結核 呼吸器内科 増田 憲治
結核 と聞いて、「昔の病気じゃないの?」と思う人も多いのではないでしょうか。50年ほど前までは「国民病」「亡国病」と恐れられ、日本の死亡原因の第1位でしたが、医療や生活水準の向上により、薬を飲めば完治できる時代になりました。 しかし、今でも年間17000人以上の新しい患者が発生し、年間で約1800人以上の人が命を落としている日本の重大な感染症なのです。(厚生労働省:平成28年結核登録者情報調査年報)
結核ってどんな病気?
結核とは、結核菌によって主に肺に炎症が起こる病気です。長引く咳、微熱、寝汗をかく、体がだるい などの症状があり、風邪とよく似ています。そのため結核との診断が遅れることが多々あります。特に症状が2週間以上続くときには注意が必要です。
どのように感染するの?
空気感染によりうつります。結核菌の混ざったしぶきが咳やくしゃみと一緒に空気中に飛び散り、周りの人がそれを吸い込むことで感染します。しかし、結核に感染しても必ずしも発症するわけではありません。通常は免疫力により結核菌の増殖が抑えられ休眠状態となります。生涯において発症する人は、感染した人の約10%だと言われています。
結核と診断されたら
痰の中に結核菌がいる=周囲の人へ感染させる恐れがあるので、原則入院して治療します。現在は、有効な薬を複数併用して、一定期間正しく服用することにより、完治する病気となりました。
初期には、風邪症状との判別が難しい病気です。一度風邪と診断された場合でも、症状が2週間以上続く場合は再度の受診をお勧めします