皆さんは診療放射線技師という資格をご存じですか?聞いたことがありますか?
私たちの仕事はレントゲンやCTといった放射線を患者さんに当てて写真を撮ったり、被ばくをしないMRI検査なんかも担当します。大きな機械を使用して画像検査をするお仕事です。
では、具体的にどういった仕事で、どうやったら仕事に就けるのかお話ししますので興味がある方はぜひご覧ください。
〇診療放射線技師とは
診療放射線技師とは、医師や歯科医師の指示に基づき様々な放射線を使用し検査や治療を行う役割を担っています。
放射線技師の業務はたくさんありますが、放射線の照射は、医師、歯科医師、放射線技師以外は行うことはできません。この仕事は無資格者が使用することを禁じる独占業務です。
私達は診療に必要な画像情報を提供することでチーム医療に貢献しています。
仕事内容は、レントゲン、CT、病棟回診撮影、血管撮影、透視撮影などなど常に放射線を使用して検査を行っているため、体に影響が出ることはありませんが、私たちも被ばくしてしまいます。
〇診療放射線技師になるには
厚生労働省が行う診療放射線技師国家資格に合格しなければ診療放射線技師の職種に就くことはできません。そしてその国家試験を受験するための条件もあります。文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した診療放射線技師養成所において3年以上必要な知識と技能の修習を終えたものが受験資格を得られます。
3年制の専門学校、国公立および私立の4年制大学など選択肢は様々です。私が専門学校で学んでいた20年以上前は女性が少なく男性が多数でした。放射線技師は職業被ばくをするというイメージのせいでしょうか。
この仕事をしていると、患者の介助や検査で医療放射線をあびることはありますが、個人の被ばく線量は計測管理されており、正しい知識をもって業務を行うことで健康に影響をあたえることはありません。近年では放射線技師が主役の漫画やドラマの影響などにより認知度も増えてきており、技師を目指す学生の男女差はなくなりつつあるようです。
育成校も増えてきているので、機械操作に強い方、触るのが好きという方はぜひチャレンジしてみてください。主に中学生・高校生向けのメッセージになりますが、社会人を経験してから技師免許を取得する方もいます。
〇実際に働いてみて
実際に医療の現場で働き始めると、教科書では習わないことで改めて気づくことがありました。学校では模型を使用したり、学生同士で練習したり、100点満点の写真を撮影することが大切なことだと思っていました。
しかし、実際に撮影する患者さまはどこかしら体に不調があり、痛みを伴っていることが多いです。教科書のような体勢をとれる方ばかりではありません。新人のころ、100点の写真を目指すあまり、患者さまにどこまで求めてよいか悩む場面がありました。私たち放射線技師は患者さまの顔を見て、声をかけて、少ない負担でよりよい写真を提供することが大切だと改めて感じました。
CTやMRIなど大きな機械で検査する時に不安を抱えている患者さまもいます。その不安に寄り添い、丁寧に説明することで、「あなたのおかげで安心して検査を受けることができました。」と言われたときはとても嬉しく思いました。
他にも働き始めて必要だと気付いたことがあります。それは撮影するだけで終わってはいけないということです。撮影した写真をチェックして、自分なりにどういう状態か考えます。
技師同士、「私はこう考えるけどどう思いますか?」という意見交換もします。「撮りっぱなしにしない」ということはとても大切です。なぜなら緊急性の高い疾患の場合、少しでも早く医師に伝えることで、治療開始が早くなります。このようにチームで動く医療に携われることはとても素晴らしいことだと思います。
私の姪が現在技師養成学校の二年生です。放射線技師になりたいと志してくれる学生がたくさんいることをとても嬉しく思います。私たち診療放射線技師にとって大切なことは患者さまのためにより良い医療を提供したいという気持ち、そしてそのためにチームで協力、連携することです。日々進歩する医療の発展にアンテナを張り、常に自分自身も技師として改善、前進することを心掛けています。