みどり訪問看護ステーションでは、外に出られない高齢者の方に家の中でも季節を感じてほしい、楽しみのある生活をしてほしいという思いから訪問にもちょっとしたサービスを行っています。
冬至の入浴サービスにはゆずを持参してゆず湯に入っていただいたり、桜の季節にはリハビリと称して桜の見えるところに外出するなどなど、スタッフも一緒に楽しんで次の計画をたてています。
さて今年も一年が明けました。
皆様どのようにして過ごされましたか。
ご家族でゆっくりと過ごされた方、そうでなかった方それぞれだと思います。
介護にお正月はありません。
生きている限り“寝て”、“食べて”、“出す”は当たり前のように必要で、お正月だから休みということはないのですから。
多くのサービス事業所が休みをとり、また営業していてもマンパワーには限りがあるため平日よりもご家族の負担は大きくなるのかもしれません。
またほとんどの医療機関が休みとなってしまうため、病気療養中の方そして介護するご家族にとっては不安があるかと思います。
みどり訪問看護ステーションでは12月31日~1月3日までお正月休みとさせていただきましたが、どうしても訪問が必要な方がおられます。
今年もスタッフで少しずつ協力し、支援がなければ困る方のみ訪問を行わせていただきました。
もちろん24時間オンコール体制はお正月でも健在です。
一人暮らしのIさん。
週3回透析治療に通院し、その合間に訪問看護で排便の援助を行っています。
今年はちょうど元旦が排便の日に当たってしまいました。
元旦だから我慢してというわけにはいかず訪問です。
「元旦やのにすまんな~」とベッドの上で頭を下げるIさん。
「いいえ、食う出すに正月はありませんから」とさっそくケアにとりかかります。
めでたいことにたくさんの便が、そして排ガスと一緒に私の服にも飛んできました!
「ごめんな!」と必死であやまるIさんに一言「おかげでウン(運)が付きました」そのあとは二人で大笑いしました。
一人暮らしのMさん。
年末の12月31日にイレウス(腸の動きが止まってしまう病気)で急遽入院されました。
元旦にさっそく病院に会いに行くと、「せっかく1万円のおせち料理が届いたのに」と残念そう。
「体は大丈夫?」という問いかけにも「おせちが食べられないわ」と悔しそうな表情でした。
「お正月は来年も来るからね。また食べられますよ。」と声をかけると「そうね」と笑って下さいました。
娘さん家族と同居する90代のAさん。
入院中癌末期と診断されました。
認知症もなく自分のことは自分で決めたいというAさんに主治医は告知。
Aさんは「治療ができんねやったら家に帰りたい。」と、11月に退院となりました。
温泉が好きなAさんに、家でもお風呂にいれてあげたいと娘さんがケアマネさんに相談。
ケアマネさんは段取りよく手すりの取り付けとシャワー椅子の準備をしてくれました。
おかげでAさんは訪問看護で手助けを受けながら入浴ができています。
少しでも温泉気分をと、娘さんの配慮で毎回湯の花が入っています。
Aさんはつらい症状があるときも、お風呂に入ると「あ~気持ちええ」と笑顔になられます。
大晦日に入浴納めをされ、新年2日から入浴初めをしていただきました。
元旦はお孫さんが注文してくれたおせち料理と少々のお酒を召し上がられたとのことでした。
お正月の訪問に気を遣われる利用者さん、そしてご家族さん。
人に気を遣ってばかりでなく、「今年はこれがしたい」「こうやって生きていきたい」と思えるようになって下さいね。
そして限りある人生をあなたらしく生き生きと暮らしてほしい、そう心から願っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。