血幹細胞というのは、簡単に言うと生体内に健康な血液や免疫細胞を供給してくれる細胞です。造血幹細胞移植はその健康な血液をつくる基の(樹木でいう幹にあたる)細胞を移し入れる治療法です。
この移植には当然ドナーになる方が必要となるわけですが、超高齢者社会を迎えた日本ではドナーが不足している為、近年はこの造血幹細胞を増殖させるという研究が進められていました。
そして今回、液体のりの主成分である「ポリビニルアルコール(PVA)」という成分が造血幹細胞を増殖させるカギとなる事が明らかになりました。
さらにマウスでの実験段階ではありますが、増幅された造血幹細胞を移植し骨髄を構築する実験にも成功したと発表されています。
この成果はこれまでのように造血幹細胞を骨髄から取り出すのではなく、ドナーの血液から安全に採取して増やし、複数の患者へ移植できるようになった事を意味します。
また、PVAは安価な化学物質であるため、治療のコスト削減にも貢献するものとみられています。
まだマウスでの実験段階ながら、人間に応用できれば、幹細胞治療の進歩と医療コストの軽減につながるものだと期待されています。
私を含め、多くの方が普段何気なく使っているモノや行っている事が世の中には数えきれない程あると思います。今回の“のり”の発見のように、今現在私たちの身近なところで使われているモノが、視点を少し変えるだけで人の命を救うものになったり、社会や経済を大きく変化させる可能性がある。そう考えると、私は今まで日々の生活で何気なく触れていたモノへの見方が少し変わったように思います。
皆さんも改めて身の回りのモノに目を向けてみてはいかがでしょうか。これまでには無かった“新たな発見”があるかもしれませんよ。
みどり病院総務課の記事にも登場したアラビックヤマトのり、こちらも再読ください。
https://midori-hp.or.jp/general-affairs-blog/stationery1/