みどり訪問看護ステーションは開設から9年が経ちました。現在、スタッフは看護師11名、理学療法士1名、事務1名の13名が働いています。同事務所内には居宅介護支援事業所が併設されており、ケアマネジャーが1名います。
元々は、みどり病院の在宅部門として訪問看護が始まりました。2000年の介護保険制度が始まった頃は、みどり病院の訪問診療を利用されている患者様も多く、みどり病院の患者様で訪問看護が必要な方へサービスを提供していました。
そして、2011年4月に「みどり訪問看護ステーション」として独立してからは、様々な地域の病院や開業医の先生方、居宅介護支援事業所やあんしんすこやかセンターのケアマネジャーと連携させていただいています。そしてスタッフ全員、在宅生活をしている利用者様や介護しているご家族様が「笑顔で過ごしていただけるように」という思いを込めながら利用者様宅へ訪問しています。
さて、今回は当ステーションに入職して半年から1年のスタッフ2名にインタビューしてみました。
まず、みどり訪問看護ステーションに入職しようと思ったきっかけは?
スタッフA)
学生の時に行った在宅実習の雰囲気がすごくよく、訪問看護師さんがいつも笑顔で穏やかで。利用者さんと関わっている時も、ゆったりとした時間が流れているようで、とても魅力的に感じていたんです。
子育ての節目をきっかけに、転職を考えるようになって、学生の時に感じた訪問看護の魅力を思い出し、新しい分野にチャレンジしてみようと思ったんです。
とは言え、特殊な分野での経験しかない私が、訪問看護で働かせてもらえるのか、という不安もありました。さらに前職で働きながら、保育園への送迎をし、面接を受けるというのもなかなか難しくて…。時間や日程調整等うまくいかないことも多かったですね。
一大決心をしたものの、現実はそう甘くなかった…って感じですね?
スタッフA)
はい。そんな中、ここはとても好意的で、所長から「子連れでもいいから一度話を聞きにおいで」と言ってもらったのですが、そんなことは初めてでした。
そして、面接時には「小さい子供がいるのも仕方ない、みんなそうやって働いてきているよ。興味があるなら今でなくても2年後でも3年後でもいつでもいいから、働きたいと思ったらその時にまた連絡してきてくれたらいいよ。」と言ってもらって。今までそんな寛容な面接を受けたことがなかったのでビックリしました。
「素敵な職場だな、ここで働かせてもらいたい」と思ってすぐに連絡し入職を希望させてもらいました。
所長の寛容さがよくわかるエピソードですね。常に相手の気持ちをくみ取って心にゆとりを持たせてくれる人ですよね。ありがとうございました。
スタッフB)
私はここに来る前にも訪問看護ステーションで働いていました。その中で、自分が訪問看護師としてどう向かうべきか迷ったことがあり、色々と調べる中で、みどり訪問看護ステーションのブログにたどり着きました。「入院はしたくない」というご本人の意思を尊重しながら支援しているといった内容で、こんな思いを持って支援することができるんだ!!!と感動しまして。
入職されてから、ホームページの記事を読んでくれていたことを聞いて、すごく嬉しかったですよ。
スタッフB)
みどり訪看の過去のブログもすべて読みましたね(笑)。在宅でこんなことができるんだ!!どうすれば実現できるのか、その術を知っている人たちが働いているんだ!!とどんどん惹き込まれて、すっかりみどり訪問看護ステーションのファンになり、ずっと愛読していました。そんな熱い思いをもった人たちが働いているステーションで自分も働きたい!という思いが強くなり、看護師募集に応募し、無事入職させてもらえました。
記事を読んで、うちが大事にしている「暮らしに笑顔を」に共感して入職を決めてくれたこと、頼もしい仲間が増えて嬉しい限りです!
基本的には訪問は一人でしますが、訪問先で判断に迷うことがある場合、どう解決していますか?
