皆さんは食事をするときにマナーに気をつけて食事をされているでしょうか?
食べるという事は、栄養素を摂取し生命を維持するだけが目的ではなく、食空間を通して家族や友人とコミュニケーションをとったり、食に関わる伝統や文化を守ったりと色々な意味を持っています。
今回は、栄養面から少し話をずらして、伝統やマナーについてお話ししようと思います。
日本独特のマナーと神様の関係
皆さんはフランス料理を食べる事がありますか?
フランス料理といえばナイフやフォークがずらりと並びそれらを順番に使ってコース料理を楽しむものですが、なんだかマナーがたくさんあって難しそうな印象を受けます。
それに比べて、日本料理はお箸1つで、ほとんどの料理を食べる事が出来て、とても簡単!と感じるかもしれませんが、お箸の使い方にはマナーや伝統が詰まっています。
お箸は“架け橋”
お箸の語源は色々とありますが、一つは“橋”から来ていると言われています。
“はし”という日本語は2つの世界をつなぐもの。
つまりは架け橋という風に考えられているそうです。
お箸も食べる側の私たち“人”と神様が与えてくださった“食べ物”を繋ぐので、神様と私たちの世界を繋ぐ役割があると考えられてきました。
なので、お箸には神様が宿るとされ、縁起の悪いお箸の使い方は嫌われるのだそうです。
また、ナイフやスプーンは食事をする際に縦向きにおいてあるのに対して、お箸は横向きにおいてあります。(箸置きを使って自分から見て横においてありますよね?)
これもお箸には神様の世界と人間の世界の境界線としての役割があると考えられており、『いただきます』といってこの境界線をとって食べ物をいただくのも日本独自の食事のマナーです。(中華料理や韓国料理では食事開始時にお箸を縦に置く文化があるので、中華・韓国料理を食べる際に気にしてみてください)
お箸のマナー
お箸を使う際は『嫌い箸』といって、相手を不快にさせたり、不潔と思われる使い方をするとマナー違反です。
他にも神様に対して失礼なことや、食べ物を粗末に扱う行為はマナー違反になります。
食事の時にご飯を左側、汁物を右側に置くのも、左を上位とする日本の伝統にならったもので、神様へお供えするものの代表であるご飯(米)の上をお箸が何度も行き来するのが無作法であるからといわれています。
このようにマナーには気持よく食事をするための意味がこもっている場合が多く、神様や一緒に食事をする人にとって気持のいい時間を過ごすために、食事のマナーはとても大切です。
マナーはどうしてあるのか
先ほども少し触れましたが、食事は栄養素の摂取だけが目的ではなく人とのコミュニケーションをとったり、休息の時間であったり、おいしいものを食べる楽しみとしての機能を果たします。
マナーも、もしずっと一人で食事をするのであれば、おそらく必要ないでしょう。
ですが、一緒に食事をする人同士が気持ちよく食事をするためには必要なものになってきます。
マナーは、共に食事をする相手や食べ物や神様に対する思いやりから生まれた大切なものです。
小さいころ、お母さんにお箸の使い方やご飯の食べ方を注意された方は多いと思います。
それは大人になって誰かと一緒に食事をするときに、気持ちのいい空間や人間関係を築くために必要だったからかもしれません。
最近では、サプリメントやスーパーフードなどに含まれる栄養素が注目されていますが、栄養素以外の面から食事を見てみると新たな発見や気づきがあります。
テーブルマナーを通して栄養だけでなく心の豊かさを得る、という意味で食事の大切さを見直すことができるのではないでしょうか。