
「ずっと痛みが続いている」「検査では異常がないのに痛い」など、慢性的な痛みに悩む方は少なくありません。体の組織が元の状態に戻る期間(一般的に3か月)を超えて持続する、または断続的に生じる痛みは「慢性疼痛」と呼ばれ、ケガや炎症だけでなく、脳の働きや心理的ストレス、生活習慣なども関係していることが分かっています。また、痛みがあるからと安易に痛み止めの内服や湿布を常用していると、胃腸などの消化器に負担がかかるなど副作用のリスクもあります。
理学療法士は、痛みを「身体の問題」だけではなく、「生活や心の問題」として捉えます。長く痛みが続くと、「動かすと悪化するかも」と感じて体を動かさなくなることがあります。しかし、動かさない期間が続くと、筋力や体の柔軟性が低下し、血流も悪くなって、かえって痛みが強まってしまうことがあります。このような悪循環を断ち切るために注目されているのが、認知行動療法です。
認知行動療法は、「動く事への不安」や「痛みの捉え方」を少しずつ変えながら、安心して体を動かす経験を積み重ねていくリハビリ方法です。たとえば、「動くと痛い=悪い事」ではなく、「少し動くことで、体が慣れていく」という考え方に変えていくことで、脳が痛みを過剰に感じる反応を和らげていきます。
理学療法士は、まず患者様が痛みに対してどのような考えを持っているかを傾聴し整理します。そして、今は痛みに対して過敏になってしまっている状態であることを理解していただくことから始めます。そのうえで、痛みが出にくい姿勢や動作を一緒に練習し、少しずつ「動いても大丈夫」という感覚を取り戻していきます。
たとえば、腰痛の方なら、寝返りや立ち上がりなどを、安全かつ痛みの出ない方法で繰り返し練習することで、恐怖心を軽減していきます。慢性の肩こり、膝痛などにも共通して言えることは「動かさない事」が悪循環の始まりになってしまう可能性があるという事です。背伸びや股関節回しなどの優しいストレッチやウォーキングなどの軽い運動、ゆっくりとしたリズム運動や庭の手入れなどのレクリエーションなどもおすすめです。
また、認知行動療法では生活全体の改善も大切です。運動や睡眠、ストレスなどを整えることで、脳の過敏な状態を落ち着かせ、痛みを感じにくい身体を取り戻すことができます。
認知行動療法がすべての痛みを解決できるわけではありませんが、慢性疼痛は、「患者様自身が痛みを管理しながらADL(日常生活活動)とQOL(生活の質)を向上させることを目指して、認知や行動を改善させていくことが重要である」と言われています。みどり病院は、これからも患者様が主役のリハビリテーションが行えるよう個別にプログラムを考え、お一人お一人の「自分でできる」を応援します。