スタッフA)
緊急時は、ご家族様の意見を伺ったり、事務所に連絡をして先輩スタッフの意見を聞いたりして対応しています。急ぐことでなければ、次回の訪問までに事務所で先輩スタッフとカンファレンスのような話し合いをします。
訪問看護→1人で仕事をする→孤独(不安が多い)という印象を持っていたので、それが実際に働いてみて払拭されました。
スタッフB)
以前の訪問看護ステーションでは立ち上げから関わり、利用者さん0人からのスタートでした。一人ずつ増えていくので、把握しやすかったですね。ここでは、既に利用者さんが100人近くいるという事で、お一人お一人の訪問するための情報を把握することが大変でした。今もです。そして、一人で訪問できるようになるまで、何度も先輩スタッフと一緒に同行訪問させてもらっています。見ているのと、自分でやってみるのはまるで違うんですよね。
それを繰り返して、一人で訪問となるのでありがたいです。それでも実際一人で行かせてもらうようになったら、判断に迷うことも出てきます。そんな時はためらいなく、所長や先輩スタッフに即電話です!その時の状況を伝えて、指示やアドバイスをもらっているので、利用者さんやご家族にも不安なく、自分にも不安なく訪問することができています。
一人で訪問しているけど、判断に迷った時に相談できる環境があると心強いですよね。
うちのステーションは24時間連絡対応の体制をとっている事業所ですが、コール当番(24時間連絡がとれるよう、スタッフが当番制で携帯電話を持ち帰ること)時の苦労話やエピソードはありますか?
スタッフA)
18時から翌朝8時の14時間、持って帰るのですが・・・最初は、鳴ってもいないのに2時間毎に起きて携帯をチェックしたりしてました。鳴っても気づかなかったら…という不安もありましたが、夜中2時に鳴っても対応できたので一安心しました。今でもその不安はあり、こまめに携帯の確認はしています。
あと、お風呂に入るタイミングをいつも悩みます(^^;)
所長は「わからないことはわからない。訪問に行ってない人の事はわからなくて当然なんだから聞けばいいよ。」と言ってくださるので、「わからないのに適当に答える方が迷惑になる」と、自分の中で良い意味で割り切って、所長に電話をして対応について確認させていただくこともあります。
スタッフB)
以前もコールは持つことはありましたが、対象の利用者さんも少なかったので、かかってくることも少なかったんです。ここでは、働きだして半年。ようやくコールを持つようになったところなので、まだエピソードと呼べるものはありません。ただ、実際にコールを持っている先輩たちの対応を聞いて、自分だったらどう対応するのか、できるだけイメージを膨らませるようにしています。
それでは、実際にここで働いてみて、業務の内容で感じたことや先輩スタッフから学んだことは?
スタッフA)
訪問先で必要な物がなんでも揃っているわけではないので、そこにある物を代用してケアをしていること。また、「無いけどこんな感じのがあったらいいよね~」という物を、その利用者さんの訪問に入っていないスタッフも一緒になってみんなであれこれアイデアを出し合って、実際に作ったりしていることにビックリしました。
事務所内で話し合いがよくできていて、情報共有がしっかりできているところや、スタッフ間でも細やかな気配りがあるんです。また訪問先では次に訪問する人が介護や看護しやすいようにと段取りをしてあるので「気づき力」を持っている人が多く、学ばせてもらうことがたくさんあります。
スタッフB)
私はここに来て、一番初めに「暮らしに笑顔を」というモットーがあることに感動しました。実はブログを読んで、入職前からこの言葉は知っていたのですが、ステーションとしてこういう思いを大切にしてきたんだな、と思いました。
これってどこのステーションにも普通にあるように思われるかもしれませんが、これを考えるのってものすごく大変だと思うんです(私はそうでした)。自分たちがステーションとして、訪問看護師として何を大切にしていきたいかという指標となっているように思うので、実はとっても大切だと思っています。
また、病院付きのステーションだからこそ、病院からの情報、今でいうと新型コロナ情報がタイムリーに得られるのでとってもありがたいです。
訪問では、先輩スタッフと同行をさせてもらう中で、利用者さんやご家族にとことん寄り添っているなと感じています。そして、ケアがとにかく丁寧なんです!!!声のかけ方から始まり、おむつの当て方ひとつ。爪切りや布団のかけ方ひとつにしても、心がこもっているというか。
うまく言えませんが、見ていて思うんですよ。“誰がしても同じのように見えて同じじゃないんだな、と。私もこれまでの看護師人生、気持ちを込めてケアしてきたつもりでしたが、まだまだだなと強く思いました。日々勉強ですね。楽しいです。また、病棟と違って物品が充実しているわけではないんですよね。自宅にある限られた物品を使って、ケアを行う。ここにも先輩スタッフの知恵とセンスが光っていると感じます。
先輩スタッフとの同行訪問の中での学びは本当に貴重ですよね。自分になかった良い所はどんどん吸収して、今以上により良い看護が提供できるようにと前向きに取り組む姿勢は素晴らしいと思います。
それではズバリ!!訪問看護の魅力を語ってみてください!
