人工透析中に透析をしている機械から”ブー”と赤いランプを発しながら音が鳴り機械が止まってしまうことがあると思います。すぐにスタッフが駆け付け発生したアラームを止めに行きますが、一体なぜアラームが鳴っているのでしょうか?頻繁に発生するアラームについてお伝えしようと思います。
静脈圧下限警報
透析では、脱血(血液を体内から取り出す)を行い、透析回路を回って返血(血液を体内に返す)を行いますが、その時に透析装置は静脈圧(血液を体内に返す側)の圧力の数値を監視しています。それが一定以下の数値になるとアラームが発生します。これが静脈圧下限警報です。
簡単に言うと、”上手く血液が取れてなくて、体内に返す血液の量が少ないですよー”というアラームです。
原因としては、患者さんが体を動かしたときに、脱血している方の透析回路が曲がってしまい脱血が上手くいかず、結果として返血が上手くいってない、刺した針が血管の壁に当たってしまい脱血が出来ていないことが多いです。
このアラームが発生した時は、患者様の状態、針の様子を観察しています。
透析中は腕を曲げないようにしてください。
静脈圧上限警報
先程のアラームとは反対で監視している静脈圧が一定以上の数値になると発生します。言い換えると、”体内に血液を返そうとしているけど、上手く返せていないですよー”というアラームです。
原因としては、肘を曲げたりして返血する方の透析回路が曲がってしまい上手く返血が出来ていない、また先ほどと同じく刺した針が血管の壁にあたってしまい返血が出来ていないことが多いです。このアラームが発生した場合も腕の位置を調整して様子観察をしています。
また、ドライウェイト(患者様毎の透析後の目標体重)からたくさん体重増加をしてしまい、たくさん血液から水分を除去すると血液が濃くなり、水分の少なくなった血液をうまく返せないことで静脈圧上限警報が発生することもあります。
BV計による警報
BV計とは、blood volume(体内の血液の量)を監視しているものです。
どういう役割かといいますと、血液から水分を除去しているときに血液の濃さをずっと監視していることで、一定以上の血液の濃さになると、”とても濃くなっているので血液の量が少なくなって、患者様の血圧が下がってるかもしれませんよー”と教えてくれます。
このアラームが発生しても機械は止まることはないですが赤いランプが光ってアラームを発生します。アラームが発生したら、患者様の血圧を測定したり、顔色や体調変化を尋ねて血圧が下がっていないか確認します。原因としては、たくさん血液から水分を除去することで血液が濃くなってしまっているためですので、ドライウェイトからの体重増加が多いとよく発生します。
以上がよく発生するアラームです。
たくさん水分を取ってしまうことで隣にある透析装置から警報が発生し大きな音が鳴ってしまうこともあります。
そのため、ドライウェイトからの体重増加が多くならないように水分摂取をなるべく控えてもらいつつも(みどり病院では1日あたり600mlまでの水分摂取としています)、食事はしっかりとして栄養をとってもらい、快適な透析ライフにしていきましょう!