当院では、入院患者様や外来透析患者様へのお食事の提供を行っています。病院食は日本人の食事摂取基準を元に、必要な栄養素が過不足なく含まれるように献立を作成します。当院のお食事は38種類あり、その中から患者様の病態・体格・年齢・嗜好などを考慮してご提供させていただいています。
また、入院中の栄養摂取は食事だけでなく、薬剤や栄養剤を使用させて頂く場合があります。
食事と薬剤や栄養剤を併用される方の例として、以前に入院されていた患者様をあげさせて頂きます。その患者様は、肝臓の病気で入院されたのですが、入院直後は病態の関係で食事は召し上がらずに、点滴のみで管理されていました。その後、状態に合わせて食事内容と薬剤を調整して食事量を少しずつ増やしていくことになりました。そのため、食事内容を何度か変更させていただきました。患者様ご家族より「食事内容は少なくないのか、エネルギーや栄養素はどのくらい摂取できているのか」という問い合わせをいただき、その都度ご説明に伺いました。食事内容の見直しは、薬剤との兼ね合いを考慮して管理をしているので、食事は少しずつ量を増やしていくという事をご説明しました。栄養士から直接食事内容の説明を聞くことで、安心していただけたようでした。このように、栄養摂取は食事を中心に薬剤や栄養剤を必要に応じて使用しながらトータルで管理が出来るように努めています。
食事内容に関して質問を頂くこともありますが、入院中の患者様にとって、お食事は治療の一環としてとても重要です。ですので、ただ食べるだけでなく病気や怪我の治療のためにどのような食事やお薬が必要なのかを理解していただくこともとても大切です。栄養科の職員は、問い合わせに対して丁寧にお答えできるように日々努めています。
また、当院では栄養素だけではなく、「患者様の食べやすい形」をご提供できるようにしています。例えば、年齢や脳梗塞の後遺症等で飲み込みが上手に出来ない方、お箸がうまく使えない方などには、ムース、ミキサー、キザミ、一口大などの形態をご用意しています。ほかにも、おかずにあんかけをして飲み込みやすくしたものや、ゼリー状の栄養剤などもあります。このように栄養素だけでなく、患者様個人に合わせた形態を選ぶことも栄養をとる上で大切だと考えています。
当院には色々な患者様がいらっしゃいます。一人ひとりの病態や嗜好が違いますので、栄養の取り方は患者様によってさまざまです。先ほど例にあげさせていただいた患者様のように、薬剤や栄養剤を使用していただくこともあります。また、口から食べるために食事形態を刻んだり、ムース状にしてみたりと形態を変えることもあります。時には、飲み込みの訓練をリハビリスタッフにしてもらったりもします。このように、栄養摂取に関してもご提供する内容は個人によって変わってきます。栄養科は、疾患別のお食事や栄養剤をご提供することはもちろん、医師・看護師・薬剤師・リハビリ職員などの他職種と連携をとりながら「栄養をとること」を通して患者様の「生きること」をサポートします。