私は、昨年11月末に1年間の育児休業から復帰させていただきました。
産前産後休暇に入らせていただく前から、既に世の中は『コロナ禍(新型コロナウイルス:以下コロナ)』と呼ばれる状況となっており、3密回避・行動自粛が強く呼びかけられていました。
当院としましても、正面玄関でのトリアージ開始、発熱外来の設置、病棟での面会制限や減圧室の設置、職員間での対面や至近距離での食事・休憩を控える等、出来る限りの対策を講じていました。
地域連携室としては、これまでのように気軽にケアマネジャー(以下ケアマネ)さんやご家族へ来院いただくことが出来なくなり、退院調整に伴う相談が対面で行えなくなりました。また面会が出来ないことに対する心配やご不安を電話口でお聞きする機会も増え、患者様の中には、コロナ感染が心配で利用中の介護サービスを停止しているとおっしゃる方もいらっしゃいました。
産前休暇前でお腹が大きくなってからは、患者様からも度々励ましの言葉を掛けて頂きました。男性女性問わず、お子さんの話になると顔がほころぶ方も多く、人生の先輩として子育ての秘訣を沢山聞かせていただき、第二子誕生への期待と同時に、コロナに対する不安を抱えながらの出産となりました。
上の子の時とは全く異なる環境下で新たな子育てが始まり、乳幼児健診も時期をズラして少人数で受け、子育て交流会も全て無くなり、屋内施設は基本的にどこも使えなかった為公園に行くも、そこでも制限があり遊べる人数も時間も限られています。
そんな中、安全に自由に遊ばせるならばもう自宅を遊び場にするしかない!と思い、部屋にジャングルジムやトランポリンなど身体を動かせる遊具を設置し、庭にお砂場を作ったり、ベランダにテントを張ったりと趣向を凝らして、どうすれば子ども達が楽しく過ごせて、かつ自分自身もやり易くなるだろうと考えて日々奮闘した毎日でした。
ですが、やはりずっと一緒に居るとイライラもしてくるもので、そんな時は「子どもが居るから親になれたんやで」「すぐに大きくなるわよ~。沢山抱きしめてあげてね」と、患者様に言われた言葉を思い出し、深呼吸をしてから再度子どもと向き合うように過ごしました。
そうして病院勤務から離れて過ごしていると、自身や家族の感染予防は当然ですが、コロナとの戦いはテレビ越しのニュースで見る光景となり、まさかこんなにもコロナ禍が長期に渡るとは想像もしておらず、復帰する頃にはきっとワクチンも浸透し、コロナも終息に向かっているだろう、そうであって欲しいと願っていました。
しかし、2021年12月に産休が明けて出勤し、最初に目にしたのは、より厳重になった正面玄関のトリアージで、医療用アイシールドを使用した職員が迎えてくださいました。産休明け当時、多くの人がワクチンの2回目接種を終え、少しずつ感染者数も減少しこのまま終息に向かうのかと思いきや、新たな「オミクロン株」が発生し国内の感染者数も増加の一途を辿り、過去最多を更新する日々となりました。
特に当院では自己免疫疾患や糖尿病、心臓血管外科の術後、透析など感染すると重症化リスクの高い疾患を持つ患者様が多くいらっしゃる為、感染に対する危機意識が高く、外来、入院共に厳重な対応が求められます。
その為病棟の面会制限は継続され、以前のようにリハビリ見学や退院前カンファレンスを行うことが出来ず、ご家族やケアマネさんに直接患者様の状態を見て頂く機会が無く、退院調整に向けて相談し合う事が容易ではない状況です。
ご家族とお話していても、やはり面会が出来ないことに不安を感じておられ、病院からの連絡を待つ日々に疲れておいででした。
しかし、そうしてご家族やケアマネさんと会える機会が少ない分、今まで以上に来院される機会ひとつひとつを大切にし、足りない情報が無い様に各部署間で情報を共有し合い、みんなで一丸となって退院に向かっていると感じることが多くなりました。
例えば、以前担当した患者様のご家族と退院調整の連絡をした際に、(患者様との面会が出来ない為)「話には聞いていても、実際に本人を見ていないと、自宅で本当に動けるのか心配」であると伺い、病棟と担当療法士に相談したところ、すぐにタブレットでリハビリの様子を動画撮影して下さり、ご家族が荷物を取りにいらした際に病棟より療法士へ連絡が行き、動画を見て頂けるようにしました。「これなら安心して帰ってきて貰えます」と安堵される様子を見て、こちらも安心して退院していただけました。
新型コロナウイルスにより職場環境も大きく変わりましたが、制限のある中、出来る範囲で患者様やご家族の気持ちに応える方法をみんなで模索する姿は、他部署との連携が取りやすく、主治医や看護師の意見を皆で共有しやすい環境づくりがされている当院の強みが発揮される瞬間であり、お休みを取る前と変わらない働きやすさを感じました。
今後も、多職種連携の下どうすれば患者様やご家族が安心して退院が迎えられるかを一番に考え、社会福祉士としての職務に邁進していきたいと思っています。