心ここに在らざれば 視えども見えず 聴けども聞こえず 食らえどもその味を知らず
(自分の中の心がしっかりしていなければ、視ようとしても何も見えず、聴こうとしてもなにも聞こえず、食べたとしても味が分からない)
『大学伝七章』
日々起こる出来事を自分の問題として捉えていない状態では、目の前に重大な事が起こっていても、それが他人事にしか感じられなくなり、視ているつもりでも全く見えてない状態となるという教えです。
日々の業務の中でこの教えを痛感するような、思わず“おぉっ!!”と心の中で叫ぶような2つの出来事がありました。
1つめの“おぉっ!!”は
4階の医局から荷物を運んでいた時のことです。診察へ向かうTドクターの後を私は両手に荷物を抱えて歩いていました。ドクターは急いで診察室へ向かうため、階段を走り降りて行きました。しかしその時、後続する私の存在を知って、エレベーターを呼ぶボタンをさりげなく押してくれていたのです。自分が使う予定ではないエレベーターです。
“おぉっ!! ”
心の視野が広くないと、まさに『視えども見えず』です。そしてそれが、思いやりの行動にすぐ繋がることに感動しました。
2つめの“おぉっ!!”は
フロアー案内に使うファイルが破損していたため、追加印刷をしようと思いました。該当のデーターの所在が分からず、分かりそうなKさんに相談しました。データーの所在さえが分かれば50部ほど追加印刷し新しくセットするつもりでした。
暫くして、Kさんが現れました。手には綺麗にカラー印刷したデーターを1枚ずつラミネートしたものが50部ありました。
“おぉっ!!”
データーがどこにあるか知りたい背景を全て汲み取り、すぐに活用できる状態で渡してくれたのです。仕事の在り方を学ばされた気がしました。言われたことだけをするのが仕事ではない。それでは、まさに『聴けども聞こえず』です。
私たちスタッフは、待合の患者さんのことを見ているようでも、実際は肝心なことが見えないということはないでしょうか。何かしらご病状があって通院されている患者さんたちは、辛い状況のこともあろうかと思います。
そんな中でさえ、こちらスタッフのことを気にかけてくださり
『いつも今日は来てるかなって見てるの、お元気?頑張ってね!』
と優しいお声をかけてくださる方々が多くいらっしゃいます。
そんな温かいお心遣いにお応えできるように努めて参ります。
相手の気持ちを考え汲み取る共感力。
よりよいサービスを考える想像力。
短時間でも清々しい印象に残る会話をする語彙力。
有益な情報を正しく提供できる知識の習得に励みたいと思います。皆さんも何かお気づきのことがありましたらお気軽にお声かけください。
今後ともよろしくお願い致します。