5/21兵庫県の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の解除が発表され、だんだんとウイルスと共存しながら日常が少しずつ戻っていく中で、兼ねてから予定していた外来フロアのイスが新調されました。
感染予防対策で医療者も患者さんも誰もがピリピリとどこか緊張感をもって少し暗い雰囲気だった外来ホールが、少しだけ明るくなったような気分になりました。
まさに、みどり病院カラーのグリーン。嬉しいことに患者さんからの評判も上々です。
さて、今回はそんな外来での日々のやりとりを外来看護師の私から…
皆さんは、病院を受診されるときはどんなお気持ちでしょうか?楽しくリラックスした気持ちで出かける方は少ないですよね。
具合が悪くて、それによって“何か悪い病気ではないか”と不安になったり、“早く診てもらえるだろうか、きちんと診てもらえるだろうか?” “楽になるだろうか”など色んなことを考えてしまうと思います。
また、検査を受けに来られた方、その結果を聞きに来られた方、受診するまでの経過が長い方など、それぞれ何かしら不安や思いがあるか思います。はじめて受診される方だと、どんな先生かな?と緊張される方もいらっしゃるでしょうね。
そしていざ診察となると、目の前の医師に緊張して、しどろもどろになってしまい、
“こんなとこと説明したらうっとうしく思われるかな、でも全部わかってほしいから話しておきたい”
“何から言っていいのかわからなくなってきちゃった”なんてことがあったり。
診察を終えてからも、
“肝心なこと言うのを忘れていた”
“なんだか先生を不快にさせちゃったかな”
“私の知りたいことは聞けなかったな…”
“忙しそうで遠慮してしまった”
なんて、来院前とは別の不安が出てきて、不快な思いを抱え帰宅した…そんな経験はありませんか?
私たちみどり病院外来では、診察に来られてまず受付を済ませると、医師の診察の前に看護師から患者さんに丁寧にお話しを伺うようにしています。
初診の方であれば、これまでの経過や現在の状態など聞き取ります。
定期診や予約外の方は、「おかわりないですか?」「今日はどうされましたか?」など声をかけています。
これは患者さんの状態を把握し、早めに診察した方がいいかをトリアージしたり、患者さんが記入された問診票の補足をして医師への情報伝達の手助けをしたり、反対に患者さんの言いたいことを医師に伝えるためです。患者さんとの対話が診療をスムーズに行うためにとても重要なことなのです。
患者さんのお話を聞いていると症状からくる不安が強く、あれこれご自身の考えを話されたり、また心身の不調がたくさんありすぎて、話しているうちによくわからなくなってしまわれる方も見受けられ、今どうしてほしいのか、何に一番困っているのかが伝わりづらいことがあります。
医師は、診察し必要と思われる検査などを行いますが、患者さんからの訴えはとても大切な情報源であり、それらを整理して医師に伝えることはスムーズな診断、治療につながります。そういったことからも、特に初診の方はあらかじめ以下のような内容をメモしておくと病状はもちろん、医師に相談したいこと、聞いてもらいたいことを漏れなくきちんと伝える一助になるのではないでしょうか。
例えば
・今一番何がつらいのか、何をしてほしいのか
・いつから?
・(症状は)どんな風に?どんな時に
・どう経過している?(変わらない?悪くなっている?)
・他院受診歴はあるか(検査結果、説明、内服等しているのか)
などを、診察の前に少しメモをしておくだけで、先生に伝え忘れる事も少なくなるのではないでしょうか。良ければ参考にしてみて下さい。
また、患者さんの中には定期診察で体調は特段変わりない方もいらっしゃいますが、「おかわりないですか?」と声をかけると、
→「ないんだけどね…」
(けどね…って活気のない表情‥と感じ)
「けど…何かあるんですか?」と促すと、
→「最近眠れなくて」
→「介護でひとときも休める時がない、大変」
→「(高齢で一人暮らし)娘・息子には心配かけたくなくて頑張っている」
→「主人が…(愚痴だったり/笑)」
などなど。患者さんが日常で抱えている気がかりや重荷を知ることもあります。
そんな時は話を傾聴し、病気を抱えながら日々の誰にも評価されることのない日常の家のことや介護をねぎらうこともあります。
患者さんとの診察前の何気ない関わりですが、地域支援の介入が必要かもと気づくこともでき、その橋渡しのきっかけになったりします。また、お話を聞くことで「なんかちょっとすっきりしました」「楽になりました」と笑顔が見られることもあります。
逆に、みどり病院に数年来かかりつけの顔馴染みの患者さんから「おお、元気しとるか?」なんて笑顔で聞かれ、私たちが元気をもらうことも(笑)。
外来患者さんの様子は、入院中と違い、来院した時にしか知ることができません。
患者さんは病院を出るとそれぞれの場所に戻り、病気を抱えながら日常生活を送ります。私たち外来看護師は限られた時間の中で、患者さんの日常生活の様子や状態の変化を把握し、適切な医療をうけられるよう医師へ橋渡しをしたり、必要な看護や地域支援の必要性を早期にアセスメントし、患者さんが安心して過ごせるよう努めていかなければなりません。
何気なくかわす会話も信頼関係の糸口になり、その会話からの気付きは見過ごせない大切な情報源でもあります。
でも、現状ではすべての患者さんに毎回ゆっくり話を聞くことができるとは限りません。
外来患者数が多かったり、電話対応や、救急患者さんの対応だったり、多忙で煩雑な現状では、迅速・臨機応変な動きが求められるので、患者さんひとり一人に丁寧な対応が不十分だと感じることがあります。
診察の待ち時間が長すぎたり、不快な思いや不安を解消できず帰られた患者さんがいたときは、後から、どう対応すればよかったのだろうかと、外来スタッフ皆(看護師、事務)で検討することもあります。
患者さんが診察の前に外来看護師ときちんと話ができる関わりが持てるのは、みどり病院外来の大切なスタイルではないでしょうか。どうぞ私たちに遠慮することなくお話してください。
私たち外来看護師はどんなときでも患者さんの状態や、表情、しぐさの一つ一つに関心を寄せ、お顔を見て声をかけ、これからも患者さんに寄り添い、安心を与えられる医療人でありたいと思います。
みなさん、これからもみどり病院をどうぞよろしくお願い致します。