スタッフA)
訪問看護の仕事をしてみて、30分、1時間と利用者さんと密に関わっている時間はすごく短く感じることが多いです。 でも、病院で働いていた時に、一人の方にきっちり30分、1時間向き合えていたか…というとそうではなく、色々と雑務に追われながら、今以上に同じ空間にはいたけれど、今のように患者さんに向き合えていなかったように思います。
限られた訪問時間の中で状態を観て、利用者さんやご家族のお話を聴いて今自分にできること。そして、その人がこれからも家で過ごしていける方法を「指導して」やってもらうのではなく、「一緒に考えて」やっていける方法を見つけていくのはおもしろいです。それが魅力だと思います。
スタッフB)
自宅で過ごすって、私たちにとっては当たり前で、訪問看護をしている今も、自宅で過ごしています。 この当たり前が年齢を重ね、色々な病気になる中で難しくなってくる訳です。長年住み慣れた自宅で、好きな時に寝起きをしたり、好きなものを食べたり、好きなことをして過ごせること。全部が全部好きなように、とはいかないまでも、病気を持ちながらでもその人らしく過ごせる場所だと思います。その生活を守るお手伝いができるのが、訪問看護だと思うんです。
訪問看護は、これまでの自分の経験や思い、スキルすべてを総動員して、そして先輩スタッフの知恵もお借りしながら、看護師として、また人として、その人とその人生に深く関わることができるところです。もちろんその中で自分自身も多くのことを気づかせてもらえ、学び、成長することができます。本当におすすめです。
最後に、今後に向けたお二人の抱負を語っていただけますか?
スタッフA)
先輩方と同行させてもらうと、“訪問看護は利用者さんにとって日常生活の中の一場面であって、訪問に来る事が当たり前となっている状況なんだ”という事をすごく感じます。そして、ほとんどの利用者さんが訪問を心待ちにされているんです。「この人がいるから安心する」「待ってたよ」などの言葉もよく聞かれますし、表情もとても穏やかで心から安心されているのが伝わってきます。
利用者さんにとって私の訪問が「笑顔になれる場面」となるように、今後も勉強していき知識・技術をレベルアップさせていくことはもちろん、コミュニケーション能力を身につけて、利用者さんに信頼してもらえるような看護を目指したいと思っています。
スタッフB)
私はこれまで「自分や自分の家族が利用したいと思えるような看護」を大切にしたいと思ってきました。それにはまだまだ勉強が必要だと、ここへ来て強く感じています。他の先輩スタッフのように利用者さんに「この人が来てくれてよかった」と思ってもらえるよう、日々の訪問を丁寧に積み重ね、訪問看護のスキルを身につけていきたいと思っています。
新入職のお二人、たくさんの熱い思いを語っていただきありがとうございました。
職場に、新鮮で爽やかな新しい風が吹き込んでいます。新入職スタッフがみどり訪問看護ステーションに来て、先輩スタッフからたくさんの刺激を受けているように、先輩スタッフもまた、新しい発見に出会えたり、見つめ直す機会になったりして、互いが更に成長していける環境になっていると感じています。
みどり訪問看護ステーションのスタッフは、病気になっても“住み慣れた自分の家でできる限り暮らしていきたい”という気持ちを大切に。そして、その思いが実現できるように、傍らで寄り添いながらお手伝いをしたいと思っています。
「訪問看護師という職種に興味はあるけど、今一歩踏み出す勇気が出ない」と思っている方、みどり訪問看護ステーションで私たちと一緒に働いてみませんか?
さて、続く第2弾は、我がみどり訪問看護ステーションスタッフが愛してやまない小川所長へインタビューしてみたいと思っていますので、乞うご期待!