体重増加に気をつけて美味しい透析LIFE!!!

過ごしやすい秋が過ぎ去り、今年もあと少しになりましたね。
年末年始は、何かと集まる機会も多く、お鍋やおせちなど一年を通して食事を楽しむことも多くなる季節です。
透析療法を始めたら、今までのように自由な食事が出来ない・・・みんなと一緒に食事を楽しめないと、がっかりしていませんか?
そんなことはありません!!
食事療法のポイントを守れば、食事を楽しむことが出来ます。

今日は水分についてお話します。

~なぜ水分を制限するのでしょう~

腎不全が進み、透析を行うようになると、急激に尿量が減少してくることがよくあります。急激とまでは行かなくても徐々に減少し、全く出なくなることもあります。そうなると過剰な水分は体内のいたるところに溜まり、むくみや息苦しさが出てきます。それはどう言う事かと云うと、食事や飲水から入ってくる水分は出口を失うことになり、体内に溜まります。すると、血液中にも水分が増え、心臓は水分の多くなった血液を処理する為、血圧を必要以上に上げ、循環をよくし、体外に排出させようと頑張らなくてはならなくなり、心臓や血管に負担がかかります。それでも処理できなかった水分は、むくみや胸水・腹水といった形で現れます。また、血液が水分で薄まり、貧血の原因にもなります。更にたくさんの除水は透析中の血圧低下のもつながりますので、水分摂取には十分注意が必要です。

~水分の出入り~

簡単に考えると、入る水から出る水を引いた水分が体内に貯留した水分となる訳です。代謝で消費されたり、産生されたりする分もありますが、あまり細かく考えてしまうと計算しにくい為、大まかに計算しています。水分摂取の過多を判断するための最も簡単な目安になります。
まず、計算してみましょう!

<体に入る水分>
*食事からの水分・・・1100ml
*直接飲料する水分・・・( ア )ml
*体内のエネルギー代謝が生産される水分・・・300ml
<体から出る水分>
*汗や呼吸など・・・700ml
*大便・・・100ml
*尿・・・( イ )ml

1100+ア+300ml - 700+100+イml=1日の体重増加 となります。
<体に入る水分>  <体から出る水分>

~水分を取りすぎた時の症状・身体の変化~

<症状>
*咳がでる
*寝ていると胸が苦しい
*元気がなくなる
*食欲がなくなる

<身体の変化>
*血圧上昇
*体重増加
*むくみ
*レントゲンでの心胸比が大きくなる

~体重増加の目安~

ドライウエイトを基本にして考えます
中2日ではドライウエイトの5%以下、中1日ではドライウエイトの3%以下を体重増加の上限にします。

『例』 ドライウエイトが50kgの患者様
中2日:50(kg)×0.05=ドライウエイトから+2.5(kg)・・・52.5kgが上限
中1日:50(kg)×0.03=ドライウエイトから+1.5(kg)・・・51.5kgが上限

~水分管理の工夫~

水分の管理を行ううえで、「水分=水やお茶」と考える人も多くいるでしょう。水分は食事の中にも含まれています。麺類や鍋物、雑炊やシチュー等あったかい献立は、水分を多く含む献立が多いです。また、氷やゼリー、アイス、果物などの喉ごしが良い食べ物も、多く水分を含みます。

*水分が多い料理や間食は、透析が中2日の時は避ける
水分量は蒸す>煮る>焼く>炒める>揚げる  順で水分が少なくなっている。
*体調が悪いとき以外はお粥や雑炊の摂取を控える。
米飯に比べて約1.3倍の水を使用します。
*透析が中2日の日は、中1日の日より飲水を控える。
*食事時間以外で不規則で水やお茶を飲まない・氷を取り過ぎない
時間や回数を決めて食べるようにする
氷も水のうち!お茶を飲む時はおいしい温かいお茶を少量飲む
*水分の多い間食(プリン、アイス等)は食べ過ぎない。回数や量を決める。

~最後に~

体重増加が気になる時「食事をとると、体重が増える」と思って食事を抜いてしまっていませんか?安易に食事を抜くと栄養不足で身体に必要な筋肉までやせ衰えてしまいます。透析には多くのエネルギーが使われます。カロリーが必要なので3食きっちりバランスよく適正量を摂取するのが基本です。
基本的には全く食べてはいけない物はありません。ただ、ちょっとだけ工夫が要ります。
毎日少しずつの心がけと、量や食べ方の工夫を行い自分のペースをつかみ、むやみな体重増加や無理な除水をしなくてすむように心掛けていきましょう。