日々の診療において、とても緊張した表情で心臓(冠動脈)CT検査を受けに病院へ来られる患者様がほとんどです。
「随分緊張されているご様子ですね」と患者様に伺うと、「検査のことを考えると、昨日の夜からあまり寝れなくて…」と言われることも少なくありません。
確かに、お医者さんに「心臓(冠動脈)の検査をしましょう」と言われたら、どんな検査なんだろかと、どなたでも不安に感じられるのではないかと思います。
しかし、心臓(冠動脈)CT検査を緊張した状態で行うのはいいことではありません。
緊張した状態では心臓の動き(心拍数)が早くなり、CT撮影が困難となる場合が多くなるためです。
心臓(冠動脈)CT検査を受ける際に少しでも不安の少ない状態で、少しでも緊張が和らいだ状態で検査を受けていただけるよう、心臓(冠動脈)CT検査中に患者様が疑問に感じられている、私たちがよく尋ねられる質問をご紹介します。
心臓(冠動脈)CT検査とはどのような検査ですか?心臓(冠動脈)CT検査で何がわかりますか?
CT検査で心臓を栄養する冠動脈という血管を診る検査です。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の原因となる冠動脈狭窄の診断や、冠動脈疾患の治療後の経過観察に用いられます。
これまで心臓を栄養する冠動脈の状態を調べるのは入院をして「心臓カテーテル検査」をしなければわかりませんでしたが、心臓(冠動脈)CT検査によって外来で安全に冠動脈の評価ができるようになりました。
当院では狭心症や心筋梗塞といった病気の発見のために積極的に心臓(冠動脈)CT検査を実施しています。
ただし、不整脈の多い方、10秒程度息止めが出来ない方、腎臓の働きが悪い方、造影剤のアレルギーがある方などは検査が受けられない場合があります。
どのような人がこの検査を受けたらいいですか?
心筋梗塞は少しの動脈硬化から始まりますので、動脈硬化を引き起こすリスクのある方(高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙歴など)には心臓(冠動脈)CT検査は有用であると考えられています。
心臓(冠動脈)CT検査ではどんなお薬を使いますか?アレルギーや副作用はありますか?
心臓(冠動脈)CT検査では3種類の薬の使用が必要です。
1)造影剤
冠動脈を鮮明に映し出すために造影剤を用います。
造影剤が体内に入ると体が温かく感じますが、正常な反応ですので心配なさらないでください。
ヨード造影剤にアレルギーがある方は検査出来ません。
ビグアナイド系糖尿病薬服用中の方は検査前後で休薬が必要になります。
2)β遮断薬(βブロッカー)
心臓(冠動脈)検査では心臓の動きが早すぎると十分な検査が行えない恐れがあります。
そのため、脈拍数の多い方には一時的に脈拍を下げる効果のある薬(β遮断薬)を内服していただいた後で検査を行います。
β遮断薬(βブロッカー)の効果が効くまでに1時間程時間がかかります。
検査には薬の効果が現れるまでお待ちいただく場合があります。
3)血管拡張剤
検査時には心臓の血管を拡張させるスプレー剤を使用します。
ただし、緑内障の患者様、前立腺肥大治療薬内服中の患者様には薬を使えない場合がありますので、緑内障や前立腺肥大で内服されているお薬がありましたらお薬の名前と併せその旨をお知らせください。
心臓(冠動脈)検査はどのように行われるのですか?痛みや不快感を伴いますか?
心臓(冠動脈)CT検査を行うために、まず点滴の管を入れます。
検査中は両手を挙げた状態で、心臓の動きを確認しながら検査を行ないます。
検査中には10秒程度の息止め練習を複数回していただきます。
本番の撮影時には造影剤を用いて撮影を行います。
検査自体には痛みを伴うことはありません。
造影剤が体に入ると体全身がじんわりと、熱く感じますが、正常な反応ですので心配の必要はありません。
みどり病院では万全の体制を整えて検査を行なっておりますので、不安な点がありましたら検査担当者にお尋ねください。
心臓(冠動脈)CT検査時間はどれくらいかかりますか?検査結果はすぐわかりますか?
CT室での検査時間は20分程度です。
検査前の準備、検査後の処置など全てを含めると、来院していただいてから心臓(冠動脈)CT検査がおわるまでの目安は120分です。
検査後に画像処理に時間が必要となりますので、基本的に結果は後日診察にお越しいただくことになります。
検査前や検査後に注意することはありますか?
検査4時間前から絶食となります。
水・お茶など水分はいつも通り飲んで頂いて構いません。
検査後は検査時に用いた造影剤の体外への排泄を促すために通常より多めの水分を取ってください。
当日、飛入りで心臓(冠動脈)検査は受けられるのでしょうか?
医師の判断にて、必要に応じて当日飛入り検査も対応可能です。
心臓(冠動脈)CT検査の被ばく量が気になるのですが・・・。
CT検査は放射線を用いた検査ですので、CT検査による被ばくをゼロにすることはできません。
しかしながら、当院ではCT装置自体に被ばくを低減させる様々なシステムが組み込まれている最新式80列マルチスライスCT装置を導入しており、従来のCT装置でのCT撮影と比較して最大で75%もの被ばく低減が可能です。(但し、患者様の心臓の状態などに左右されることがあります)
心臓(冠動脈)CT検査を実際検査対応する私たち診療放射線技師と看護師は、検査前より患者様とコミュニケーションをはかるなど様々な工夫をして患者様にリラックスした状態で心臓(冠動脈)CT検査を受けていただけるように心がけています。
スタッフ一同、病気のことや検査のことをわかりやすく説明するよう努めていますので、胸がしめつけられるような感じがするなど、何か気になる胸の症状がある方や、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)が指摘されていて心臓のことが気になる方はお気軽にみどり病院循環器内科外来を受診してみてください。